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アルマ・アニマのこと

「半分だけできてる?」


わたしはいつものノルマ通りずいぶん走ったあと、その前に聞いた先の話をブイオさまに問えた。

これで素振りというか、そのリハビリをしてたら、今日の筋トレは終わりだということだ。明日からは……いつものようにできるだろう。できるといいな。

まだ杖は取ってない。


「そう。術師(じゅつし)使(つか)()使役(しえき)する時の基本はエーテルの勢いと気の通路だが」


「そうですね」


「エーテルの勢い、これが『(ほむら)の傾向』のようなもの。そして気の通路。これが『(はやて)の傾向』のようなもの」


「はい」


この物語、「白花語(しろばながた)り」に慣れてない読者さんは「なぁにが『はい』だ」になるかも知れないけど、この「焔流累颯(えんるるいさつ)」なになにはこれからもずっと言うであろうことだから(しかもこれは()()()()()()()()()()()()()だ)慣れて欲しい。

ともかく、熱量(ねつりょう)意思疎通(いしそつう)だ。


「勢いが使い魔の命を維持する根本、もしくは(ニュー)を結ぶチカラだ。

伝わってないと、もし自立できる場合は動いて生きれるのだが……そうではないと、エーテルが切れるとお(しま)いだ。

そして、勢いが伝えて維持できていても、それがその使い魔に『どうあるべきか』、『どう(はたら)くべきか』の指定(してい)がないと、実はよくないものだ。上手く働かない」


「そうですか」


ふむ、なんのことなんだろうね。


「実は、わたくしは今までずっとおまえのせいにしていたんだが、術師が使い魔をうまくコントロールできると、元々『意図しない平凡の光が出る』とかもないし、このように『一々鍛錬し直したりしなきゃいけない』とか……そういう不便さがなくなるのだ」


「ブイオさま?」


わたしは何か月ぶりにまた初耳のひどい事を聞いた気がして、ブイオさまに訊く。

でも、彼はその時「ちゃんと言う」と言ったとおり、素直に謝った。


「ごめんて。悪かったよ。

わたくしはウヌスとしての感覚が薄かったから、今も薄いから。そして、機械として敏感だから、そのマキナとしての『はー使えん』のような、ただ機能(きのう)に関する不足した感覚だったかも知れない」


「なるほど」


まあ……それは仕方がないことではある。


ブイオさまは実は本当にただのスーパー計算機(コンピュータ)らしい。そういう星だらしいのだ。なので、その立場で考えるとイラつくこともありえる。

例を言うと……彼が「魔法の本」のようなものだとしよう。でもそのインクが勝手に光り出してその分インクの量も勝手に減っちゃうとかそういう感覚だったんだろう。エーテルの浪費とはそういうことだ。

それはちょっと機能が意図した通り働かず、イラつくもんだな。


走りからの休んでるわたしを見ながら、ブイオさまは嬉しそうに(うなず)いた。「頷く」が狼にとっても肯定の意味で正しいのかな。とりあえず、「物語の、喋るどうぶつのように」ブイオさまは頷く。


「そうそう、まさにそういう感覚だったよ。

でも、わたくしもおまえもウヌスとして考えるとちゃんと神話生物人権があるから、もうお前の『深紅の悪魔にチカラを与える神様』のヒストリカル・アイデアの偽造(ぎぞ)のことも慣れている(ところ)、確かめたい事があったと、いまさらに思いついたから言ったんだ」


「はい」


「もちろんその『ステラ・ロサという星のワンちゃん』を召喚するために狼の星の元の場所から読み込めた術式は、一体どっかに()ってるか全然わからないが……いったん存在してる。行使(こうし)された。行使されてる最中に溶けて消えた、ではなくて、その術式(じゅつしき)展開(てんかい)されたんだ。展開されてるままで、今もその絶対結果(アブソリザルト)はわたくしによって(くだ)されてる。だからわたくしの場合、おまえが曖昧に魂兵(こんへい)のスロットを使ってる感じもある」


魂兵(こんへい)

もともと、ブイオさまの名前をわけてわたしに『(ステラ)』を付けたのがより大事なことじゃないですか?」


「それはそう。わたくしは今もちゃんと『ステラ・ロサという名前そのものの』(かげ)に完璧にいるけど、それともまた別の問題だ。使い魔の仕組みだ。まあ、魂兵は神話生物理学(エキストラ・オーディナリー・フィジックス)で言う、使い魔のことのようなものだよ」


「はい」


「半分になってるということは、実は魂兵(こんへい)ができている今の状態を思うと変なのだ。『まったく変なものが作られた』としても、その場合例外処理もされてるはずがなくて、むしろそのものと術師が変に連結(リンク)されて『たいへん!怪物の使い魔を作ってしまった!』のようになるけど、わたくしの場合、その『星のワンちゃんの情報』だけがどっかになくなってる」


「ちょっと話が難しいですが、それがわたしの『クララが頑張って女の子としているしかない』とどう繋ぎますか」


「わたくしの『気の通路』がおまえに繋いでない、ということは、その『飛んじゃった星のワンちゃんの情報』へ、もしかすると今も変に繋がっているかもしれないというのを今思いついたんだ」


「な、なに~!!!」


わたしはブイオさまのその話がどれくらい重大な告知なのかわからなくて、あえて大げさに驚いてみた。

気の通路はあれだろう。深紅の悪魔が人の頭を開いてなんか拡張をすると、その人に思うままに意思を伝えて動かすこともできるあれだ。ブイオさまがわたしにそういうのが繋がってないのは確かにエンブリオくんの反応でも珍しいこと、常識に反すること、だという感じはあったけど、それくらい驚くべきことか?「術師の情報の漏洩を防ぐためにもともと意図して……」あ、そうか。


「そう、わたくしはそれを意図してないのにそうなってるのが問題だ」


「それは確かに」

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