生命の起点
「眠いな」
「はい、改めてお疲れ様でした」
もうちょい今回の「大魔術の出張」がアストラさんに無理になってないかをチェックする気になって、様子を見ようとしていたが、彼女は先のアストロロギアちゃんたちへの伝達を最後に本当に疲れてる様に見えた。(それはそうだ)
ので、わたしは彼女のことを使用人さんに任せて退勤することにした。(そういえば「専属薬師」になるまでは、わたしが平凡の占星術を聞きに来る面談のようなものだったが、今は逆だな。面倒を見に来るものだ。わたしの何ヶ月前までのドルイドさんのようにな)
「はい、この後はお任せください。普段通りに戻します」
「はは……ネロさまのことをよろしくお願いします」
使用人さんには先もう彼女の容態を伝えている。わたしもわたしなりに人の面倒を診る人としてのドルイドになっているつもりで、人の潜在する病気や流行病などはちょっと自信ないが……それ以外の「今の調子」などはなかなか見分けれる様になったと感じる。その、この目によるとアストラさんはただ疲れてるだけ。別に病気になっていない。
研究室を出た。
中央堂は夕暮れもずっと時間を忘れずにマギアさんたちが行き来していて、わたしは今まで自分が知ってなかっただけ、本当に「魔術師たちが必要以上廊下で術を使わない様に、使ってなくても便利に生きれる様に」使用人さんたちがいっぱい雇われてるわ、と思った。
そう。病弱美少女だったのが原因で、そしてそんなクララちゃんが「こうわたしの心と体を動かすと、それはわたしだ」と強く示してる基準があったため、わたしは人の健康のことがちょっとわかる方の非凡のものになってるかも知れなかった。
普通の深紅の悪魔はめっちゃ知らない。生前の深紅の悪魔としてのわたしもわからない。
クララとしてのわたしが「起点」なのだ。
エンブリオくんや他のマギアさんたちの話によると、「浄化する水の基準」「沼地の怪物の泥の根源」「触発できる黒色火薬のふさふさ」などの、秘術を扱うにはその元の前提が必要だと言うが……わたしはふつうに風邪にかかって命が体からさよならバイバイした経験があるものなので、「大丈夫そうですな」がより敏感に嗅げるようになったかも知れない。だから、「病弱な人を診るドルイドさん」としての起点は、生前のわたしだ。
「お疲れ様でした」
「薬師さんもお帰りですか」
なんと、今回の「風のマギアたちの引率役」の教授と通ることになったぜ。
「はぁい、天文学部に今回の占いも伝えたので、アストラさんはしばらく療養です。わたしの出番は終わり」
「そうですね。こちらは平凡の物事を見るのが今回の主の仕事になってますから、計画と実際の物流の状況などを確認して、ギルド長に全部伝えたところです」
「寝てますか?」
「ちょっとだけ」
ちょっとだけ寝てる人だった。
「わたしは時間も時間ですし、ギルドの食堂で軽く食べて帰るつもりですが、教授は夕ご飯はどうしますか」
「私はいいです。寝ます」
「なるほど」
すぐ寝るって。
先昼の時にも感じだが、食堂で飯が食べれる時間があるとしたら、だいたいのマギアはその属性に個人の性格も面白いほど噛み合って行くのだ。風のマギアさんは「食べること自体が自由」で、しかも「夜更かしするか否かすらも自由」なのだ。考えてみれば、わたしともちょっと似てるかも知れなかった。
「もう知ってると思いますが、薬師さんがやってくださったおかげで今日の今の時間で『祟りの予言は終わり!!!』と仕事が終わったんですよ。そう言うのは別にあえて言う人なので言います」
「はあ」
「魔術ギルドがアルティとして仕事ができる大半の連絡と今後の政策の決定をここ中央堂では私たちアリアがやっていきますが……占星術はアクアとデュラに近いですから」
「そうですか」
「手伝おうとしても『いや、そこじゃないし』『空いてるじゃない』『早すぎる』などなどになるのです。しかも他の堂の人力はあまり借りたがってない彼女には、中央堂のアリアたちが『まあ頼っていいかな』なんです」
「天文学部がいるのにな」
教授は変な手草で言った。
「そうですね〜〜〜
でも、それがギルド長の体系に対する彼女なりの尊重らしい。それを知ってるから、アリアたちも別に気持ちはいいですが、進行が素早くないのでそれは辛いです。性に合わない」
「そうなんだ」
それは……なんか午前あたりに使用人さんに聞いた話も似てるけど、わたしが見返りに相応しい仕事をしてることではあったけど、でも元々この人にわたしがこういう話を聞いてるのが変だった。(ちなみにわたし「ごときに」喋るのはそんなに変ではない。特例くんの家族でありギルド長の相談役の専属薬師だという立場は別に使用人さんと待遇が多く変わるわけではないけれど、酷くするには「いやでもちょっとないな」くらいはある関係性だったからだ)
まあ、ラファエルさんになんか聞いたのだろう……
「あ、ちなみにギルド長に聞きましたよ。貴女さんの体はアリアのアルマに近いものだろう、『私がそう決めた』って。だから……そうなのに、ネロさまと上手く行くのがとてもいいことだと思ったのです」
「あ、はい……」
相変わらずそういう心まで読み取って補う人だった。この人だけではなくてアリアの人たちは大体そうだった。
「あはは、時間を取りました。
薬師さんも早く戻った方がいいですね」
「いやいやわたしは全然大丈夫です」
そしてアリアの教授はバイバイをした。
「それでは、私はここで失礼」
「はい、お疲れ様でした」




