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ドルイドの必殺技、その1

「『炎矢』などはシンプルで強いから」


「そうですね」


ステラ・ロサは自分の杖に手を伸ばし、それを両手で握って言った。


「木属性のエーテルが専門のわたしの立場では、そんなに自分の(イド)(スフィア)を超えて飛ばせるようなものは、本当に強いと思ってる。そのような平凡や非凡の推進力がないなら、どのような非凡の存在も対応が難しいのではないのかな?自分のスフィアの外からの攻撃だろう。しょうがないのだ。

わたしは似たように、深紅の悪魔との戦いで飛び道具を使いたいけど……適切なイマジナリアが立ってないから杖を振る事で補うことにしたくらいだ」


「そうでしたね」


出た。ドルイドさんはそれがクララさんとしての性格なのか、非凡のものとしてもともとそういうのが好きなのか、わりと「ドルイドとしてのそれっぽい技」に集中する感じがあるが……もともと4属性の魔術史(マジック・ヒストリー)に慣れているものなら、それが同然すぎて疑問すらも持たないのである、「火属性でもないのに何かを撃って飛ばす」ことをずっと悩んでるのだ。「火力」「勢い」などがそもそもの(フラマ)なのに、だから違う属性にはそういうのが難しい筈なのに、悩んでいる。そしてそれはたぶんおれがミカエル教授の「炎矢」のことをはしゃいで言い過ぎた影響なのではないかと、少し責任感のようなものも感じている。


「深紅の悪魔とのやり合いのこと、言ってもいい?もう寝る時間なのに悪いね」


おれは微笑んで言った。


「ぜんぜんいいです」


「ありがとう。その、あいつらと戦う事は、わたし以外はコスパがぜったい悪くて……わたしからあえて深紅の悪魔というものの正体を知らせるには……平凡の人としての立場がある。別にわざと広場で焼かれるような真似はしたくないからね。

そして、もともと星の(ニュー)がなかったら存在もしないあいつらだ。その結構稀に半端物で復活している『深紅の悪魔』は……その非凡のものとしての普通の特徴がある」


「普通の特徴ですか」


ブイオさまが言った。


「わたくしに生えた、人のようなものだから。その世界では普通の人のようなものだから」


「へえ……」


おれはそれが真実なのを知ってるけど、何回聞いても納得ができない説明だ。


「人の見て聞くスフィアみたいなものが基本的に深紅の悪魔には全員あると思うと良い。考えて見える周辺が『行動の範囲』で、思って喋れる素早さが『行動の限界』だ。それが心の言葉の世界を生きているものとして同然に感じれる、(スフィア)のようなもので、普通に視界だね」


「はい、その範囲の中で人を威圧できたり、もう奴隷にしたものと繋がったりができますと。そして、その限界の外からは、心の言葉が届かないから攻撃もできる。別に飛ばした『炎矢』にあれが干渉できるわけではない」


「うんうん、その通りだ。範囲の外からは、炎矢が効くのだ。同じこと」


「でも、もう仲間にされちゃった人も変数としているから危険で、おすすめできない」


ドルイドさんは頷いた。


「そう。拡張(スプレッド)して何人も(とりこ)にできる。もともと互いが繋がる形で生きている社会だからだ。そういう強力な特徴があるし、わたしとブイオさまはそれらが『金属の瓶』が使えた状態なのか否か……までは知らない!いるのをわかるだけだ!

この世界には凄くエーテルが不足だけど、あいつらが利用できるようなものが完全にないわけではないからだ」


「なるほど」


「きみがただエーテルリソースにされる危機だったのは緊急事態で、もしそのような同じ状況で、すぐ周辺に『堂』の実験室のような豊富なエーテルがあったら、それを握ってすぐ『瓶』が作れたはずだ。そういうことくらいは容易くできる種族なのだ」


「確かに貴女とそいつらは違う存在である感覚がありますよ木属性のことを学んだドルイドさんと違って、効率が悪いけど生まれて持って己ができることができる」


「まあ、厳密にそうだから。わたしは生きていた時にもそういうのがわからなかったけど……厳密には、『今も深紅の悪魔として死んでいる』からだ。

いったん、わたしの状態、『灰色の呪い』はブイオさまのような偉さがないともともと深紅の悪魔が復活できないようになっている。それはきみを助ける前も、助けた後も確信できた仕組みだ。粉になった『悪魔』にそのようなパワーも無いし、『呪い』にした魔法効果から離れないからだ。だから、この世界のあいつらは、欠片(スターダスト)で蘇ったもの。わたしは必ずわかる。これがわたしが薬師などをやって、活動範囲を広げながら、行けるところを増やしたい理由だ」


「そうですね。この世界は凄く広いから大変だ」


「うん、何百年かかるかと思っている。白神女に比べると短いだろうけど、けっこうゆっくりとしているとも言える。そのわたしたちは、『奴隷を何人も備えている深紅の悪魔』の場合は、けっこう不利な状況だ。そいつの本体の位置はわかる。ブイオさまのスピードで走って撃つと、思うより早く初手も取れる。でも、最初の一発を入れるその瞬間も、理論上あいつらはその瞬間、対応ができるのだ。それは自分に猛烈な勢いで走ってくるわたしの事を認識できて、認識できるということ自体が心としてのエーテルを被らせるくらいの、そして周りの奴隷がマギアなどの方法を使って本体を守るくらいの対応ができるということだ。そして、そういうのはけっこう致命的だ」


「ブイオさまの偉さで隠れるんじゃないですか?」


彼は「認識妨害」か「低下」か言う、とてもチートな真似ができる。別にドルイドの呪術とは関係ない。


「いや、それが……この子、ステラ・ロサさんの名前まで完全に隠すことは難しいのだ。■■■は、心の言葉がそのまま見えて触れる魔法生物の種族なのだ」


「どういうことですか?」


「存在を凄く薄くすることができるけど、そこにステラ・ロサという名前が無かったようにすることはできない」


ああ……ああ!!理解した。


「それもそうですね。もともとドルイドさんの名前が貴方たちに大事なのが、それがブイオさまの存在証明というものになるからだと言いましたね。それを隠すことはできなくて、隠そうとすること自体がよくない」


「そそ」


「大体の平凡と非凡のことから影が薄くなるのはできるけど……ドルイドさんの名前は残る」


「もともとそういうのが星化(スターライズ)の意図だった。星のコアの亡霊しか残ってなかったわたくしが、この世界と相互作用ができるようになったのだ」


何日、ドルイドさんのマントに入ってそれを動かすことに慣れていたブイオさまは、犬のように頭を振る。


「相互作用というものをし過ぎているのではないかという考えもあるけどね」

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