ウヌス・クロマ
「そして黒魔術師。それは魔術ギルドから破門になった人を示す言葉でもあるけど、ただマギアの系統の素質を持ちながら、それがよくわからなくて怖いことも言うのだよ。非凡使いはマギアもアルマも結局能力の制限があるから、寝てるところを狙ったりすると仕方がない。人は頭と胴体が分離されるとなんも出来なくなるからね」
「うげ」
「よくあることだ」
アストラさんは本当に怖い話をしてた。寝てる間は……わたしの、わたしの中のわたしのように特殊な場合を除いて、みんな動かなくて何の知覚もないのだ。ブイオさまの話によると、人は夢を見てそのたましいが体から一時的にさよならバイバイをするということも言ったけれど(だからみんなが好むギリシャ・ローマ神話では、眠りが一時的な死だと言っているのかも知れない)そういうところを狙われると、そして狙われるかも知れないと思うと、逆に権威を持ってない非凡使いは怖すぎて村で寝れないな。
「そうですね。わたしも黒魔術師の種類が出てる怪談はよく聞いてます。悪魔と契約して魔法使いになったり、死霊術で死んだものと会話ができると言ったり、毒薬を製造して流したり」
そう、毒薬。だからギルドは平凡の毒を見分けて消す方法をアクアのマギアを主に発展させていて、その方法が上手く通らない今回の毒液が問題になり……大魔術が「魔術ギルドの担当」になったわけだけど、でもこの場合は元々「ほぼ完成品」の毒草を精製してる仕組みらしいから、厳密に言うと違うものね。
そういう「毒薬使い」は類を言うと、「薬師の黒魔術師」のようなものなんだろう。
「うん、そう言うの。そして、きみが言った通り、そんなものの中では体系がなくて、その個人だけの秘術があったりするのだ。理解されなくて、わからない」
「ふむ」
「ちなみにきみの関心事だから先に言うけど、山森に詳しい方の非凡使いはみんな『白神女のことを知ってるから』体系はないとしてもその『よくわからなくて危険なもの』には入らない、ちょっと中立的な立場だと思うといい」
「はい、それはよく知ってます」
「だから、きみの村が非凡使いのことを怖がるとか嫌うとかがなかったのは、ただそういったものが村に来てなかったから。ただその理由かも知れないのよ」
「それは……そうだったかも知れません」
そこで、わたしは「灰色の呪いになっている深紅の悪魔として」もしかするとその、わたしの村の平和を破ったのがわたしだったんだな……とちょっとクララの自意識と混ざったまま思った。
実は「魔術的な疫病」は「非凡使い」とも違うもので厳密に言うと「非凡使いに襲われたこと」ではないけれど、わたしに自分を動かす動力、意思などないけれど……でもその本人として村が明らかに一回めちゃくちゃになったのは事実だと思われる。そのあとは知らない。
「まあ、今の心と体になるまでの経緯がきみ自身も曖昧なんだから、それも今はどうなってるかはわからないけど。でもきみが住んでた時期の村が平穏だったのは、そういう『小さい社会だから』の理由もあったんだよ」
「そうですね」
「そして、非凡使いともまた違って、髪の色が珍しかったりする子はそれでまた苦労をする」
わたしはベロを出しながら言った。
「はい、それはわたしも『白い子』のことを母に聞きながらずっと思ってました。そしてここフィレンツェで身分を作りたいと思ったのも、最初はその理由ですね……」
アストラさんは瞼をずっと動いて、たぶん今の情報量が多くなったせいだと思うけど(今もキメラ・プラントは勢いよく燃えている)ちょっと紛らわしいように言い出した。
「うん〜ダメだ!話がややこしくなるから一回まとめる。
非凡狩りの話に戻ると『白神女をなぞるものは非凡狩りの対象ではない』のだよ。そしてその理由にはそういうたぐいがそれぞれの立場でも『白神女を尊敬してるから』別に物欲とか険しさとかがないのも理由なのよ。労働満足度が高い」
「はい」
つまり、別に魔術ギルドのように、教皇庁の非凡科のように平凡の社会に関わりたいと思ってないから偉くはない。それでも「白神女」というみんなが知ってるたとえがあるのだから……その人が偉いからドルイドたちの呪術は非凡のものだけど「神秘的なもの」として親しいのだ。聖堂の教えと相反するからその属性や言葉も「ないもの」にしてるけど。ただその人が行方不明になっただけで能動的にドルイドというものを消そうとするんだけど。
「そういうのではない黒魔術師のわざは、今はぜんぜん消えて見えない『祟りの色』のように、属性で定義できない混ざった色が見えると言われる。固有の、理解されない色だ」
「そう言うのは、まあ……平凡の白い子よりも珍しいかも知れないですね」
「そう。白い子も非凡使いも実はこの広い世界で……そんなには珍しいものではない。マギアもアルマも中間も時々いる。でも、その特定の黒魔術師が持つ秘術は固有のもので、その魔力の色は本人ではない限り被らない」
スタンド能力を入れたくてこれ全部を作りました。




