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帰宅、カオス・シード編

「ただいま戻りました」


「返事する少年はいないが。ただいまであり、おかえりだ」


ブイオさまが代わりに言ってくれた。


「まあ、そうですね。そう言った言葉がより安定する感覚があって、つい」


わたしはエンブリオくんに事前に付けて良いと聞いたので、蠟燭(ろうそく)を探して火をつけた。クララとしてはありえないくらいの贅沢だけど、まあフィレンツェで非凡使いの仲間として生きているとそういう経済感覚が変わってしまうのだ。

普通に露宿(ろじゅく)している間は今もこういうのいりませんが。


「なにか本でも読むのか」


「そう。なんも考えてませんが、寝る前はちょっと時間が要ると思いまして、エンブリオくんの教科書を一部読んで暇つぶしというか、今回の経験の復習(ふくしゅう)というか。そんな感じです」


「そうだな。体を動いてたから」


「やはり土属性に関してその『謎のオレンジ色』がいちばん気になります」


「そこ!?」


わたしはこの家でたぶん初めて読んだ魔導書(グリモア)、「元素魔術・土」を引いた。流石に深紅の悪魔は言葉のまま動いて生きる種族なので、そのチート能力を持っているわたしはもう魔術の本も読めるようになったのだ。(以前は説明の絵図だけだったけど)


「当たり前です。わたしの最新の仮説、『さて、ふだんの土色(つちいろ)ではない鮮やかな色になってるのは、あの金色に近いのではないのか』がいちばんの興味というか、心配なんです。

もちろん、これを書いた人も、もしくは監修をした人もウリエル・モルテ氏と眼鏡くんたちですし、そしてその以前の昔のデュラのマギアたちも固定観念でこの本を書いたと思いますので、ただきっかけを探して……まあ、何日間寝る前の睡眠薬くらいとして使うのですが」


「確かに眠いだろうな……」


「見よう。根本の原理。これはまあ大地から土と埃まで。それは知ってる。土だと言う概念を言うには『テラ』が適切かも知れないけど、慣習法(かんしゅうほう)で『(かた)さ』を意味するデュラになっているから、その部分の乖離(かいり)を説明する部分」


「まあ、普通に正しいだろうけど。この世界(ほし)の一番固いのは岩盤だろう」


「ただそんな理由なんでしょうか」


「非凡使いがわたくしが考える様な人の子たちなら、別に深く考えたりしないから」


「まあ、そうか。

だから固いものとしての土色を纏うエーテルの色が良く見えて、それは同じ属性を()魔法生物(マジック・クリーチャー)も同じだ。これらには鹿たちなども入るようです」


「ふむ」


「扱う平凡の媒体(ばいたい)はだいたい全部行けるけど、宝石とか、金属などが相性がいい方。だから逆に、エーテルの扱いによっては宝物の真偽(しんぎ)を見分けることにも使う事ができて、それをギルドは信じて有効活用しているけれど、もちろん『その判定そのもの』も非凡使いの話なので、平凡の技術者のような普通の公信力(こうしんりょく)はございません」


「まあ、非凡の言葉というのはこの世界ではそうなるのだ」


そういうのはアストラさんといつも言っているからここは飛ばしてもいいや。


「なら、土色を纏うのは普通に土がいちばん普通で相性がいい『対象』なのでそのエーテルを扱う人の子たちの認識に共有する型物理性(アイディア・ヒストリア)の働きで『ふつう』になってるのだと理解ができるし。それぞれの具体的な術になりますと。わたしのお気に入りの『目にゴミを入れる術』を含めて色々あるのです」


「それが今回大活躍した『オレンジ色』だな」


「そうです。それの大魔術(マギア・マキシマ)です。つまりブイオさまの話では『色彩技(アルス・クロマ)の強いバージョン』だと言えますが、わたしは別にウリエル・モルテくんの心のことを知りませんので、それが彼が大魔術師として普通に強すぎてマキシマが付くのか、もしくは心の祈り(ウルト)が込めてたものなのかは知りません。いったん彼は成功しないと困る事情はあったようだ」


「まあ、アストラ・ネロは具体的には教えてくれなかったけど、土の堂は、その本人の権威を維持することがけっこう大事な案件だったと思われる。『仕事自体が変わっちゃう』アクアに匹敵するほどに大事な案件だったというニュアンスだったよ」


「そうでしたね。もちろんわたしは中央堂の意見のただの薬師であり話し相手なので、推測することしかできませんが。

あ、そう言えばラファエルギルド長が今のこの話を聞いてるとか、それは大丈夫なのかな」


「凄く今更だな……

そうだな。エンブリオくんが不在だから『聞くのをやめます』が(うそ)の場合も十分ある。もちろんわたくしの言葉は別に聞こうとしても聞けない非凡の言葉なので、ただアリアの属性を経由して平凡の風を聞く風属性のスフィアでは聞こえないと思うのだが。ステラ・ロサさんが頭おかしい感じでぶつぶつ独り言を喋るようには感じるかもしれない」


「それくらいならいいです」


「いいのかよ」


わたしはもうラファエラちゃんのことが結構好きになってたので、別に彼女がわたしが害になる存在だと思ってないように、その「ほんの少しの紛らわしさ」を今回の出場で(はら)ったと感じだので、今更わたしの言葉を聞いてそれがちょっとよくわからない独り言だとしてそれが問題になるとは思えなかった。


「ならギルド長の話に甘えて。『聞いてるなら、わたし、普通にギルド長のこと信頼してるので聞かないで下さい』

よし」


「なにがよしだ」


わたしはブイオさまのその返答はスルーして「土」をまた読み始めた。


「そうだな。やはりオレンジ色が気になるから『目にゴミを入れる術』を見て寝るといいでしょう」

もちろんグリモアの内容ってこの本編でライブ感で初めて書くのです。桜の嵐の大体の内容はそうです。

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