竦めて張ればいいんじゃないか
それはそれとして
ドルイドの術が、あらまあ素晴らしいものであることは承知の上だとして、
自分の境界を良い感じの拡張する方法は考えておきたい。
なんかないかな。
「炎矢」ではなくても「水」「土」「風」はなんかないかな。
もちろんわたしは「元素魔術」など一ミリも知らないから考えても仕方なく(魔術ギルドと縁があったら調べてみよう)
使える知識に頼ることにした。
「ブイオさま、あいつらは自分の強化に、「脳みその瓶」を使うと言いましたね」
わたしは狼さまに問う。
狼さまは耳をこっち向いた。
「そうだ。「深紅の悪魔」は心の言葉がちからになる種族で、知性体を攫って自分のいいなりにできると、自分のエーテルを扱う中間地点としても使うことができる。遠くから周りの状況がわかるし、心の言葉の術もちょっとは届くようになるのだ」
「深紅の悪魔」の性質も半分持ってるわたしであったが、その術はわからなかった。あの子は使えないかな?ただ覚えてないだけかもしれないけど。もともと「賢者の国」は人がいっぱいだったので、賢者は迷惑だからその術を禁じたしね。
まあ、もちろんわかったとしても使わない。同然だ。自分は人間として生きて、人を助けるドルイドだ。そしていつか「森の姫様」になるし。そんな邪悪な手はこちらから御免よ。
でも、原理は参考になるだろう。
「自分の術が遠距離からも届くようになるのか。「炎矢」と似てます」
あいつらの術は、まあ、「土」のエーテルなのかな?金属の箱を作って、その中に人の脳みそを入れる。その瓶は勝手にしゃべって奴らのテンションを上げるし、残された頭ない人も、なんか平気に社会に紛れて生きるという。(邪悪すぎる)
心の言葉のこうげきは、見えない水を被る感じだ。そのエーテルに当たると、くっそ気分悪くなるし、並みの人は自分の平凡と非凡の強さを発揮できず無力化される。だから奴らは雑魚なのに人が狩れる。でも、そんな深紅の悪魔が「賢者の国」の賢者たちには逆らえなかったから、その国は平和なりにそこそこやばい所だったかもしれない。
まままま、着目点は、明らかに本体とも「瓶」とも犠牲者とも互いに距離の差があるのに、心の言葉のこうげきなどが届く、ということだった。中間経由だと言ったが。
「そうだ。中間経由点。そして、前準備としてその「瓶」を出すに大量のエーテルを消費するという感じだ。廻が豊富なら全然問題ないけど、たぶんこの世界では奴らはまず人の子をちょっと食べて、余分の栄養を得る必要があると見る」
「なんと邪悪な」
まあ邪悪なのは今更の事で、これからも3500回くらい言うだろうから良いわ。
だいたい原理はわかった。
まあ、いちおう似たようなもので例えるとあれだ。触媒になるものを設置しておいて、そのもの経由して廻のエーテルを動くと、術がより広く、遠くに届くということだね。それはわたしも「畑の穀物の面倒」の場合に使えるコツとして知識があるので、理解できた。
境界の範囲を広げるに、まず「木」のエーテルの触媒になれるものをたくさん確保して、周りに散らばっておくか、その粉の袋を投げるか、そんな感じに豊かにしておくと、コントロールも安定で、内側のエーテルの消費も少ない。うむ、ドルイドの呪術に比べて接近できるのはわかりやすい。
まあ、そう言ってもそんな素晴らしいドルイドの呪術の触媒が、花や葉っぱや果実などが、冬の今ではなんもないということであったが。この世界は全然エーテルが豊富ではなかったが。
しかも、今のわたしは、もともとその触媒を準備する段階で、こうげきを当たりたいのだよ。準備してる場合じゃないんだよ。
初手遠距離こうげきをぶちかまして戦闘を始めたいのに、1ターン使っちゃうじゃないか。
考えが積んでたわたしに、
「とりあえずおまえができることから考えたらどうだ」
狼さまはそう言った。
「わたしができることなんてこの杖を振るうことですが」
「振るとどうだ」
「ふむ」
いい指摘だ。やはり我があるじ様よ。
そうだね。杖を振って、「花びら」を飛ばすのはどうだ?それもちょっとわかりやすい。「推進力の為に触媒を張って前準備をして」が省略できる。
つまりだ。杖の「球」に、花びらのちからを集中して、「気力を減らす機能」を意識する。それと同時に、力強く振り下ろして花びらの塊を飛ばすんだ。そこに的が当たったらめっちゃ気力なくなる。
そしてこれは明らかに普段よりは遠くから届く。当たって元気なくなった「悪魔」を接近してぼこぼこにすればいいということだ。
「なんか形になったな」
「中々いい方法なのではないでしょうか」
「でも、おまえの筋力は限界があるから、そんなに遠くまでは飛ばせないかも知れないな」
「それはやってみないと分からないです」
どう考えても「非凡の術」ではない力技だったが、ちょっといい発想だと思った。




