例外処理
「スフィアの間なら、『脱力』させるだけではない、他のことがいろいろ出来るかも知れないな」
「杖道に精一杯です。気が散る」
「それもそうか」
わたしはずっと遠いところに落ちた花びらの球を、「ノヴァ・スクリミア」を杖で吸いながら歩きながらちょっと思った。これはいったん、わたしができてる「リサイクル」「香水魔術」はできると思う。そしてドルイドの呪術で草木を健康にすること、もっと成長させることは……わたしの器そのものを削ることになりやすいからそんなにしたくないけれど。それらもいったん使うこと自体は問題ないと思うね。
失った花びらは普通にこの世界にまだ流行る灰色の呪いに変貌し……なくて、もう貰っていたブイオさまの星のエーテルの勢いだけが残留する……まあ、平凡の木材のようなものになると思うのだ。ブイオさまの話ではブイオさまからのわたしの関係が、その妖精女王さんとキメラ・プラントさんの関係と同じらしいから、キメラ・プラントさんの木材のクズと同じだ。
それらいちいちを失うことで、わたしが急に記憶喪失になるとかは思ってないが。ちょっと「あれ???」することはあり得ると思うので、やはりいいことではない。いつも求めるのは最高のコンディション。なるべくそのように使うエーテルは人として飲んで食べた栄養にしたい。
つまり、もりもり食べてる状態なら、この球を飛ばしたあと、「杖を振るう」以外も選択肢はありえる言葉は正しい。ただ、そう披露する機会があまりないだけ。
もっと色々?
でも、ステラ・ロサさんがわたしのイドである以上、別にそれ以上の妙技は出来ないかもしれないな。これからも……
なぜなら、それこそが「超再生能力」のような、人のたぐいを離れてるものだからだ。それは「ステラ・ロサという真名でできている」わたしの人格ではキャパが大きすぎる。
「なら、その限度の中で最善を極めるしかないな」
「そうですね。『頭を狙う』だけではなく、他も頭に入れるべきだ。でもそのまえに……」
わたしは杖で、なんも考えずに自分が横になっているくらいのアウトラインを描いてみた。
描いてる間に、ブイオさまもこちらに来た。
「花びらをひょいひょい操作して描いてもいいじゃないか」
「いえ、文字はそうできるようになったかもしれないけど、絵は別にそんな感覚がなくて。杖が使いやすいと思いました。これくらいのサイズですか?」
「うん。」
「やはり感覚が来ないな。これはただ『もう一人のわたし、代替できるわたし』……ではなく、わたしの中のわたしである花びらです」
「量が足りないんじゃないか?」
「ちょっと注ぐかな」
そして、わたしはそのアウトラインに自分が出せる、吸える分量の花びらを詰めて、それは最近倒した深紅の悪魔の奴のおかげか、わりと量があった。
「できたな」
「ううん……」
「だめか?」
「はい、ぜんぜんこれがもう一人のわたしとして動くか、今のわたしが大変になった時にこれがこれからのステラ・ロサさんになるとか……その気がぜんぜんしない。
もしかすると、それがクララ式エーテル操作の重点かも。自分を動かす事」
「まあ、だからわたくしたちが魔術ギルドで『それくらいの人は普通の方だろう』判定になってるのでもある」
「思った」
これは「わたしくらいの大きさにしてみた花びら」という塊なので、わたしは杖を大きく振って、それらを一気に自分の中に併合した。
わたしはやはり「奇怪巨木の解体」「妖精女王との出会い」「最強のマギアとの面談」などを終えても、自分の器というか、質量とやらがそんなに変わるものではないな、と、劇的に上がるものではないなと改めて思った。
なんかラファエル氏のおかげで「ああ、あれはアリアのアルマのようなものだ。ちょっと違うかも知れないけど害はない」になってたくらいのいい変化はあったが、物語としては地っ味なんだね。
「そう言えばイロスナ、チェックしたいんだけど」
「色砂ですか?そう言えばそれ貰った」
わたしは「やっとスターダストのようなものを見つけた」のはいつ忘れたか、自分にちょっと呆れながら腰の袋から光る砂みたいなものをちょっと出した。
「これが、ステラ・ロサさんの目を通っては虹色に見えるんだな。わたくしとは属性が合わないのか?」
「それはどういう状態でしょうか?これはどういうものなんでしょうか」
いったんブイオさまのスターダストではなかったようだ……
「わたくしが知りたいが、多分これはおまえが深紅の悪魔として持っていた概念のものだ。『理学』として言うとなにかのクロマ・クブスの欠片のようなものだと思うけど、もともと深紅の悪魔が持つ機械は知性体を捕食する金属箱とそれに付ける他の道具くらいのはずなので。それの一部だとも思えないけれど。なにかな」
「わたしの目を通しては虹色に見えますが」
「深紅の悪魔の成れの果てとしてはどう」
「それも中々チカラを持つものとして特別に感じれる気がします。木属性だからかな」
「ふむふむ、なるほど。
もしかすると、それは『神話生物理学』から影響をされて、それでも『古代魔術・木』が独特に作った概念の粒で、それを学んだのが深紅の悪魔としてのおまえで、クララもその影響の影響を受けている子だから特別に感じるものかも知れない」
「でも別に使い道がわからないです」
「まあ……それが『体系を持たぬジャンル』の限界だけど」
「む。
アストラさんも言った通り、この世界には他の独特な固有魔力を持って、それを自分のわざとして秘術を扱う人もそこそこいると聞きますが。逆にこれは古代魔術が『魔術には伝えてない』なくなった何かだということですか」
「そうそう」
「なら……これはわたしの宝物だったんだな」
そう呟いて、わたしは色砂をまた、袋に詰めた。




