シックス・システマ・リンのウンブラについて
「金髪で肌色が濃い人」
「急にどうしたの。
あ、その、きみを攫うに来た人?」
「はいです」
「どれくらい?」
「めっちゃ黒でしたよ」
「ううん~???そういう人がいるのかしら。ふつう黒髪が多いよ」
「そうですか」
なら、「平凡の社会でも」一般的な色合いではなかったということだ。ウチの感覚では別に特別なことを感じれてなかった気もして、実は怖かった気もするけど……(その部分は曖昧だ)魔術ギルドの人のように、髪色にその人のなんらかの属性のエーテルが反映されていて、だから土属性などをあやつる能力がある人だったかも。魔術師や非凡の騎士団ではない、異国の非凡使いの可能性が高いね。ウチは別に自分の幽霊のようなエーテル以外はあまりわからないから、このように状況で推測するしかない。
「私はレグノさんの連絡網の仕事もしてたから仕事してた時期は物知りの方だったけど。そのような人はここからスペイン王国まではちょっといない。海をわたって来た人なんだけど、そのうちの混血のひとかもしれないね。金髪の人と、肌が暗いひとのね」
「ああ、なるほど」
その考えはなかった。
「急な話で、ぜんぜん根拠などないんだけど」
「はい」
今度はなにかな。
「きみは白い子なのに外でも肌が痛まない、その少しは特徴的な面を持ってるから、それを見て、『あれは珍しいね』と接近したのかもしれないね」
「ふむ」
それもありえるか?なんか出会ってすぐ「一緒に来てもらう」などではなくて、ウチのことを聞いた。どこから来たとか記憶喪失のこととかを答えた。そして、「ふうん」となくなってから、すぐレグノの旦那が来て、追跡できるエーテルの残響とやらが別にないと言ってた。
「きみはもう大体聞いてると思うけど、白い子は『白神女のようにしたい』人も、『白神女のようになるために利用したい』ひともそこそこいるのが世の中で、その分非凡使いの人とも別にすごく大変なんだ」
「はい、そのことはけっこう聞いてるつもりです」
レグノの旦那に「累の傾向」とやらを教えてくれて彼が今までの何千年を生きれる動力になってるのは、ウチにとっても助かる事ではあるが、あいにくウチはその人と似たような子でね。「無限に生きる人」「ドルイドに尊敬される(これは、”ドルイドというもの”がもう教皇庁に禁止されることになるっけ)」などの、たぶん別に関係ない理由で偶然髪色が白いだけの平凡の子たちが勝手に利用価値が生えていて苦労しているということだった。
それは……もちろん白神女と神獣の白い牛さんはぜんぜん悪くないが、この世界のすべての白い子たちは「どうぶつの白い毛はこんなには珍しくないだろうにな」とか、ちょっとは共有するなんとも言えないこころがあると思う。
そして、たぶんそのわたしが負担になって聖堂の前に捨てられて、レグノの旦那の夢話によると「流れ星のチカラ」をちょっと受けて、ウチはそのままもとの子とは分離され……記憶喪失になって「見えないエーテルの糸みたいのが触れる」チカラを得ることになったのではないか、というけど。
もしかするとウチが外で日差しを受けても別に肌に異常がないのもその副産物であり、それは個人の生活にはちょっとありがたいことだけど。そのことを遠くから見分けたその「金髪の外国人」さんが来て、ウチのことを探索したと思うのだ。不気味な事だ。
でも、別にその人自体は不気味な感覚ではなくて、なかなか心が穏やかになる人ではあったんだよな。
「ああ、なるほど。レグノさんが修道院に送りたくなかったのもそれもあるよね」
「髪色が白いと、シスターになれないですか?」
「そんなことではないよ。修道院はいつも人手不足で、その出身を問わず心身を磨いて生きれる場所でもあるよ。私は仕事を始めたしおっとと会ってるから別に縁はないけど、『白い子は白神女を連想するからだめ』とかはないよ、たぶん」
たぶん……
「でも、『完全に平等な待遇ではないかも知れない』ということですね」
「そう。そう思うと、なんかきみのおかげで心が癒されたレグノさんにとって、それは選ばない選択肢だね。そして、私の考えでは別に彼がこどもの嫁さんを受けるためにきみを拾った訳でもないから、仕事を学ばせて技術者として働かせる」
へえ、本当にレグノの旦那、ロリコン疑惑を修正したんだ。
ウチは彼女のあっさりした言い方に少し感心した。
「はい。学んでいると他の道が良いかもしれません。自分が彼の水準までではないとしても、1人前になるまでどれくらいかかるかもわからない。でも、ウチのここがいちばんいいのは知っているつもりだから」
「うん、いい機会だ」
そうやって、わりと「関わる事になるかも知れない不気味な子」ではなくて、「あとで仕事を任せるかもしれない知り合いの弟子」くらいに上がってるウチは、娘さんが遊ぶのをちょっと付き合って、彼女に教わって寝かせる方法を知り、凄く苦労をした。
やはり子供の面倒を見るのをぜんぜんさせないということは嘘だった。まあ、飯代ということだ。




