星のアルカナ
「沼地が沼地であるように怪物が利用してた今までの偉さ、邪のもののはずのそれを学長が使えた、ということになりますが」
もちろんその言葉は非難する意味ではない。心配の意味だ。
「そう。そして、それはアセアセ案件だ。『てめえどうやってそんなチカラを?』みたいに言われても話がないのだ。だから、ぼくたちも内心緊張して、ガブリエル学長が水の堂の全員による『沼水の浄化』を行ったすぐあと、改めて浄化を浴びてくれた。順番はちょっと違うかも知れないけど、そんな感じだ」
「はい、それは僕たちも覚えてます」
「まだ雑草狩り中だったな」
「彼女は学長同様、ギルドの物流に関わって聖堂との関係も深いですから。多分彼女の浄化で別状がなかったら、貴方様は大丈夫だ」
ぼくは頷いた。
「そう。ぼくは彼女のことを信頼する。だから、これもまたおかしいことだ。
ぼくが、『耳鳴りがしながら粘って、怪物の裏技を触って初めて出した固有魔術』が、別に悪いものでもなくて変なものでもないということだから」
「ガブリエル学長に浴びられる時に、冷めるような、醒めるような感覚もなかったんですか???」
「そう。普通だった」
みんながちょっとざわざわした。
「それは『正規』なのでは」
なぜなら、その「ちょっと」ではない「凄く」冷えた感じがすると言うことは、非凡のことを扱うぼくたちによって「あ、間違いだったんです、懺悔します」みたいな無意識的な罪の汚れがあると、そうなるからだ。そのなんか奇妙なものが溶けながら、放たれながら来る感覚だったからだ。そのような仕組みを示す明確的な理論や文献は無いが……経験則だが……みんなが教授くらいの経験を積めながらなんとなくわかることなんだ。そして、ここはけっこうそういうデュラが集まってる。
行いで、口で、考えで犯す罪。それが「言葉と思い」についていったん免責されるとして、ぼくたちもまた普通の人だから。
人の魂もまた、エーテルのようなナニカだから。触られると触れたとい感覚がする。「あーもやもやするよ」になると、その感覚を完全に消すのは難しいのだ。
「だから、ガブリエル・ブリナに『あたしは固有魔術も群青なんだけど』とも怒られながら言われた。なんでオレンジ色かって。そして、昨夜ぼくも色々考えてみたけど、知恵が足りなくて、こういう時は集団知性のチカラを借りた方がいいと思っていたが、今ここまでは、まあ……忙しいもんで」
「はい、やっと転換ができるようになりました」
こう喋りながらも、ぼくたちはそれぞれ、重ねて現場を管理監督中だ。問題はない。
このように、デュラが全部集まった時にやっと言えることだった。(厳密に言うと今はフラマに属して来てるエンブリオくんも「この大魔術に来ている」デュラなんだが、彼には昨夜、もう答えを聞いたということだ)
その時、先一緒に来てた教授が言った。
「僕はですね……」
「?」
「あの、占星術師のせんせいは今回の祟りが昨年までの『非凡の流れ星』の影響だと言ったんです。
もちろん原則は原則だ。中央堂は四の堂と対等で、彼女はギルド長の恩人だからもっと聞かれるところも確かにあるのでしょう。僕たちがその「祟りの占いが絶対だ」という認識を強いられる訳はないです。でも、僕も多少その話が刺さりまして」
先の返しだよ。
「つまり、何かの夜空の星のチカラの中、悪者ではない部分をぼくが利用して、星空の光のように明るくなったのが、『土色』ではない『オレンジ色』の理由だと」
「あああ!!!」
「きみも先言ったから。
星か。他はどう思う?」
「ふむ……僕はそれっぽいと思います。逆に思うのです」
逆はまた何だよ。
「逆とは?」
「僕たちは、早寝早起き人間です。なんかエンブリオくんの彼女さんみたいに毎朝のアルマの筋トレまでしてるわけではないけど、朝ごはんと共に今日の僕たちにおはようございますをする。そのような人間は、逆に『夜の時間を利用してなかった』」
「それは、今までぼくたちがデュラとして『夜の変な感情』を別に使ってなくて、規則的な人間だから来る利点を得ていたものが、実は普通に夜の仕事にも向いていてその『才能があるのに今まで使ってなかった夜の時の発想』のような恩恵を扱ったということか?」
「はい……」
「残念ながらそれは却下だ。ぼくたちは別に『本当にずっと』毎日をそう過ごすのではなくて、普通に購入の締め切りやものをパクる奴を見つけないといけない時は徹夜の仕事をやる時はやる。そして、その間完全にエーテルの色を出さないわけでもなく……その徹夜の浮いたような変な感覚を抑える時の心得さえもデュラのエーテルのようなものだ。別に『オレンジ色』は見たことがないな」
「そうですか……確かに今の学長の話を聞きながら考えると、そういう現象があったら、最初にガブリエル学長も知って、言ってたはずです」
「そうだな」
夜空の星……星か。星は確かに中立的で綺麗な、ただ人の叡智になるような価値なんだろうか?




