学ぶ必要がなかったらもともとなんもやらんな
「人の子のマギアは平凡の体より特別で尖ったことができて、アルマというものは強くて素早いことができると言うな」
ブイオさまは非凡使いの例えを言った。
「そうですね。正確にはアルマの闘技にも尖った特徴を持つ技がいっぱいあり、マギアの魔術にも力仕事ができるものがあってアリアのように速度に取柄を持つ属性があります。でも、その個人の発想が特別な奇跡のようなことを及ぶのと、体そのものが魔法生物のように丈夫で素早いものになるのを思うと……確かにそうですね」
「そう。そして……それでも、その性質を発する前は平凡の人だ。『火の堂』の大魔術師さんが例外だと言うが、そのような特別な場合以外は寝ている間、休んでいる間などは普通の人としているだけなのだ。そのように、欠片は活性化する前は星の崩れた非凡の隕鉄みたいなもので、それは重さすらもない影みたいなものだが、偉さを発揮できるようになると重くなることもできる。そして、熱くなることもできるね。わたくしが狼の姿になれるのと、ステラ・ロサさんにエーテルの勢いを与えているのと同じだ」
「これがいっぱい集まったのがブイオさまだと思ってもいいのでしょうか」
「まあ、わたくしは『座標』を数えることに尖っていて偉い部分だから、その中心点だと言う意味では違うが、たしかにわたくしの一部なので……大体の性質は似ている」
「なるほど」
「そして、活性化して『深紅の悪魔』を復活させる時だ。この場合『欠片』は……深紅の悪魔の粉が『個体の器』になるまで戻れる中心になって、活動ができる熱のようなものを与えるのだ」
「うん?」
少年が意外の様に疑問を出した。
「なぁに」
「もともと深紅の悪魔はエーテルが不足で、復活しても悪いことが上手くできなくて、飛ぶことも不可能だと聞きます。でも、欠片のエーテルがあるから大丈夫じゃないですか?」
「それは確かに考えられる疑問だが、理由は二つある。深紅の悪魔は欠片のエーテルをそんなに円滑に利用することができないのこと……そして、もうあいつらが元の姿に戻ることに欠片の偉さが使われているからだ」
「ふむ、もう使っているから……ですか」
「そう、もうあれらが復活しているということ自体が『灰色の呪い』の偉さをひっくり返すえらいことなのだ。ただ灰色の呪いを相殺する為のエーテルの体当たりではなくて、その効果自体を無視して中身を引っ張るための作用をするのだ」
「なんで意思を持つ術師がいないのにそういうことが行われるのですか?『灰色の呪い』にも『欠片』にも意思はない」
「深紅の悪魔は狼の星の土壌で生まれたから」
「ああ」
「だからわたしはクララとしての理解力で、『なら土地の神様じゃあないか』と思ったのだ」
「適切じゃないでしょうか」
「いや、それは物語性の捏造なのだ……まあ、続くと決めたけど」
「はい」
「そう、そして……深紅の悪魔は心の言葉が触れて考えられる連中なので、逆にそのような仕組みは『意思を持って関わる過程がないから』わからない。もしかすると『なんで復活しているか』の理由すらもわからないのが普通かも知れない」
少年はブイオさまの話に頷いた。
「それは確かに。おれを襲った個体も『なんで自分がこのような場所いるのか』ぜんぜんわからなくて、別に『この欠片が利用できたらエーテルが使い放題なのに!』とかを言ってなかったのです。つまり、深紅の悪魔の立場でも、自分たちが復活した理由はわからなくて、欠片を認識できていない」
「わたしが今まで倒したやつらはぜんぶ復活してすぐなので、もしかするとそれからチカラを利用してこの世界に慣れていると自分たちが復活している原因やその使い道もわかるかも知れないな」
わたしは自分自身も信じないことを言った。
「そうなんでしょうか」
「まあ、深紅の悪魔としてのわたしが『古代魔術・木』を卒業するまでこの世界のエーテルのことをもっと勉強して使ってみようと思った個体は一匹もなかったと思うが……それも『ムー大陸』という環境がもうないことを受け入れると、変わるかも知れないのだ」
わたしは記憶が完全ではないから確言はできないが、多分正しいであろう自分の記憶を思う。深紅の悪魔は個体の間……一定距離の中の連中はぜんぶ心の言葉が繋がっていて、だからこそそれぞれが区分できる性質を持っていたが、わたしのようにこの世界のエーテルのことを学ぼうとした個人は一人もなかったのだ。だからありえない事だとは思うけど、本当の本当に周りの通信ができなくなると行動も変わるかも知れないものだから。だから、先の深紅の悪魔を討伐する時に聞いてみたのだ。「この世界にわたしたちはもう強者ではないかもしれない。そのことを試して仮定して受け入れる」様子があったら、ちょっと見返しができたかも知れなかったけど、ぜんぜんそうではなかったんだよね。
「もし『頑張って隠して生きます』といった深紅の悪魔が出ても、討伐することにしているだろう」
そこでわたしの心の言葉がわかるブイオさまが言った。確かにそうするしかない。
「ブイオさまの『衛星』の定めがありますからね。だからむしろその役割に反する……少しはもしかすると心が苦しくなるかもしれない個体がぜんぜん無くて逆にスッキリしてできます」
「深紅の悪魔は元々そういう生物だったんでしょうね」
「そう、知性体のことを頭を開いて脳みそを持って帰ると、いいなりにすると満足な種族。そういう過程がご飯のような生き物、それが普通だ。でもわたしは普通ではなかったからこの世界のことを学ぼうと思ったのだ」
「人のことを考えましょう。人も、結局初めてから熊のようにドラゴンのように強力であると、誰も非凡のお仕事や平凡の知識、技術などを学ぼうとしないでしょう。好き勝手当てるだけの、知ったフリをするだけのことだけど、おれはドルイドさんのことが絶対正しいと思っている」
「ありがたい話だ」
「でもドラゴンも賢明に勉強すると言ったじゃないか」
ブイオさまがまた余計なことを言った。
「『大魔術師ドラゴン』は仮説の存在です」




