悪魔が崇めるもの
なんという事でしょう。とんでもない事実を知ってしもうた。
実はな、その前に、「あいつらにそれなりの神様という概念がある」という推測も随分と侮辱的な考え方なのに、社会不適合者判定だったのに、しかも、聞いたこともない化け物がその対象だったとは。
そう言えばドラゴンも実在してる世の中だった。となりにいる狼は2.5mのありえないデカさだった。
くっそデカい、きのこの怪人があってもおかしくない…のか?
でも、でもでもでも、まだ希望はあるので、わたしは狼さまに言う。
「まあ、それでもあれですね。そんなドデカいぶにゅぶにゅは「自分たちと似たような姿をする憧れの対象」なだけで、空想の存在なんでしょう。この世に実存するとか」
「いや、それが、この宇宙に実在するのだ。ちゃんと。星や山くらいのサイズなのだ」
「良かった…やはりそういうものが実存するはずがない。安心しました!」
「おい」
もう一つの事実を取ることにした。
「世界は考え方なんですよ、ブイオさま
わたしは考え方によって、随分と気持ち悪いものかも知れないけれど、
毎朝 筋トレして人を助け、こんなにも可愛くて聡明なドルイドの子ちゃんなのではないですか
似たように、ただそのように見える星で、そのように見える山なんです」
「まあ、好きにしろ」
「もう一つもなにも無いわ」とか、「でも、その星と山が人を食うんだぞ」とか、くだりが続くと思ったのに、あっさりと話を切る狼さまだった。なんなんだろう。これも「型物理性の理」なのかな。
深紅の悪魔は自分たちと似ている邪悪なものを勝手に想像して崇め奉る、まるで怪しい連中だった。(そういうことにした)そういったやつらが今も世界のどこかに潜んで、人の心を乗っ取り、(文字通りに脳みそを乗っ取り、)犠牲者を増やそうとしてるとか、まるで許し難いことだ。
一刻も早く、そんな宇宙きのこたちをこの正義の杖で一匹残らず一掃したいところであったがー
そう言えば、あいつら、なんできのこみたいな体してるのに、頭殴るだけで倒される?
もともと、死の概念があるのがおかしいじゃないか。
それは確かにおかしいと思って、わたしは狼さまに問う
「でも、もともとそいつらは何で死ぬんですか」
「それは、明らかに以前言ったと思うのだが」
説明してるらしい。
「もう一回お願いします。わたしはこれからあいつらと何回も戦うので、復習は何回やっても足りない」
「ふん、それはそうだ。定期的に言わないと不安になるのは自然のこと
いいか、「深紅の悪魔」は確かにきのこや樹木に似ている性質を持つ。でも、「個」の概念がある」
「個人ですか」
「うむ。そして、ボコられると、その概念を維持しようとする力が弱まるんだよ。」
「それは確かに納得できます。なにもかもが弱まるでしょう」
「その力そのものが、おまえの体を維持している「名前の縛り、器」みたいな仕組みだ。
「あ、もう無理」になると、もうその「個」が維持できてなくて、ただの胞子や枝葉みたいになる。」
「名前を付けた木が、切ったらただの木材になることと同じなんだ
その残りのエーテルをわたしが吸収できるということですね」
あいつらに死の概念は薄いかもしれない。もともと「呪い」の状態から、星の力を得たとしてひょいと復活できてる。平凡の生物の考えではどうも理解ができない。
でも、死の概念が薄いとしても、私生活の概念はある。「私」の概念はあるから
それがボコられると維持ができなくてそれはそれで「真紅の悪魔」には死と等しい感覚なんだ。
自我も無くして、意思疎通もできぬ。ただ宇宙きのこの胞子になって散るだけ。
泥で作ったおもちゃが崩されて、川水に流されて、溶けてしまって、なにがどこに行ったのかも知れない、得体を知らないものになってしまう
得体を知らない奴らがもっと得体を知らない状況になってしまう、「自分の自我が維持できない」、まあ、そんな感じ。大変になるということね。
だから、廻にその器さえ維持できなくエーテルの散り散りになって「消え去る」のは、平凡の体を持たぬ、非凡の死だという事だ。




