都合がいいまま何年も歩いていると
「私も以前間接的に聞いた話だが、白神女と神獣には不思議なチカラがあるのだ。いや、チカラではない、非凡の方法を超越したもっと変なものかもしれない」
わたしは全然初耳だったので、その言葉に反応した。
「そういうのがあるのですか?彼女の話はもう属性が多いでしょう。
白い頭、無限の寿命、どこの国の歴史にも姿を現して、共にする立派な牛さん。平凡の社会に有名な非凡のもののいち代名詞だ。そして、政治的な欲を出さないことによって平凡の国々は拮抗状態を維持し、彼女に荒れた真似をしない。持つ杖を何個目も地面に刺して『木に』しているという伝説もあって、その不思議なチカラを学び『ドルイド』を名乗るものも多かった」
わたしはもう完全にドルイドのことをアストラさんに聞きたくてしょうがなかった!
「そう。今はその『ドルイド』というものとして名乗って魔力お仕事を貰うのも避けた方がいい社会になりそうだけどね。それが彼女に関する基本の常識だ」
そして、わたしはやっと彼女の言葉から「本当に非凡科は『ドルイド』というのを潰すつもりだ」という確言を得たのだ。何故なら、彼女やギルド長の立場では別にドルイドという聖堂のシステマに中立的な非凡使いを敵対する理由がないからだ。まあ、これは今の魔術ギルドの構造が続く限り、本当に平凡の薬師として生きるしかなくなってる……。
「めっちゃ聞きました。ちなみにわたしの村には白い牛がいたけど、けっこう痩せていて……恩人はその神獣と比べたりしたのです。牛がちょっと可哀そうだと思いました」
「そう」
「このように、白神女は神秘的な面々を見せて世界を回る人なんですが、それに加えた不思議なチカラというのはなんなんでしょうか?」
彼女はわたしの白髪を見て、視線を合わせながら言った。
「それが、白神女は出会う人は必ず会うという噂があったのだ」
「出会う人は必ず会う?」
それは会う人は会うだろう。飯を食べたら飯を食べたみたいな話だ。わたしは彼女の言葉の意味がわからなくて首を傾けた。
「文字通り、縁があるものは引っ張られるという意味だ。考えてみ、だからこそ彼女が歴史の様々な部分に残ったと思わないか?世界には人が多すぎて、通りすがりの彼女が話した人がぜんぜん彼女の話を残せずに消えるかも知れないのだ。でも、彼女と神獣の目的談はその記録を比べて集めると年代記が書けるように、たくさん残っている」
「それは彼女がただ本当に聖堂の作りも前から旅をしているからなんです。彼女と牛さんが行ってないのは神様によって出禁になった『エデンの園』くらいでしょう」
アストラさんはわたしの適当すぎるバイブルの例えに思わずにも笑った。
「いや、記録の密度がおかしいのだ」
「そうですか?」
わたしはもちろんクララとしても名無しの深紅の悪魔としても「白神女の話が歴史に残る密度」などは初耳なので彼女の話を注意深く聞いた。
「目撃情報が多すぎる。そして、出会う王家がぜんぶ『きみが他の国にも関わらないなら、我らの国もきみに干渉しない』という態度を取るのもおかしいのだ」
「それは彼女が本当にこの世界の人たちのばあちゃんみたいな感覚だからです。それを利害得失に充実な為政者たちが嗅いで変な真似をしなかったのです」
「いや、何百年も?ありえないよ。そして、お偉いさんの勝手は想像を超えるぞ、ステラ・ロサさん」
「そうですか」
実はわたしも最近「この世界の奴らは良い子が多すぎる」とか喋り出して、少年を困らせたことがあったけど、ここでアストラさんもちょっと同じ感じの話をするのが不思議だった。
そして、彼女の次の言葉は流石にわたしに危険なものだった。
「だから彼女は『会う人は必ず会う』のだが……きみは何年もその知識や腕力を得るために鍛錬したはずなのに、まだ白神女と神獣に出会ってないのがおかしいのだ」
やばい!そこは実はわたしは、ブイオさまの「星化」の一時に今の姿になっていて、その前は10歳のクララちゃんとして、いや、ぎり10才になってないクララとして横になってたので、ぜんぜん「何年も勉強した」話が合ってなかった。これはアストラさんの今までの話に合わすしかない。
「それは……ただわたしが人の往来が少ないところで山森の勉強をしながら、自己流の武芸を会得したからです。ネロ様の話通りに白神女が人の記録が良く残る場所に行くのなら、だからこそ わたしが居た森や、もともと住んでた村に来ていないのも同然です。もちろん貴女様は『その知識と幻想はなんだ』と思うと思いますが、それはわたしも本当に確信がないからなんとも言えません」
そして幸いなことに、わたしの言い訳は彼女にも十分な疎明に感じられたようだった。
「うん、確かにそうだ。私はきみの話からきみと白神女の縁を強く感じて、きみが彼女と出会ってなくて何年も過ごしたのが非常に変だと思ったけど、それでも彼女の『目撃情報が多すぎる』というものはそういう面もあったのか」
ステラ・ロサさんは以前自分の中の灰色の呪いとしての自分が「白神女は、もしかすると『せんせい』が変わった姿なんじゃないのか???」と思ったことも薄く知っていますが、それが本当に妄想だと思ってます。




