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夢国は時間を覚えてるのだろうか

「いったん、霊属性のエーテルというのは、亡霊そのもののようなものだ」


わたしとエンブリオくんはブイオ様が言う「霊属性(アマウロス)」というものが一体何なんだろうか今までぜんぜんわからなかったけど、それでも言葉をちょっと覚えて当てる(のう)はある子達なので、理解を整えることにした。


「そうですね。おれはマギアだから四属性以外は思いもしないけど、狼の星のスターダストを持つ坊やとして言います。霊属性は、使い切ってちょっとの名前だけが残った、炎のあとの灰のようなものだ」


エンブリオ少年は天才なので、わたしたちの話をこの間大体追いついていたのだ。わたしは頷く。


「うん。だから人は体からなんらかのぶにゅぶにゅするものが出ることもあって、神秘な夢を見ることもできる。これは人が霊魂を媒体にして平凡の霊属性のエーテルのようなものと関わっているからだ。バイブルにもそんな超常現象(エキストラ・オーディナリー・イベント)がいっぱい出てるね」


「そうですね」


「ここでみんなお馴染みのトマス・アクィナス氏の3つの魂の理論によると植物とどうぶつと人間の魂があるのね。そして、この中で人間(にんげん)だけが『個体(ウヌス)の立場でも』自分の名を持とうとする。これが基本的に人間(ひと)の、平凡のものとして持つ自我(イド)として作用するのだ」


「いくら強力で奇妙なチカラを持つものだとしても、自分で自分の種類ではなくて、名前を持とうとするものは少ないですね」


「そう。くららちゃんの時に見た『心の言葉で話しかける鹿』も今の大魔術の件の『毒草のウヌス』も別に、『こんにちは私はなになにというものですが』と自分の名を明かして話しかけていない。そんな種類で、そんな種族だ。個別性はあるけど、マナというもので自分を定義しようとしない。これは、個人の奇抜さより種類としての誇りが硬いからだ」


「そうですが」


「深紅の悪魔もちょっと似てる。個人の名前を持とうとしてなくて、個人の不満や利得はあるけど基本心の言葉で繋がってるのだ。だから平凡の知性体に初手即死技(しょてそくしわざ)を飛ばすようなやばい種類だけど、この『3つの霊魂』理論で話すと植物の魂の方に近いかもしれない」


「草木の魂にですか」


「うん。吸って増す方面に集中するから。つまり、『夜空のきのこ』だ」


「夜空のきのこ」


少年は眉毛を上げた。


「胞子で繁殖できるしね」


「なるほど」


「そして、ブイオさまの話によるとその種類としてではない個体としての名前が真名(マナ・ディミティス)として体から出た状況の自分を主張する。だって、夢を見ながら世界を旅して、体に戻らないと困るじゃあないか。霊属性の立場で、名前はその時に使われるのだ」


ブイオさまも説明した。


「この、自分の名前を持つということは結構大きい特徴だ。主張する過程で、またチカラのようなものが出るからだ。その『こんな名前ですが』という思いそのものが集まって固まってるのが個体の真名(マナ・ディミティス)だ。

だから、わたくしはこの子が夢を見るのが原理的にあり得ないと思ったんだ。基本深紅の悪魔は名前を持たないし……名を持つ知性体になってフリをすることもできるけどそれは『支配』して動かすのだ。この場合も名前を呼ばれても『はーい』しながらも自分のことではないのは明確にできる。そうだな」


「はい。だから苦手だと思って元々試したこともないです」


「そう……そして、これはくららちゃんの場合とは違う。『自分がなって』動くのではないから」


「へえ」


「だからステラ・ロサさんは夢を見ないとわたくしは思っていたけど、星化(スターライズ)の時にわりとこれが上手くいったようで、なんか予知夢みたいなものも見たんだよな」


エンブリオくんもわたしの言葉を思い出して言った。


「そう。なんか金と銀と銅の巨人が出てよくわからんレーザービームを放つやばい夢だと聞きました」


「うん。とても変な夢だった」


「アルなんとかさんも出たと言いましたね。それはどういうことですが」


「わたしもわからない……その人、大きいから行き来しながら見たかもしれないと言ったじゃないか」


「ふうん」


そしてけっこうメンヘラ気味であった。可愛い奴だ。


「わたしもその夢の意味はわからんけど、たぶんわたしの『ムーの最悪』の怖さがなんらかのイマジナリアと混ざった連想なのではないかと思ってる。つまりファンタジアだ。ギリシャ神話のチタンでもない限り、非凡の巨人とかいるはずがないだろう」


「なんかサイクロプスの骨とかは発見されてますけどね。でも、それは目が一つしかないし、生身だから。違う形だったんですね」


「うん、それよりはなんか固そうだった。お城や船みたいな感じだった」


エンブリオくんは指指を紛らわしく動かしながら考え、整理が出来たように言った。


「なら『タロス』のようなものですか。でもそれもあり得ませんね」


「そう。たぶん原理的には作れるものだ。でも効率的ではない。そんなもんを作り出して維持するエーテルも大変で、マギアはずっと集中できない。平凡の技術で作るのもあり得ないだろう。『ロドス島の巨像』というものがあったと言う伝説があるけど、それが別に動いて暴れたりしない。

もともと、そんなもんを作って何になりますかの問題もあるのだ。大魔術師さんたちの使い魔の方がもっと大きくて強力だろう」


「まあ、ともかくそんな夢が見れるということですね」

ステラ・ロサさんはアルベルト氏の「金属性(メタリカ)」のことは別に興味がないし、だからブイオさまもあまりわかりません。そういうのが桜桃蜉蝣(さくらんぼかげろう)属性(アトリビュート)です。

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