毒の雨はわたしはこう思うよ
「私たちは平凡の炎のことはわかるけど、スフィアに触れる水のことはわからない。だからただの災害だったけど……そのわざはアクアのみなさんの立場でもなぞなぞ秘術だったようです」
なんか専門的な話をしようとする彼女に、いったんわたしは理解の高さを調整した方がいいと思って探る言葉を投げた。
「魔法生物も秘術を使うのですね。なんかエンブリオくんが好む騎士小説の話でも、ドラゴンが火の息吹を吐いたり、鱗を独自な魔法効果で固くしてアルマのわざから身を守ったりすると言います」
「レヴィアタンもデモンも同じですね。だからそれ自体はそんなにおかしいことではないですが。魔法生物の大群を率いて本体もその様に強い。それは間違ったモンスターでした。『毒草』をいっぱい出すだけで容量オーバーになってもおかしくないのです」
「だから、調査隊の方々がそういうここの状況を伝達したら、火の堂では平凡の戦闘のような戦術を立てたんですね。なら、その毒草のそれぞれの耐久力を削るためにフラマの火力を上げるのが合理的で、本体はすごく丈夫そうだから、ベヒモスとしてその硬さと攻撃が強そうだから司令部の戦闘マギアに絞って相手する。時間がかかるかも知れないけどそれくらいの戦いのはず」
「ふむふむ。まさにそうでした。エンブリオくんが言いましたか?」
彼女もちょっとわたしが大魔術の詳細に詳しすぎると思って、確認した。少年が代わりに答える。
「いや、ステラさんは中央堂に頻繁に出入りしますので、普通にアリアの教授たちに聞いたと思います」
「はい、盗み聞きもよくないと思って挨拶のついでに普通に聞いてます」
「そうですか。確かにアストラ・ネロさんの薬師さんとして喋ってますと中心の1人だ」
まあ、だからこの人は今わたしに話かけてるんだろうけど。
「あはは……そして、またその『毒の雨』のことに戻りますが。わたしはエンブリオくんがどう感じたかも問題だと思いますね。だって、四属性なんでしょう」
「それはそうです」
「いや、おれは戦いの間はみなさんの話通りフラマに絞りました。まあまあせんせいと同じ感覚だったと思いますが」
「でもちょっとはわかるじゃん」
「それも多分もう言ってます。所々の沼の水が、急に消えた」
「まあ、アクアの方々もそんな話。でも、私はそういう行いは本当に『干ばつがきたところに急に雨が降った』と同格のものだと感じてますので、いま司令部の中でガブリエル学長の次に納得してない人です」
「なるほどですね」
あ〜〜〜!!わかった。この人、聖堂に真剣な人だ。ガブリエラちゃんは自分が水の専門家だから、理解できない仕組みが回った魔術のような現象が起きて、それが納得できてない。だからすごく不満だけど、それは技術的な問題だ。
でも、この引率のせんせいは、偉さの問題だ!!!そして、もしかするとこれはその本心の底までは自分自身も考えていない。「雨を降らす」ようなものはまさに聖人さまのような行いじゃないか。今もどっかの地方は普通に降水量が少なくて、「祟り」や他の非凡の行いとも関係なく普通に凶作が来てしまう。そこで水を送るのは普通に……
奇跡だ。
そう、「奇跡の様な行い」が聖堂の偉さゆえの魔術。彼女は、あの怪物のわざはただよくないもの、奇怪なわざだったと信じたいのだ。そして偉い立場でありながらまた優れたフラマだから、たぶんそれは他のフラマの生徒たちの、火の堂の総意でもあるかも知れない。だから、彼女もまたその時に他のギルド員を納得される理由が必要だ。説明する側、納得させる側なのだ。だから、そのもやもやが晴れてなくて、これは戻ったあとも大変だ。どうしよう〜〜〜していたところを、「確かに話題になってる人ね」とステラ・ロサさんが来てるのを見て、今混ざったのね。
「そうですね。薬師さんはアストラさんと非凡の物事や魔術史の話もよくされたと思いますが、あの『雨』についてどう思いますか?」
「うーん、わからないな。でも、祟りでしょう。だからわたしはただの語り手としては……簡単にこう決めたいですね。『夜空のものだから』ですね!」
「いや、『ただなぞなぞの存在だから』ではなくてですね」
「いいえ、そういう意味ではなくて、『夜空』は空ではないですか。空から落ちた『非凡の流れ星』がなんか奇妙な化け物になった。だから、上から来たものなんです。『上から来ているという根本』があるのです。その性質を偉さが張っている水に強いると、その水もまた『空から落ちる』ことができるのではないか」
「ふううん〜」
もちろんわたしは木属性は専門だとしても、その「巨木」の秘術の原理など知るわけがない。(古代魔術・木として説明すると、植物の根のように水を上に運ぶこともできるけど、この場合、スフィアが張っている必要もあるし、今の話ではその媒体がないのだ)だから、わたしも半分その「夜空のもの」だから投げちゃう説明になるのだけど、「だからもう一回降らせた」は適当に物語性に合う理屈になるのではないかな、と。




