起点が間違ったら仕方がなくて
「基盤を固めるのが僕たちですから」
「そう。ぜんぜんわからないかも知れないけれど」
「アリアも同じですね。キット頑張ってたのに、僕たちはわからないです」
「その通り」
ぼくは教授の言葉に同意した。
ぼくたちがどんなに「奇跡のような行い」ができてるマギア、非凡使いのいちばん最上の仕事をしても、結局人間だ。それから聖堂の権威に補助してる大魔術を残し、「非凡科」とも同格に待遇される立場だとしても、結局人間なのだ。
黒死病になると仕方なくさよならバイバイして、煉獄行き。政治的に追われたとしても、人脈がないと、社会関係が貧しいと……同じ間違いでもより破門になってしまう。だから、ガブリエラはそんな熱心に自分の「心を読む目」を扱って水の堂と我ら、アルティの利得のために張り切っているということで……そのちょっとの心得は属性とも関係なく、教授になるマギアは多かれ少なかれ待たないと困る。
そう、属性とも関係がない。
普段の魔術の行使にもそれは似ているものだ。普通の人間だ。
……ぼくたちは、人として術を使うしかない。火の中、水の中、泥の中、煙の中、心のお仕事であるマギアの方法は、自分のスフィアと親和性が高い平凡のもの以外は、あまり知ることもできなくて動かすことはもっとできない。
だからギルドは「色んな堂のマギアたちが組む」戦いのカタチを考案して、今回もその作戦は上手く行った。
そう、泥の中で、マギアは魔術が集中できない。基盤が揺れて「あわわわわ」してる間、どんなエーテルの感覚と心得があるのだろうか。術の目的性と魔法効果を考えて出すことができるだろうか。そういうのは、多分ミカエル教授にも難しいことだ。その人の無敵のスフィアにも、ちょっと困ることなんだろう。
基盤だ。その「普段通り」を作るために、ぼくたちは頑張った。それはもちろん他の堂の人もよく知っていて……実際に今回の大魔術がぼくがガブリエラと共に総責任者になったことも「戦場が沼地だから」の理由があったけれど、でも、教皇庁の非凡科からの文書では、その言及がちょっと足りなかったんだな。
体温を守るために周りの平凡の熱を感じて扱うのも、
沼の毒水を防いで浄化と脱水をしたのも、
毒気を追い払ってギルドの意思疎通のために頑張ったのも他の堂だ。みんなが頑張ってる。
でも、派手な活躍を期待して述べることは、ぼくたちデュラはそのようにあまり言われてないから。
そう言うのを、土のマギアはみんな少しずつちょっとは思っている。元々のエーテルと自分の素から、ものごとを耐えて固めるのが土属性の基本的な能だとしても、ちょっとは気にするのもまた人間だからだ。まあ……だから参加者のリストを見てもそれでも大人であるベテランたちが集まったのが今このテントに集まっている土の堂のマギアたちだ。
でも、「今回の名誉」はいいとしても、普段の「攻撃魔術」としての面や活躍の派手さなどは確かにフラマやアクア、そしてアリアよりも多少少ないから、それは先の教授の控えめな態度でわかる。(基本、土のマギアは控えめな陰キャが基本だけどな……)
その時、他の引率の教授が代表に、話をかけた。
「ただいま、デュラの全員が集まりました!」
決めた。ここは長として盛るのも大事なんだ。
「お疲れ様。うん、確かに全員分の席はあるようだ。昨日の宴の時、ぼくは君たちに気にせずにずっと司令部にいて、あの平凡の技術者の人たちに今日の指示をしてから、すぐすやすやと寝てたけど。昨日はみんなもよく寝た?」
「はい!元気いっぱいです!!!」
まあ、それもそれで事実だ。ぼくたちは普段他の属性に人間離れのような扱いをされるけど(魔術の方面ではなくて、人間の習慣についてだ)それでも、やはりちょっと気運が足りない気がしてさぁ……やはりここは大魔術の引率者としての威厳、それを継ぐものとしての自信を持たせるためのメンタルケアが必要かも知れない。
「みんな〜が知ってる通り、ぼくたちの今のお仕事は平凡の工事の中、いちばん大事なところ。文字通り重いところ、重機としての土の操作の扱いだ。普段の容量に比べるとなんともない。ウンブリアの土壌は頭に入れている。
だから材料は万全、リハーサルも随分とやったと思われる。余るチカラを使うところも特にない。
ここでマギアとしてぼくたちに必要なことは、この待機時間をどう使うかだ。
みんなそこそこ好きなダンテの雑談でもするかとも思ったけど、その位も人はそれぞれだから、『ここに来てですか』と少し苦手な人もいるだろう」
みんながちょっと笑う。
「だから思ったのが……ぼくたちも心のお仕事をする非凡使いではないか。いつもラファエルギルド長が言っている言葉で、その代理を纏わることになってる……ここの共同代表者はぼくだ。
つまり、反省会だ。昨日話せなかったことを、ちょっと双方的にまとめよう」
ま〜実はとても苦手だけど!こうしないと昨日 虐げたエンブリオくんにちょっと面目がない。




