軽率さ
「つまり、元々『使い魔は伝令として使えない』のが平凡の戦争にマギアが支援されてもそんなに重役にならない理由だね」
「はい、その点は以前言いましたね。そして、『それでも非凡使いにはわかるから』意思決定の基準として認めるには、平凡のお偉いさんに『潜んで生きるアルマ』とかがいても、その中に実はいたとしても、絶対できないこと。
それを自分で周りに言えない限り、平凡の人と何の差がないのです」
「うんうん。それが大事なところ。個人の少しの用事でもない限り、人1人でできることが限られてるのがこの場合も全く同じだ。『それでもわたくしはあの輩を信じたいよ』とか言っちゃうと、ははははは、『貴殿、今まで俺たちを騙した面妖なものだったか???』になるのだよ。それは、今までのちょっとの権威もゴミになっちゃうくらいの、『本当ですか……がっかりしました』『こんな人だったとはぜんぜん思ってなかった!』『みんな普通に頑張ってるのに、ズルしたな???』となるキモさだから……」
「怖すぎる」
「そう。平凡の人が『本色を表した非凡使いを見分ける能力』は異常なのだ。それ自体が何らかの仕組みがあるのかとも思えるくらいだ」
うんうん。たぶんそういうのが「黄金のエーテル」の真実なんよ。非凡のものを敏感に嗅いで、平凡を守る何らかの圧力。いや、逆に押し出すチカラなんだ。
「まあ、平凡の人たちの心の支えからくるものなんでしょうね。悪魔がミサを耐えず燃えるのと、火刑されるものが『防火の魔法効果』も貫通して薪になっちゃうのも同じなんですよ」
「そうだな……そういうのが多分神様の偉さだ。私はずっと昼夜逆転して神話から取った名前の星を見ちゃうばあちゃんだけど、心から思うよ。
ステラちゃんは以前『非凡使いはなんでそんなにいい子として生きてるのか』気になった会話もあったと覚えるけど。まあそんな理由だね。
『ならず者のかしら』くらいの大きさではまだ通る。チカラでできる。でも、『傭兵団』くらいになったらすぐ、平凡の人として食って生きるのなら徹底的に非凡の技を耐えて生きるしかない。バレたら、『やはり平凡の奴らは信じれないな』として1人になるしかないのだよ。『不思議に元気でチカラ持ちの人』として、『感がよくてよくも難しい材料を持ってくる人』として生きるかだ。そして……それは非凡使いにはとても難しいことだ」
まあ、明らかにアルベルト氏やわたしを示す言葉だ。
そうだな。「魔術ギルドさえも」今我らと取引をしたあれこれした人は、非凡使いだった!とか言ってしまっても、「その言葉さえも」平凡の社会には通らないのだな。
それは非凡使いの口から出た言葉だから、実は非凡の言葉ゆえのものだからだ。夢を忘れるように溶けて落ちるのだ。
わたしはそれが、「心の言葉の世界を見て触れる」そんな種族だから、よりよくわかる。
わーお。先のアストラさんの無力感を信じた。
「まあ、そうですね。似たようなことにわたしも先、失言王でしたし、だから逆にマギアには『ちょっとの考え方と発言が変なのは見逃す』といった定があるのですね。そう決めてないと元々組織が動かない。『こいつ、今大魔術師さまのことを無礼に言ったな、失礼なことをしたな』になってギルド員を処刑するとか。話にはいっぱいあるし、実はいぜんの組織ではそんな感じだったとも思われるけど、今はそんなに固くしちゃうと心のお仕事である非凡使いたちがみんな業務意欲が減りすぎてやばばのやばだ。やめちゃうか、より酷くなるのだ。だからちょっとずつ減らして行ったら、またギルド自体が利用価値がなくなっちゃう。そうと……たぶん『非凡科くらい』ではできないですね。教皇庁の偉さで容認されてる」
アストラさんは頷いた。マギアは、非凡使いとして生きる待遇を貰う対価で、権威を守って、平凡の社会からずっと余所者であることを耐えないといけない。そうできなかった人は?まあ……破門された方の黒魔術師だ。シンプルね。
「まあな。そして、だからその……平凡の人として思うとめちゃくちゃな気軽で軽率な組織で、そうであるからこそ奇跡『の様な』チカラがちょっと制御できるのじゃよ」
「ふむなるほど」
「そして、だから先のステラちゃんの話の『聖人さまのような奇跡』がマギアには難しいことではある、と言いたかった。みんなが『前回までのアストラ・ネロの星の旅』の内容を忘れてどうでもいい話にまた囚われる、そういうものだからだ」
「確かに」
それはわたしも立場のために、アリアの先生たちと挨拶しながらよく感じた。
「ああ、長い焚き火もそろそろ終わるらしい」
「ななっ」
わたしがアストラさんの言葉に奇怪巨木の方を見たら、そっちは確かによくできる炭さえも残らない……燃焼率100%!!!を誇る元素魔術・火の術の結果……ラファエル・ムジカギルド長が持つクソデカ煙玉だけが浮いていた。
「さーーーそれではこれをラストに浄化して埋めて終わりだよ」
「マジで長かった雑談だったぜ」
わたしはそのスフィアがちょっとずつ縮んで、人1人くらいのサイズになるのを眺める。




