うみ初めて見た
もう一人の「深紅の悪魔」を倒したわたしは、初めて海に来ることになった。
ここは海岸の村の辺り
村どころか、なにかの都市かも知れない、結構デカそうな郷だけど。わたしは郷の名前など知らないし、とにかく他国まで来たわけではないから、ここはフィレンツェの国だ。それで十分。
実は、このままめちゃくちゃ山と森を歩きながら、何年くらいかけて「悪魔」と戦いながら、話だけを聞いた海にいつかやっと辿り着いて、「おお!!あんな船に乗って他の国に行くんだろうか」とかを
そんな感想をするんだろうな、と、そういう状況自体が何年後の事になるだろう、と思っていたけれど
「随分と未来を見るな
未来の自分の新しい経験への感想を想定するな」
ややこしい自分の考え方に狼さまが突っ込んだ。
でも、ステラ・ロサちゃんはそれが同然だ。
「仕方ないじゃあないですか。これがわたしです。
もともと海の郷にデカい船とかある事は知ってたし。」
いつも自分の肌が辛くて息が苦しかったせいか、わたしは「それでも今は痛がっているところではない」と、我慢とも違う何かの分離をして、適切な経験に感想と感覚を結合する事は、特に同時にやらなくてもいいのではないかという考えをしている。
「それは平凡の人だろうか…」
「珍しい子という扱いはされましたね。痛いのを除いても。」
とりあえずその想定は破棄だ。これだから世は広くて、経験はいつも輝かしいものなんだろう。
狼さまは早くて、意外とわたしのナワバリから海は近くて、すげぇスピードで森を駆け抜け、海岸に来れたのだ。
なんということでしょう。どうやら、フィレンツェは海にめちゃくちゃ近い国だったらしいのだ。
「わたくしは人の子の社会はあまり知らないけれど、型物理性を通じて同期化された知識くらいしかないけれど、国と言うものはもともと富と物と人が回ってできているのだから、動きやすいところ、資源を得やすいところに築くだろう。同然だ」
ふん、なるほど。それもそうだった。
国どころか人間一人も生きるには色んなものが必要で、一人ではそれが全部得られないから世には職業と商売がある。わたしの村も狩りの余ったものは行商人と取引をしたりしたから、それがデカい単位で行われるためには、馬車より遥かに重くてでかい物が運ばれる船が必要で、それが通る港とかが必要なのだ。
そういうわたしはどうやらあれが港というものだろうと、遠くて、ちっちゃく見える船であろうものとなにかの施設を見ていた。新しい経験でめっちゃ深い印象を受ける予定だったのに地味だった。(しかも夜だった)
でも、やはり経験というものはいつも違うもので予測が難しいと言う言葉通り
実は衝撃があったのだ。
それは視覚によるものでは無くて、嗅覚によるもの。それが意外だった。
塩の匂い。
もちろん、わたしの貧乏な家に塩などがあったはずがないから、知ってるふりをしているだけで
鼻がめちゃくちゃ辛い。
これが海の匂いなんだな。
聞くには、海はあれが全部塩が混ざっている水で、アレを干からびして塩ができると聞くけど、今の嗅覚の衝撃とともに、わたしは結構の驚異を味わっている。
あの水を粉にしてお金にするだと?
やはり人間がめちゃくちゃ集うと、あんなでかい自然からも、よくも商品を取ろうと思うんだな、そしてそれが実現できるんだなと思った。
いったいあれからどうやって塩を作るんだろうか。そういうのは、まあ、「元素魔術「水」」とかの専門なんだろう。
ドルイドのわたしは知らないし、専攻ではなかった。




