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冬の魔法効果

「そうだな。きみの言った通り、『フロスト・ノヴァ』は本当に効いた」


「そうでしょう」


「冬に生きる作物はない。動物はものを食って動けるから非常に厳しいながらも冬に活動をすることがいったんできるが、草木は寒さを耐えるしかないからだ。木の実を残す以外は粉を運んでもらうハチもなくて冬風はすぐ花粉を凍らせるだろう。散らかして、苗木も生えないのだ。

だから他の四属性も寒すぎて止まる冬に、植物はより致命的だ」


まあ、ネタを言っちゃうと「だからマギアたちはドルイドの呪術に勝る」のだ。あたしは別にそれだからって優越感を持ったりしないけど、凍って動かない水をあえて砕いて溶かして動かすことと、全然生命力がない冬の樹木を利用するどっちが難しいかを言うと、言うまでもない、水の方が容易いから。それくらい。

秋まで頑張って集めた素材で春を待つしかない呪術師よりは、普段の魔力お仕事ができるマギアの方が平凡の人たちも安心ができる。平凡の社会の納得なしで非凡使いの日常は維持できないから……そういうこった。


「うん、そしてギルド長も言ったけれど、元々昨年末の冬の間は毒液の流通はちょっとだけあったが、毒草の魔物はあまり見えなかった。報告がすぐ無くなってて、『なんか黒魔術師の使い魔みたいなもんかな』みたいな説もあったね」


「あったあった」


彼は自分の教授たちに視線を向けて、頷く彼らを見てまたこっちを見た。


「あたしの『霜星(フロスト・ノヴァ)』はそのまま霜を具現するような魔術。時と共に雫が落ちて川に行く、そのような過程をスフィアで繰り返す魔術だから。その結果で冷害を受けた様に平凡のお水が凍って出ちゃうのだ。軽く刺すと朝前の霜の様に、一番研ぎ澄ますと冬になる」


「それは本当に学長も『恒例(オルド)』にする気が全然ないですから。これからもずっとこの人の固有(ウヌス)のものに残ると思いますよ」


そう、実は他の固有魔術同様、あたしの「フロスト・ノヴァ」は平凡の技術の説明を持たずに、あたしのこの世のお水への概念、そして苗字の「(ブリナ)」から連想してより幼い頃から思ってた想像をあたしの魔力の群青で膨らんだものだ。だから尖ってるが、スフィアが縮む。他のマギアと相応しないから。

あたしは肉を噛みながら適当に言った。


「いや、使えたらぜんぜんいいよ。あたしがそれが別に汎用的だと思ってないだけだ。攻撃魔術は正直ふだんの水の操作で十分過ぎる。これからも日常のお仕事と性能を兼ねるものを作っていきます」


「『脱水』みたいに?」


「そう。いったん人に向けて使っても安全に改善するんだ……」


「まあ、(わたし)たちの定めは普段からも別に軍人ではないですもんね」


そこで、いったん今のスープを飲み終えて、おかわりをするかやめるか悩んでいる、ウリエルくんが火の堂の引率のせんせいに向けて話題を投げた。


「そうです。それはミカエル()もそうだ。ですよね」


「うん?私?はい、そうです。

いつも言っている気がしますが、彼は基本平和主義者みたいなものですから、その仲間で弟子である私たちも大体同じです」


「はい」


「別に私たちは聖堂の武力としている訳ではありません。それは非凡の騎士団もそうで、なんかうちの騎士小説がすごく好きな子の話では『過ぎるのもよくないらしい』と言ってたから暇つぶしの話も使える言葉があるんだなーと思ったんですが」


「似た様な子、水の堂にも1人いますね」


そしてその張本人はあっちでフラマたちと食事をしているはずだ。そうだな。先「奇妙な経験」をあいつもやった気がしたのだ……

まあ、今の題はそれではない。


「ははは、なるほど。で、だから私たちの強さは、水、土、風の皆様同様現場でだけ許される奇跡の様な能力と怪獣(ベヒモス)も破れる馬鹿力です。もともとマギアもアルマも無限ではないからです。

ウリエル学長の話も聞いちゃったからこっちの学長のいつもの話もまた売ると、そういう『どうせ扱えない』が、でも、平凡の兵団にはないですから」


「そう。『それがなんの問題だ?強いといいんじゃないか』になるからです。平凡の人は」


「責任問題です。力量を発するのは非凡使いで、元々本人たちは魔法効果が切れると頭や胸に無理した疲れが襲う、パン一つも共有オーブンで焼けない貧弱ものだ」


「いや、流石にアルマは鍛錬してるし……」


「その生命力を闘技(アルス・アルマ)に使うのです」


それもそうか。


「だから、非凡使いがコントロールできる平凡の人が結局のところいちばん威勢を持つことになる」


ウリエルくんのまとめに引率のせんせいな同意した。


「そんなんです。皆様は幼い年だから詳しくないと思いますが、その短い何年で、うちの学長がどれだけの無駄な命を焼いていたのか。まあ、それも過程です。それはそう」


「そうです。その過程がなかったら今の構造を持つこともできなかった。そして今の構造ができてやっと『非凡科』と取引ができる様になったから、黒い兵団の偉さなくても聖堂の権威としていれる様になった」


「まあ、あたくしの意図もそうなんです。アクアたちがみんな霜星を熟練して洗練された槍兵の様になっても、それはもう別物の水の堂、アルティ・マギアになっちゃう」

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