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深紅の悪魔の事

でも、「兵士の国」のように、けっこう平凡ぽいのに記録も話もぜんぜん残っていない国もあったりして、バイブルの話は別に世界の全部が入ってるわけではない。古代ギリシャなどの国のことを説明してくれないらしいから……ギリシャ、ローマの歴史もそうだし、神話の話もしてこないから。聖堂の、神父さんの話には、世界の「始まり」と「終わり」はあるけど、その過程のぜんぶが書かれているのではないのだろうか?などを思いながら……わたしは「悪魔」の話をした。


「ブイオさま、そう言えば『深紅の悪魔』はもともと深紅の『悪魔』だったんですね。『夜空のもの』なのに。悪魔はこの世界のものでしょう?人を惑わして、その一部の正体は堕落した天使だったり。地獄で罪がある人をいじめたりするんでしょう」


「わたくしはその話はあまり知らないのだ……」


「あらあ」


「一部は『神曲』の創作だと思われます」


「なら『地獄』のくだりの一部はこのトスカーナ語を整理したおじさんの作り話か」


「おそらく」


いつか見ることもあるかも知れないけど、わたしはまだその話を読んでないため、あとの楽しみにしようと思った。


「とりあえず、『深紅の悪魔』は一般的に言われる……そういう悪魔の概念とはぜんぜん違うものです。別に堕落した天使さんでもないし、人を『騙して』食う事にも興味がない。会話をしないのです。支配して、心の言葉をいいなりにしたい、どっかの星に生えた人間みたいな魔法生物のようなものだけど」


「わたくしはただ、おまえら■■■がこの世界の言葉で深紅の悪魔で合ってるのを知ってたのだ。まあ、大体悪魔のようなことを言って行ったり、深紅だろう」


「確かに深紅だけど」


「その知識を、今の言葉で言うと『悪魔』で合うから悪魔だと言ったのだ」


「なら翻訳だったんですね。わたしはクララとして『灰色の呪い』は聞いた事があるけど、深紅の悪魔は知りませんでした」


少年も同意する。


「おれもです。魔術の歴史にはそんな魔法生物は記されていない」


「ふうん。なら、『兵士の国の知識』を知ってるわたくしだけにその記憶、記録が残っていたということになる。それはつまり……今夜のように深紅の悪魔が復活することが『兵士の国』には頻繁にあって、それが人たちの型物理性(アイディア・ヒストリア)にずいぶん残っていたということになるが……」


「けっこう大変な国だったんだな」


「そうですね。基本的に心の言葉が縛られると、人はなんもできませんので、『深紅の悪魔』が何匹もいると、それは人はもう終わりです」


「わたくしが思っても謎なのが、『灰色の呪い』の魔法効果は凄く偉くて厚いもので……そこから深紅の悪魔の生前の姿に戻るにはわたくしの欠片くらいにならないと難しいんだ」


「謎々だということだな」


そういう話をしていたら、わたしもいつの間にか意識が遠くなって、朝になってた。ブイオさまの声が刺すように聞こえる……。


「朝だ朝だ」


「ううううう」


「おはようございます……!」


エンブリオくんはよくわからない声を出しながらあくびをする。


「うう……おはよう……ございます」


「おはよー」


「いけない、今日から本格的に大魔術向けの火のマギアの練習があるのです」


「うん、でもわたしのせいでほぼ寝てないな。わたしのせいというか、深紅の悪魔のせいでな。実際に現れて大変だったし、話しながら寝てなかったから。大丈夫なの?」


「まあまあ、平気です」


だいたい目が覚めた様で、少年は布団から起きて自分の手のところを見た。わたしたちから貰った「欠片(スターダスト)」を見ていた。


「上手く維持できてるようだ」


「そうですね。わたしは初めて見るものだから、ブイオさまの『スターダストが偉さになって続いてくれる』部分がちょっと意味がわからなくて、ほっておくと解けてしまう深紅の悪魔の亡骸のように、欠片もどった行ってしまうのかと思ったけど、ちょっと違いますかね」


「深紅の悪魔……そうですね。それを放置するとどうなるんですか?」


「そうね。あいつらはこの世界のものたちとは死の概念がちょっと違うから、きのこみたいなものだから……きのこの胞子みたいに溶けて去るけど、もう『深紅の悪魔の個体』として復活してるため、いつか適切なエーテルリソースがあれば砕けた(イド)が修復できたら生き返ることができる。そのまま『次の代』になることもできる」


「うげ」


「でもわたしの杖で吸うと、そのようなことはないのだ。綺麗に掃除するから。そして、もともと復活したのが狼の星の偉さだったので、それを取り戻すのだから。

わたしは欠片(スターダスト)もなんかそのように流れたり動いたりするものかと思った」


「わたくしの欠片は実際に非凡の隕鉄のようなものなので、その情報を考えるともっと重くて固いものだ。きのこの胞子のように溶けてなくなったりはしない」


「この指輪は別に『凄く重い隕鉄』の感じではないですが」


少年はスターダストを握りながら言った。


「それは大魔術師の教授たちが別に人の子の子として体が重いわけではないのと同じだ」


「そうですか」

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