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許されない馬鹿な真似

「許されない馬鹿な真似、あるよね」


「そうですね」


水の堂の二人はぼくのことを配慮して直接的には言ってない。ぼくが話を変えてもぜんぜんいいということだ。

だからぼくはため息をして、自ら話を繋いだ。


「そう。聖堂の言葉を破って『永遠の命の研究』とかをやるとだめだな」


可愛らしいポーズでぼくを横目で見てたガブリエラは、やっと話に入った。


「ウリエルくんの心がそんなに変わったものではないのは、だからわかるんだよ。あなたは土のマギアとして同然な疑問を持ってるのだから。

立派で、革新で、進みだ。自分の身のためじゃないね」


「そう……」


確かにその変な連中も表の言い訳では「世の為、人の為」だった気がするが……人が永遠に生きる事が別に世界全部の為になるわけがない。それはな。


「永遠ですね。それは水のマギアとも関連してるから記録がけっこうありますね。平凡の肉体を持った人間が非凡のものになる方法、平凡の肉体のままで無限の命を持つ方法など、方向性もちゃんと多方面に潜ったりしましたね。熱心ではありましたね」


「そうです」


ガブリエラは「ふう」と息をして言った。


「後者、『平凡のからだのまま無限に生きる』ことは有名人がいるから、なくならない目標になってるね」


ぼくは流石にこの話題は他の人は聞いて欲しくないので、周りをまた見た。アルベルト・レグノ氏が地獄耳ではなかったらいいけど。


「だからぼくの苗字、モルテ家の人間の一部が『わーお、自分の苗字に逆らう快感』とか思いながら、永遠の命のための研究でラインをいっぱい超えてギルドから破門されたもんだ」


「それはあたしは本当に白神女(しらかみおんな)が責任があると思ってるよ。無限の命を持つ人がいるじゃん。ふつうに魔術史の前から生きていて、権威には逆らってなくて『非凡の拮抗』の生きた例になってる。だから聖堂も気を遣って彼女と神獣に触れてないけど……見る人が『永遠に生きる人もいるのになんで俺の家族は?俺は?』と頭が狂うのも有り得るのよ」


ぼくは頭を振ってその言葉に反対した。


「それは飛躍だ」


「飛躍ではないよ。お偉いさんはいつも無限に生きたがる」


「それもまた、平凡のものの考え方だよ」


「ふうん」


「実際に他の非凡使いはそんなに永遠自体を(ほっ)してない。表ではね。でもぼくの一部の親戚は聖堂の権威をパーにして魔術の探求を続くし、土の堂、水の堂のマギアとしてのお仕事にも怠惰。決定的に、放置されたプロジェクトを調査してた非凡科のディミティスの結果で問題な魔力素材を取引していたとも言った」


「まあ確かに非凡科の調査に偽造はなかったらしい」


「学長、非凡科は基本偽造などしませんよ」


「そうそうそんなことぜんぜんない。元々ありません」


「……だから一部は火刑、一部は追い出されて、一部は逃げた。そのあとは行方不明。ぼくの家系はもともと系統が違うから関りがないと判断された」


「それはけっこう非凡科に感謝すべきことだよ」


「知ってる」


本当にそう思っている。


「主に……『飲んで無限の命を得れる秘薬の製造』などに没頭しましたね、その人たち」


ぼくは茶髪の教授の話に頷いた。


「そうだ。ポーションのカタチでも、粉薬のカタチでもいいから、自分のイドとスフィアを無限のものに変えて欲しくて色んな実験をしたと言ったよ。ここで話すこともできない危険な内容をね」


ガブリエラが言った。


「もともと、『寿命を延ばしたい』『マギアとしての扱いを無限にしたい』のどっちだよ」


「そうだな。ぼくの考え方では同じだけど、いったん前者。平凡の体の寿命を白神女のように伸ばすのが目的だったらしい。そして、違法魔力素材もオスマンから流れたものだとか」


「非凡科のたちばではなお破るしかありませんね。(わたし)が思うにもそれが決定的でした」


ガブリエル・ブリナがだめだね、と頭を軽く振った。


「そうだね。非凡科は魔術ギルド同様、非凡のことに関わって、非凡使いの法廷のようなことをやるけど、教皇庁の中の下の組織だから平凡の社会の中にあるもの。普段に異教徒は処罰対象だよ。個人の取引はやばい」


「ただ取引するだけでもないですね。アルティの機密が流されちゃいます」


「確かにぼくもそう思う。人は知識がいくらでも学べるから本もあって言語もあるもの。『珍しい魔力素材を得たい』という微妙に熱情的な理由で間接的に土のマギアの魔術理論や中央堂の大事な記録を漏洩(ろえい)されるかもしれない危険な行為でもあるのだ。ぼくたちがそうするほど、そうされると困るね」


「そうね」


ガブリエラがニッコリとほほ笑んだ。

魔術ギルドの理論ももちろんそうだ。ペルシアから伝わった書物をラテン語に翻訳してその学術語のものが今の平凡の学文や非凡の理論の糧にもなっているが、こういうのはシステマに利益になること、権力に好意的であることが大事だ。それが、モルテ家はどっちでもなかったからだな。

ぼくは、別に自分が無限に生きてなくても、その術の結果が崩れず残ると、マギアとしての永生に等しいと思うがね。

ウリエルくんが時々茶髪の教授ちゃんに敬語を使ったりしますが、それは2人が10歳で普通に年下だからです。こういう部分は他の言語では生きてなくてもまあまあ大丈夫です。

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