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おどる #桜嵐 粒影(ミクロ・アマウロス)の設定・混沌の種編 (2025/9/12)

「今日はこの辺にする?」


自分の、平凡のクッソでかい狼の毛を吸って癒されているわたしを見て、全然他の(おか)に行こうとしてないわたしの心の言葉を読んで、ブイオさまが()える。


「うん〜〜〜どうなりましょう。いったん保留です」


「保留か。それもいいだろう」


周りはちょっと日差しの方向が変わり色が薄くなってるだけで、まだ夕方になるには時間が余ってるからだ。わたしは随分とブイオさまのふかふかを堪能したので、目を開き、横顔でまた周辺を見た。


「多分そのぶにゅぶにゅの神様は厳しくて甘い。ぜんぜん平凡ぽい基準で物事を判断したのです。『自分の民ではないから深紅の悪魔を消滅させない』『でもこの世界のムー大陸というものは終わらせる』『わたしはバカだ』などが混ざった神様のグラドゥスの現実逃避だ。詳細はわからないけど、元々そうではなかったら今もわたしは『古代魔術の木の堂の教授』でもやってたはずなので、その世界は少しのきっかけを残して全てを辞めた。

それを非凡の(たぐい)の、(くらい)の規模でやるからわたしみたいな非凡のものの個体(ウヌス)に過ぎないものは仕方なく……言いなりにされるのです」


枝を持つクララと同じだ。オレが間違ってたから、芋虫を弄るのを辞めて、次はもっと上手くできるようにする。でもその過程でおもちゃになった虫はなんになるか、みたいなことだ。


「そう。ぶにゅぶにゅの神様の理不尽さは、実はそれが理性的か、破壊的かなどにもあまり関係がない。ただそのデカすぎる単位の中で絶対結果(アブソリザルト)に適応するしかない……ということだ」


「厳しい」


「厳しいな。しかも、非凡の物事が平凡のものに『確定』されるのとも違って、ぽちっとな、の非凡の技を完了するのとも違って、こういう場合は自分に選択権はないのだ」


わたしは上半身を起こし、ブイオさまの背に肘を当てた。


「まあそれが世界なんですけれども。教会の話にもそう言うのはいっぱいあります。なになに星人さんが大変な生まれ育ちだったけど」


「聖人な」


「そうですね。わたしが『座標の衛星』だから間違えた。聖人として奇跡を起こすことになった〜と言ったら見るにはいいけど、結構理不尽さを受けてどう行動したかの問題です。だから尊敬される。だから、生き方が大事です」


わたしはブイオさまも結局その「宇宙的事件」とやらで粉々になってこのように桜のドルイドのステラ・ロサさんの物語が始まったので、本当に人間、世界で思う通りなる事は少ないけど、なんらかの完全に何もできないわけでもないんだろうな、とかを思った。

まあ、クララとしてもそうだ。例を言うと、ドルイドのばあちゃんがいる。ドルイドさんが話せる話がある。(その人も一生薬師として生きるのかな???)わたしとの会話で「珍しく、白神女と似ている(まあ、いったん白髪だ)白の子に牛さんもいる村に行った」という経験を積んでるから、どっかの他の人に会ったらそれが話せる。少しでも、フィレンツェのクララとしてのわたしはそれくらいは「話として」生まれた村から出たんだね。生きているんだな。

そう言うのを少し思っていたら、


「そういう話のようなもの、『知ってるかも』のようなものが集まってるのが、『夢国』であり人が夢を見る仕組みだと思うといい」


ブイオさまがなんらかの「理学(フィジックス)」的な説明をしてくれた。ふん、せやろか。


「まあ……確かに。物語というものはいつもそうで、ずっとそうです。会ったこともない人を想像して当てて行動が勝手に影響される。見たものは仕方なく、聞いたものをずっと思う。わたしが白神女に没頭したのがそうで、深紅の悪魔としてのわたしが『古代魔術・木』がこの世界で絶対学ばなきゃいけないものだと、そんな風に頑張って習ったのも同じだ。

思い込みでしょうか。思い込みが、チカラを持ってるのでしょうか?」


ブイオさまは頷いた。


「そうだ。思い込みはそれ自体が平凡と非凡のものみたいなもので、それを呼ぶ言葉もあるけど、元々曖昧でよくわからないものだ。その言葉さえもただ『よくわからないもの』だという意味にしかならない」


わたしは「あはは」と笑った。


「なら、規定して呼ぶ意味がないかも知れない」


「それもそうかも知れないけど……教会の教えを思って平凡の人の子のそれぞれが理不尽な日常を受け入れて生きるのがまさにそうだ。戦争のせいで家族を失った可愛らしいエンブリオ少年が騎士に憧れを持つのもそうだ。そして、元々は自分の種族全部を縛った険しい方法だけど『古代魔術』に引かれたおまえもそうだし」


「そう、わたしは話を好むから。キットこの世界はミ=ゴとしての出来損ないの自分が適応できる(ほし)だと思った。今も止まってる部分の『灰色の呪い』としてのわたしがどうなってるのかは白神女も知らないのでしょう。でも、ステラ・ロサさんとして続くのは活発で気分がいいことだから、わたしはわたしもわたしの中のわたしも他の止まったわたしも含めた物語としてこの世を生きるつもりなんですよ」


そろそろ夕焼けが見える。

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