最強のスフィアが言ってくれる平凡の戦争
なぜかわたし、「四属性のエンブリオくんの家族」のステラ・ロサさんを、最強の魔術師、ミカエル・グエラ教授が尋ねに来て、初対面で「エンブリオくんをどうしたいか」とかを聞いている。
考えてみればそれは非常に怖いことだとか恐れ入ることだとも思えたけれど、わたしは今までエンブリオくんに彼のことを聞き過ぎていて、本当にこの13歳の少年がエンブリオくんの兄貴みたいに感じれたかもしれない。
そして、本当になぜだろうか、ミカエル教授もそれに別に不快だとか思ってなかった……と感じれた。人の心の底にもある感情や本当の思い込みのことはわからないことだが、ともかくフラマたちは勢い自体がその人の人格のような傾向があるのだ。
今はでも、だから「エンブリオくんが尊敬する兄さん」みたいな立場でも、ちょっと彼が心外そうにいるから、彼がもうわたしとの話題を「レヴィアタンの海賊」のことを話し出したのをまた却下して戻して、話を付けることにした。やれやれだ。
「アストラ・ネロさまの過去の詳細は知りません。ただ、彼女を含めたギルドの年を取ってるマギアたちがいて、ミカエル教授がギルドに入るまでのシステマを維持してた。そして、今のラファエル・ムジカギルド長の体系になるまでミカエル教授の活躍と同時に、それはとても辛い事だとエンブリオくんが言いました」
そこでミケーレくんはやっと、「あ、先のような態度は俺が表現が違ったかもしれない。このドルイドさんは警戒心MAXだったのだ」と気付いたようだった。そうだよ。
「まあ、彼は俺のことを尊敬しすぎてるから。そしてわかりました、薬師さん。俺の表現が良くなかったかもしれない。話が早かったかも知れない。フラマの悪い癖だ。
もとの話に戻るよ。
薬師さんは、エンブリオくんがどうなったらいいと思うか?」
確かにそれは先の初手、喧嘩売ってる口ぶりとは違った、尊敬される教授としての進路のことだったので、わたしはやはり頭がめちゃくちゃいい人だ、と思って答える。
「健康でいて、彼の望み通り『ギルドのお顔』になることですね。その面では、今回の『大魔術』もめちゃくちゃ心配してたけど、アストラ・ネロさまに『非凡の戦いはむしろマギアたちが一緒にいるから安全だ』と聞いて安心できました。そして朝に普通に会えましたね」
「会えたのか、それはよかった。
そして、安全か……確かに、フラマを専門としてお仕事をすると、任務によって命が危ういものだ。それは、今のギルド長のシステマになっていても少しは仕方ないこと。その面では専門を絞ってない彼は安全でもあり、不安でもある」
「そうですか?」
わたしはそれは普通に気になることなので、先までのピリピリをいったん収めて彼の話を聞く。(もともと変な態度だったのだ)
ミカエルくんは飲み物を持ってきた使用人に感謝をして、一口含んだあと、言った。
「そうだな。薬師さんももうアストラさんにギルドのことを聞いてると思うけど、いったん国際非凡組織として、聖堂に認められてる機関として俺たちアルティ・マギアがあるとしても、このヨーロッパには他の非凡使いもいるもんだ。それはアルマの類でもあって、マギアの類でもある。平凡の戦争の物事にいっさい関連しない部類もあって、非凡の術を平凡の戦闘に使う場合もあるのだ」
「はい」
「そこに連れて行くのがマギアたちだ。主にフラマ、海戦ではアクア。他はピンと来ないからもともと呼ばれないし、そんなに対人むけの戦闘魔術を身に付けているわけでもない。『いや、聖堂の教えで人を焼くのはあまりにもひどすぎないか???』という印象は問題になるから、そのチカラの均衡は適当に合わすということだ。非凡使いの場合、マギアを振るう」
「適当にですか」
「平凡のものごとは本当に汚いよ。マギアがいますぞ、と言って先頭に出たら、戦闘に参加する非凡使いはアルマも黒魔術師もいないし、平凡の矢と石がいっぱい飛んで来るとか多々あるのだ。そういう時は身を守るために人を焼くと言うことだ」
「うげ」
「そう。『うげ』だよ。薬師さんは『見て聞く』才能があるからわかるんだね。マギアはそれいちいちを感じる。魔力のことを知らない平凡の人々は『武器でやっちゃうことと何が違うのか?大袈裟だ』と言うけど、俺は俺が武家の出身だからわかる。違うんだ。
その気持ち悪いことをやるからこそ、待遇がよくてギルドは『武力面としても』認められるのだ」
「はい」
「この場合、そんな『でたらめに呼ばれた』戦場はあとの責任問題になるよ。非凡科のディミティスとも関係なく普通に非凡使いの派兵の計画や状況を見る部分で、該当する領主や都市国家に責任を取って、適切に処理はできるけど。それ以外にも色々あり得る汚い状況を通るのがフラマだけど、
絞らずに所属マギアとしてはそんなに厳しい処に行かない傾向があって、その分待遇が杜撰だね。戦場がそんな『聞いた事ないんだけど』になりやすいのだ」
「なるほど」
なかなかわかりやすい話だった。




