灰色(はいいろ)の呪(のろ)い
「ドルイドさん、凄いや
おれ、今まで魔術ギルドで学んで、色んな本で世界と物語を調べたけど、こういうのは初めて見るよ」
おれは綺麗さっぱり元通り戻った少女を見て、素直に感心した。
「そうか」
「助けてくれて、ありがとう…
ゲボゲボ」
地面に強く当たったせいか、怪物になんか病でも移ったのか。
体の調子が変だ。上がれない。
「あれ…なんか変だ
あの…ドルイドさん。助けてくれたばかりで悪いけど、ちょっとおれの体を見てくれないか。
ドルイドの「木」の呪術で直してくれないか」
「少年?」
そこで、おれの意識は川に落ちた。
黒
黒
黒
死
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「童はこれから永久の眠りに落ちるぞ。
この星の民は、貴女に任せるよ。平凡と非凡の定め、命、未来
どうか、落ち込むこともなく、愛されて、愛することを。我が子よ」
その言葉を残して、母上が深海に眠ったのも、もう何万年になるか数えきれない。
俺はそのうちに守り神になって、人の子は勝手に繫栄した。
これがなんの意味がありますか、なんになりますか、とは一回も思って〇(ない)。疑うこと、それだけで、∀(すべて)が止まってしまうのではないか、怖いのだ。恐いのだ。ただ■■■■■■■の教えを従うだけだ。
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「きみはわたしの最初の弟子よ。今までわたしが育ったものは多いけど、きみにはこの星が好きになって欲しくて。はは、彼の言葉を今は理解する」
師匠はそう言って、茶髪のストレートの自分の髪を触った。いつも共にする怪しげな■■のやつは気持ちが良いようで鳴いた。いつも愉快かな。
ただわたしは「颯」の傾向に従うだけなのに。自分にはなんの中心もない、欠陥の薄いコアの個体なのに。今のままでいいのかな。わたしは、上手くやってるのかな。
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全てが死んだ。絶対宇宙戦争は終わった。
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黒
灰色
青
「」
「…ねん」
「少年!」
おれは目を覚ました。
永い夢を見た。おれは、多分人ではない何かになって、数えきれない年月を生きて、死んで、絶望したんだけど、なにが失敗だったか、なにが絶望だったか全然わからないまま
ただ止まっただけの、重くてだるい思いで、思い出を味わいながら
「ドルイドさん」
全身が宝石みたいにひび割れて
今でも崩れ落ちそうな少女を見上げた。
「うむ、目を覚ましたようだな」




