オレンジ色の秘密
「その『夜空のもの』として区分されるようなものの中で、大魔術師のようなお方が使えるものがもしあるのなら、随分と非凡科まで通って検証をし……安全が確認出来たら、そういうのは四の堂の発展にもなるかもしれません」
「それは……言い過ぎで、危険な考え方だ」
「そうなんでしょうか……」
「当たり前だ」
やはり本を読み過ぎているデュラの集まりで、普段は静かだが、いったん話をさせるとその発想がいちばん変な人たちだらけの土の堂。しかも、他の堂の、幼い年て経験不足の生徒たちではなくて、この人たちは立派に働いているちょっと上位のマギアたちだ。でも発想が走るのだ。それが好きだけど。
「夜空からの……隕石はみんな憧れてますが」
ぼくは頷いた。
「そうだな。隕石は過去から珍しい特徴を持っていて、普段見れない奇妙な性質を持つ金属が含まれてると言われてる。平凡の隕石なら歓迎して土の魔法素材として利用するよ。でも、夜空のものは危険だ。『非凡の隕石』は別物なのだ。
きみたちもまあ経験も積んでいて仕事ができてるマギアであるが、改めて言うと夜空のものが危険なのは、非凡のもの……魔法生物の中で大きくて危険な……怪獣、海怪物、悪魔のような特徴を持ちながら、その性質がどこでどう予測不可能な面を見せるかがわからないからだ。『この素材は本当にぼくたちの技術を1段階発展させるはずです!』と意欲的に何年も、何十年も汎用の元素魔術・土の開発をして、それを基盤に数えて積み重ねていくとしよう。そこで急に夜空のもの特有の知らなかった特徴が現れると、それまでの研究が台無しになって、土の堂はおろか、ギルド全体が潰される危険性があるぞ」
「その場合、確かに本当の本当に危険な部分の検証ができなかったら、非凡科に責任があるのでは……?」
「まあ……それは机の上の話だ。面倒くさい政治の話には足りないね。
直結ではあるけど優先的にギルドは教皇庁の傘下なのだ」
「それはそうです……」
そう。「責任がないから」にかんたんに心が楽になれるものではない。もし、先のぼくの「普段の土色のエーテル」ではない「オレンジ色のエーテルを使う土属性の元素魔術」がうまく再現ができて、それからも色んな発展があって、それが土の堂の結構のメインストリームになったとしよう。
でも、それがあとで間違った方向で責任の問題になったら……それはその時点で「それを安全だと判断してた非凡科」ではなくて、その時期まで実際に使いながらも自分で追加的な問題点の、隠された危険性の検証ができたなかったマギアが悪いことになるのだ。それもそれで一見、一応聞くと正しいとも思われるが、マギアは一応汎用になっている魔術はそれの具現化だけに頭を効率的に使うようになるので、ぜったいに検証はないけど。そういうのはアルティの外には効かない話だから。
ぼくはきみたちが異端になって欲しくないのだよ。ぼくもそうで、他の堂もそうだよ。
「別にぼくが頑張って再現しようとしてもそれができないだろう一時的な魔術だ。だから、今の話が終わったら『まあそんなこともありましたね』くらいになる色だ。また戻そう。なんで沼地の土からの起点を持って、オレンジ色のエーテルが出てたのかな?」
「まあ、学長みたいなお方がチェックしてないわけではないですが、ターゲットが普段の『土煙』と違った気はしますね」
「それは……そうだけど。普段の土煙はぼくたちの護身用のわざで、敵対する軍人の目に平凡のゴミを入れてその危機を逃すことによく使う。むしろ『もぐら』の方が有用だ」
「もともとそれを『水を付着する事に使おう』と思った部分で学長の発想は自由だったと思うのです」
「そう言われてるくらいではないと思うよ」
「いや、それはずいぶん自由です。別に貴方様を崇拝してるからではない」
「崇拝はやめてくれ……
そうだな。その発想になったのは、先も言ったかもしれないけど、ガブリエル学長の『水玉』が無力化され、怪物の毒爆弾のわざの素材にその平凡の水が使われたことがあったけれど、その時の土の壁の防御で、毒の水の付着が普通より凄く調子がいいのを感じてた」
「なるほど」
「だからそれをそれぞれの雨の雫にしたいと思って……それくらいに土を撒布するにはやはり『土煙』かな、と思った」
「僕たち、だからちょっと焦りながら、それぞれの仲間たちに『土煙?なんで?身を守ることはどういうこと???』と言われまして」
「それはそうだったな」
「でも、沼地全体の表面を使って土煙を出すということ自体は理解しましたので、学長の術を阻まないくらいに仲間の姿勢を固めることにデュラを使いました」
「そう。別に反することなく、みんなの助力があってからこそその技があったと思うのだ」
「なんもやってません!」
その、なんもやるといけない時にやらないことも、難しいから。生徒はそういうのがタイミングや精密さがよく合ってたかわからないことだ。




