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花びらの手品

人差し指と中指で空中に円を描いて、自然に「花びら」を出す。

それをあっちこっちに回転させるのが、わたしの「エーテル操作」だ。

というか、ただの可愛くて綺麗な手品だ。


「これ、見ものとしてお金になるのでしょうか」


「わからんな」


その、自分の非凡(エキストラ・オーディナリー)としての力をコントロールしながら

「古代魔術」とはなんだろう、とか思った。


わたしはドルイドの術が使える。最近までは「ドルイドの杖を振って、杖の球を媒介(ばいかい)として「木」のエーテルの強弱が操られる」感じだったけど(つまり、多少張ったりだった)「エーテルの流れ」が目でわかるようになった今は、こどもの頃見てた、クララの頃見てた、ドルイドのばあちゃんが使ってた術と同じ原理で、同じ術が使えるということを理解してる。

理解と言えば傲慢(ごうまん)だから、表現を変えると、日常生活の常識と言葉を知ってるように知ってる。

実際に今のわたしは、適切な薬草があると、痛み止めも、めまいを治める(くすり)も、熟眠できる(こな)も作れるようになった。お肉からの匂いもいい感じに抜けれるし、作物に活気を与えられる。


ぎりぎりまで円をデカくして、また手の周辺に収める。

真っ暗な海を背景に踊る白だ。

綺麗でしょう。


おかしいのだ。

なにがおかしい?と言うと、わたしが学んでいる(学んでなかった)

わたしに混ざっている「深紅(しんく)悪魔(あくま)」が、あの()が以前学んでいるこの知識はー

「ドルイドの術」じゃないんだ。


「古代魔術」なんだよ。でも同じなんだよ。

これからもっと記憶が戻るとしても、とりあえずこれが「ドルイドの術」なのは確かだ。

ちょっと情報が抜けたとして「狩り人の知識」と「小麦の育て方」が被ることは無いでしょう?「花の知識」と「商売のコツ」が被ることは無いでしょう?そんな感じだ。

いったいどういうことだ?なにをされてる(かた)なんだ?


古代魔術という言葉自体がおかしい。「少年」の言葉と、わたしの記憶と、ブイオさまの「型物理性(かたものりせい)」の言及を調合して推測すると、この世界の国はだいたいこんな感じだ。

「賢者の国があった」

「兵士の国があった」

「今の社会がある」


もちろん世界に人は多すぎて、たぶん100万人くらいは軽く超えると思うし、その人々には、その社会には、それぞれの、こんなにかんたんに言っていい訳がない、深くて長い歴史がある訳だが、古と過去を彷徨い歴史勉強を磨く学者さんもいっぱい居たと聞いたんだがー

わたしは、まあ、冷酷で熱情で鋼のこころを持つ現代の森ガールだ。桜のドルイドのステラ・ロサちゃんだ。自分のことで精一杯よ。

とりあえず桜のドルイドのちゃんの歴史は

「賢者の国の古代魔術という名前のドルイドの術を学んだ」

「兵士の国の杖道(じょうどう)の知識を伝えられて学んだ」

「今、ドルイドの術は残っていて、賢者の国は聞いたことも無い」

兵士の国は、まあ、もうわたしの「ステラ・ロサ」としての故郷みたいな感覚で、たぶん喉と鼻から感じる、草をちぎった香りと高揚感が非可逆的(ひかぎゃくてき)に繋がってると思うけど、ここで言いたいのはそこじゃない。


①賢者の国は存在も話も証人も残ってないのに、ドルイドの術は残ってる。そんなことができるのか?

②ドルイドが代々に伝わったとしたら、国の名前も術の名前も残って同然だ。何故なら、名は器だから。

③なんで、「その時点で「古代魔術」だった?」


「むむ、わからぬ」


集中が切れて花びらが落ちてしまったので、ひょいと起こせた。

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