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薬師のステラ・ロサという人物

「わたしは、そのドルイドのばあちゃんに色々の話を聞きました。神話、伝説、民潭。少年が好む騎士小説のようなものは趣味が合いませんが魔法生物の話、星の話、もちろん彼女の憧れである白神女も。正直白神女の話に憧れを持って育ったのも事実です」


どうやらアストラさんは白神女が「ないもの」にされると同時に「ドルイドというものの存在を認めない」ようになったという話を間接的にしたと思う。まだ怖すぎて、設計書のアルベルト氏に聞いてからどこにも確認していない話だ。なのに、だからこそ わたしは敢えて「ドルイド」という言葉を口にした。


「白髪以外 見た目はそんなに似てないと思うけど……確かに弱い体の白い子としては憧れの存在だ」


でも、アストラさんは別に反応がない。白神女の行方不明に続いて、本当に「ドルイドというものが禁止になったのか」直接聞くしかないのか……。


「はい。そしてそのあと、わたしもよく仕組みがわからない経緯を経て、今のようになりました。よくわからないけど、気が付いたら人として不安定に生き残った。逆にふつうでもない……長いかも知れない生活をすることに、心と体の感覚を与えられたのです。人間の体ではないかもしれないけど、人間の体です」


「まあ、どっかの悪魔のような魔法生物だったら、とっくにミサの間 床で転がってたわ。きみは普通の人間だ」


彼女は普通に怖いことを言った。


「確かに」


「心も変わったのか?」


「はい。体の変化と共に不思議にも、草木のことに詳しくなりました」


「その、こどもの頃に面倒を見てくれた人とは別の経緯か?」


「たぶんそうです。関係ないです。気が付いたら色々の変化があって。フィレンツェの山のどこかでした。元の村にも戻れなくなりました。

そして、完全に今の姿になってからも……普通に生きたいと思いました。こどもの頃から森の人として親しくもあるから、知識と経験を生かして、これからは平凡の薬師を本業として生きていくつもりです」


クララちゃんとしてはこれくらいのことで事実だった。(この物語を読む読者がいたら「秘密がまったくないのだが」と疑問を抱くかもしれないけれど、もともと魔力を登録するというのは、わたしの体の仕組みなどをギルド側が間接的にわかるようになるということなのだ)だから、一旦わたしはアストラさんの反応を待つ。

彼女は眼玉を回しながらちょっと考えたあと、答えた。


「確かに奇妙なことだ。白い子として体が弱かったのに、よくなってるのか?そしてきみのその体はもう特別な体質になってるから、夜で頭が光る」


「はい、そんな人になりました。不安定な時もあったけれど、自分の方法で管理する限り、完全に健康体です。だから薬草の採集が自分でできるということです。下の下くらいのアルマにはなるのではないかと思ってます」


彼女はわたしを見て頷いた。確かに白い子のクララのころを思うと、今の様にリストに合う薬草を集めて粉薬を作ることなどできないからだ。


「それは良い事だな。そして今の年まで修練もして勉強もした筈だから、よくわからない何年を過ごしている。その間、白神女は本当にあったことがないのか?」


「はい。でも……」


「でも?」


「少年に言ったら『ムー』というところらしいですが、その幻の国のことを知ってますか?」


「ムーか。それは今の社会があった以前の古代ギリシャからも前の処だ。いったいどこから話が言われているかは誰も知らないけど『エーテルが無尽蔵なところ』という噂は伝わってる」


「はい。というか、彼の話とぜんぜん同じで今ビックリしました」


「それは、彼のマギアに関する変な話は大体 風の堂から聞いたもので、その風の堂の長を兼ねるギルド長であるラファエル・ムジカが知っているマギアの変な話は、ぜんぶ私が言ってくれたものだからだ」


「そうですか……」


どうやらエンブリオ少年はギルド長の影響も大きいらしい。そして、やはり彼の変なジェスチャーはラファエルギルド長から来てるものだと、わたしは改めて思った。完全記憶能力持ちだからこそ影響されやすい少年だ。


「そして白神女と出会ったことはないのに、こどもの頃に面倒を見てくれた人に学んだわけでもないのに、その『ムー』に関する変な記憶のようなものまであるということか」


「それまだ言ってません」


「すまん」


「はい、様々などうぶつ、植物、無尽蔵のようなエーテルのようなファンタジアがあるのです。だからそれから薬草の知識が来ていると思うのです。でも、夢で見たような光景だけ。それ以外の手がかりが全くなくて、草の名前もまったくわからなかった。少年が持つ薬用植物学などの本を読んで勉強してやっと今 薬師として働けるようになったのです」


「それは不思議だな……」


「不思議な事ですね」


「そんな共通点を持つのに、きみがまだ白神女に出会ったことがなくて、彼女が行方不明になってるのが本当に不思議だ」


「はい?」


これはまたちょっと変な流れの話になりそうな気がした。

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