死の時代は今宵でおしまいだ、その4
「きみ、ちょっと助けられる立場に集中しなさいよ」
ドルイドは不満そうに、おれにそう言って、また、力強く言った。
「そう、わたしはドルイドとして貴様を打つのではない。
それがわたしの流儀だからだ!
人を助け、前に立つ。そう決めている!」
怪物はぷるぷる身を揺らす。
「もう限界だ…おまえを栄養にするしかないか。納得したよ」
おれを攫った時とは全然違う、本気の雰囲気を構えて、
赤い怪物は決めポーズを取って、少女に立ち向かうのであった。
どこかで高揚する音楽が聞こえるような気がした。
二人の戦いが始まった。
なぜか、狼は怪物を直接的に襲わず、少女の盾になるばかり。
少女は、怪物のハサミの猛攻を避けながら、杖で反撃した。
正確にいうと、しつこく怪物の頭を殴り続けた。
ハサミが狼に当たって、弾けて(金属の音がした)、頭を一発殴られる。
触手を伸ばして少女の手首を掴んで、また頭を殴られて放す。
地味な戦いの繰り返しだった。
おれは倒れたまま、状況を見て…
やがて怪物は力が尽きて、膝をつく。
「なんで…なんでわたしはこの時代で目覚めたのだ。本当に…なんの原因で…なんのために…」
怪物のハサミの攻撃で、自分が転んだのも含めて、少女の体も傷だらけであった。
ゼーゼーと満身創痍の状態で立った少女は、答える。
「それを知るのは、型物理性だけだろうよ」
少女の杖が最後に炸裂し、怪物は倒れたのだ。
「勝った…」
そして、少女は杖の宝石のなにかの仕組みで、倒れた怪物を、エーテルを吸い込んた。
詳しくない人のために説明すると、魔法生物は、体の血肉が力を持っている半物質半魔力のエーテルになっている。
でも、そのエーテルを直接吸収する事ができるとは…初めて見るものばかりだな。
なぜかガラスが風に揺れるような音がして
少女の体の傷が光り、怪物の亡骸が消えると同時に、綺麗に回復した。