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ドルイドの必殺技、その2

「わたくしは悪くない。これはただ『狼の星』なら同然のような、狼、もしかすると犬の真似をするのが自然だからだ。そういうのが人の子たちの型物理性(アイディア・ヒストリア)で、わたくしはそれに従ってるだけ。でも、慣れているからはけっこうわたくしも心が穏やかになる気がする」


「それはよかったですね」


そう言いながら踊ってるのはマントだったから、これもまた奇妙であった。

どんなに慣れていても……それでも影影の「狼」はこの家の中は困るのだ。もし狼やワンちゃんの姿として他のものと頻繁に合うとその認識も変わるかもしれない可能性があった。でも、ドルイドさんやおれのように、星の(ニュー)を持つものではないとその姿、行動などが完全にわからない。

わたし以外の他のものに出会ったら、ブイオさまは他のカタチだったんだろうか……?そういうのを思っているのか、ドルイドさんは自分の術師のような立場の……星の亡霊はマントを動かしているのを見た後、またおれに顔を向く。


「どこまで話したっけ。その……」


「ブイオさまが影を最大限薄くしようとも、貴女の名前まで隠すことはできないと」


「そうだ。だから、『ブイオさまの認識妨害』がこの場合は難しいから、確実に深紅の悪魔が知る前の段階で、わたしの木のエーテルを飛ばす。そして、それが当たって混乱している間、速攻して頭をぼこぼこにするのが今のわたしの戦法だ。まだ試してないけど、毎日のように練習してる」


ステラ・ロサは自分の杖を持ち上げて、ルビーの球から「花びら」をもう一つの球のような形で掌の上に乗せた。


「そう、それがドルイドさんの必殺技なんですね。ドルイドの呪術とは少し違うかも知れないけれど、『桜の』ドルイドの呪術」


「うん。名前は未定だ。いったんクララの子供の時期から『葉っぱの突風』などの技に憧れを持って妄想していたので、『花びら突風』でいいのではないかとも思っている。もっと他のパンチも欲しいし、このまま行く可能性も高い」


「花びら突風か。ドルイドさんの杖の宝石をコアに、木のエーテルを集めて振る。それに当たると植物の根のように気力を奪う。これが基本でしたね」


ドルイドさんは頷く。けっこう安定している形の〇を手に持って、ただそんなに大事なものではないように、おれの方を見ているまま。


「そうだ。わたしは別にギルドの方々のように、新しい術を作る為に何人もプロフェッショナルが集まって効果的な魔法効果が作れるわけでもないし、マギアでもアルマでもない曖昧な形で収まってるから、その呪術の効率も半端物になるだろう。でもここはこれで、むしろこうだからいいのだ。いったん『悪魔』の視界の外からそれを飛ばして当てると、けっこう勝てる」


そういうことか!


「そうですか?必勝は言い過ぎなのではないでしょうか」


「まま、そう言いながらも賢明なきみならわたしが着目した、この方法が深紅の悪魔にだけ影響する理由がわかったと思うんだ。

そう、この技に当たられると、凄くなにがなんだかわからなくなって、急な画面酔いが来ると思われる。だからなんもできなくなる可能性がある」


「うわ~」


ドルイドさんの話がえげつないように、ブイオさまが反応した。


「対敵する状態のドルイドさんは明確に一人だけど、まだそう認識する前の花びらの塊は、おれや普通に平凡の身をもって生きる存在には別にどうでもいい。白い星のエーテルを持っているものに過ぎない。けれど、亡霊としての世界を見るブイオさまや、心の言葉としての世界を見る深紅の悪魔としてはその特徴は非常に疲れるものになるということです」


「花びらそれぞれの貴女の名前を読まなくちゃいけない」


「そう。見ると読むしか無くて、それがわたしと深紅の悪魔にだけ働く罠みたいなものができているのだ。ステラ・ロサ、ステラ・ロサ、ステラ・ロサ、ステラ・ロサ、と……繰り返す形で観ちゃうのだ。

読まないといけないけど読むと大変なものが襲ってくるのだ。わたしは一応『ステラ・ロサという人の子』の真名を中心に集まっているけど、コルもコアもそれと同時にその無数の花びらがそれぞれ持つからだ。そして瞬間的に反応ができることの反対、瞬間的に見えるものは見ちゃうのだ」


「よくも思いついたですね」


「これは別に意図して思ったものではなかったけど、考えて見ればブイオさまがわたしのことが気持ち悪いと言ったのが、深紅の悪魔にも同じく働くのはおかしくなかった」


「ふむ」


「練習してるから、わりと『花びらの球』は良い感じに振れる。そして知性体を支配する能力は基本的に深紅の悪魔が行動にまで通る過程はいちいちあいつらの承認がないと行われないので、その奴隷になってるものも決定的な行動ができない。まあ、いったん良い感じに収まった」


おれは実は自分の「炎矢」の実力に自信があったので、それがただ見るだけで容易く心の言葉を縛って威圧できた、深紅の悪魔の危険性は相当のものだと思っている。ドラゴンの類や、大魔術師の教授のような強さには及ばないが、堂の教授も危険なのだ。

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