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夜空のものは昼になったらどうなるのか

ドアロックを閉めて、少年は朝に普通に大魔術に向けて練習をするらしいので、また寝ることにした。


「今回はきみを『わたしが戻れる場所』にしたかったから、全然寝かせないことになった。悪い」


「大丈夫です」


部屋はどうぜん深紅の悪魔の事で出ていた時と同じで、なんの変化もなかった。なんだか穏やかだ。


「今回は『花びら突風』が上手く入ってね、容易く制圧ができた」


「よかったですね」


「先手を取ったあと聞いてみたけど、やはりまたその黒服のおじさんの頭を開くとか物騒な言うような奴だから、仕留めることにしたんだ」


「なるほど」


少年もまだ服を軽くしてベッドに横になった。わたしはどうせふたりともすぐは寝れないと思うから、マントを開いて……(確かにベッドを買った方がよさそうだ)ちょっとの報告をする。


「市内だからブイオさまの狼の姿は……出さない方がいいと思った。そして、走りながら思ったのが、この市内での事件なので、他に深紅の悪魔に支配されている人はないと推測したけど、それが合ってよかったね」


「おれを乗せた時のように、ブイオさまは基本的には認識妨害というものになっているから、大丈夫ではないのでしょうか?」


まあ、それはわたしもちょっとは疑問だったけど、ブイオさまが説明した。


「わたくしが気付かれないのと、わたくしが狼として走って周りに影響を及ばないのは別々だ。きみを乗せた時はゆっくりと歩いてきたけど、全力で走ると道路が砕かれるかもしれない」


少年は納得したように嘆声を出す。


「それは確かに大変ですね。隕鉄のようなものでなっている狼でもあるのですね。道路が持たない」


「そういうことだ」


普段は今の様にマントに姿も持たない影の姿になっているのに、狼のカタチになったら立派で大きくて重くて硬い姿になるのは、本当にエーテルというものはなんでもできるなと思ってしまう。


「他の使い魔や魔法生物もこんな感じなのか?深紅の悪魔のように平凡のものとしてはぜんぜん見えないけど実物がいるとか、ブイオさまのように空中から物体として現れるようなもの」


「そうですね……だいたい平凡の体を持つものが発展してエーテルを集めながら大きくなるのが魔法生物の定番ですので、あまりないと思います。使い魔の場合も、基本的にはそのマギア本人のエーテルの色とその属性の塊のようなものに目的性を付与して動かすものなので、火は炎、水と土はそれぞれの物質を動かすもの、そして風も別に空中からなかったものが現れる感じではないのです。見えて、振れるけどそれはアリアのエーテルの色が見えて風の押して吹ける性質が使い魔の体のようになっているのです」


「ふむ、物体になるのは珍しいもんだな。深紅の悪魔の『金属の瓶』の場合、純粋にエーテルで為替して非凡の金属にするんだぞ。いや、平凡のものになるのか?わたしも深紅の悪魔の立場でしか知らないからちょっとわからないな。とりあえず物性を持つものが現れるのだ」


「ふむ……なら、そういう特徴がこの世界の魔法生物と『夜空のもの』を決める一種類の判断基準になるかも知れないです。なにもないところから……このように(さわ)れて存在するものが現れるから」


少年はわたしの「スターダストの指輪」を触った。確かに、わたしの「花びら」もステラ・ロサという個人と、その色々の装備を築く平凡のものの性質を持っていて、その偉さはブイオさまの無くなっている真名から来ているものだ。わたし、クララの体でもあり、「灰色の呪い」が再構築された小麦粉でもあるが、量が合わない。そして、その結果であるわたしはアストラさんや他の人たちとの相互作用もできるように、確かに平凡だ。


「ネロ様はそういうのが読めたかも知れないな」


わたしはなんか気付いて呟いた。


「なにをですか?」


「今までわたしとブイオさまはネロ様の本の実力は物語を適切に作って主張することだと思ったけど」


「今もだよ」


「わたしもです。でも、もしかすると、いつも夜空を見ているから……そういう『夜空のもの』の何かの特徴を感覚でわかっていて、わたしがそのような特徴に一致しているから判別ができたかも知れない。別に聞いてないけど」


「ふむ」


「この世界のものはとりあえず神様が作って下さって神父さんが話す色んな説明方法があるらしいが、明確にわたしの記憶は聖堂の話とは合わないこともあるしな。そういうのが非凡のものだからかもしれない」


少年も同意する。


「それはそうです。非凡の話になると、聖堂のお話とはズレることが多い。『ムーの最悪』の伝わる話もおれが見た夢も、実は『白神女』さえも、バイブルの教えを思うと凄く変なことになります」


「でも彼女は普通に実存するだろう。王様になるつもりがないからただいて旅するだけだ」


その白神女の寿命が尽きた噂もある世界だが、いったん確かな確証が出るまでは猶予すべきなのだ。


「はい。でも、それ以外の怪獣や海怪物、悪魔のようなものはちょっと説明ができるのがまたバイブルですから、非凡の事が見えても聞けもない平凡の人にも納得させて偉さを維持してます」


「そういうなんか今の社会構造と相反するのが……この世界に来ている夜空のものの特徴かも知れないということだ」

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