世界を守る為に何が必要だ?
そういう、わたしの世界のことだが、やはり移動範囲を広げて、活動領域を拡張する事が必要である。どこに「深紅の悪魔」が出てもおかしくないのだ。
「そうだな。世界ぜんたいだからな」
狼さまの「欠片」はこの世全部に落ちていると聞いた。世界はデカくて、他の国に行くためには、まあ、狼さまに乗れるから、一応行けるね。どこにも。自分はライダーだね。ウルフライダー。しかも無敵の。
でも、海を渡る事はできなくて、ここは船が必要だ。そして、船に自由に乗れるのは普通、めちゃくちゃお金持ちの商人や貴族、もしくはエンブリオ少年が大好きな騎士ものがたりの軍人たちで、自分は正直どうやって船に乗ればいいのかすらも知らねえ。そして、そういう人たちも、そうだね。自由に乗れるわけではないんだね。もし王様だとしても、みんなには立場があって、航海は長い。すーごく長いと聞いた。
「色んな国に行きますよ」
平凡の人生を生きていると、他国ところか、自分の村を離す事すらあまりないと思うけど、もともとわたしは定住民の家庭じゃあないからな。その抵抗感はあまりない。父がずっと狩り人だった事も自然に感じるしな。わたしに定着という言葉はそんなに合わないかも知れないな、と思った。
そして、白髪のなんかよくわからない娘が1っか所にずっといることも、それもそれで過多に話題になったり、大事に関わる事になるだろうから、まあ、ちょうどいいか、とも思っています。
なら、必要なのが、船に乗れるなにかの手段だ。自由に動けるようなちょっとの名声と、お金、繋かね。(何百年後のことかも知れないけれど)
それを手に入れる事を想定して、自分の力を増やして、鋭くなる。
そう、鋭さだ。「悪魔」が瞬殺できたら、自分が減る事もないし、「呪い」を解呪するために余計なエーテルを使う事もなくなるし、助ける人もそうだね、ひどい目に合わずに「いやーびっくりしたわ」の感じで過ごすのがいい。もちろん、礼は貰うけど。
「危機一髪になるまで放置する」とかは、禁物だ、ぜったい。もともと話にならない。
なぜなら、そんな「正しくない心が強化されること」は、自分をちょっとずつ齧る毒だからだ。それは、わたしが善良で、かわいくて、無敵最強究極の偶像だから、とかではなくて、ただそれが、非凡としての自分の存在意義を削る事なんだ。
もちろんわたしは精一杯、自分の可愛さと英雄の心得を自慢するつもりであったが、満々だったが、その以前の仕組み、機能、理、まあ、少年が言う「元素魔術の原理」みたいに、理系的にそうなのだ。
そえが衰えると、自分の器も薄くなる。
「うん、そうだ。鋭さを維持する事は、非常に難しいことだよ」
狼さまが言う。
「めーちゃくちゃ綺麗に備えた枝は、折れやすいという事ですかね。」
例えてみた。
「そんな感じだ。ドルイドみたいな言葉だな。」
それは嬉しい。わたしは花が咲くように嗤った。
「ふふ、ドルイドですよ。
でも、ドルイドではなくても、そういう考えは、まあ、人ならみんな辿り着くと思うんですけどね。」
「ふん」
ここは、フィレンツェの近くの海の辺りなんだけど。
実際に、一人の、一匹の「深紅の悪魔」を倒したわたしは、今回は傷一つもなかった。
授業の成果など怠い言葉は言わない。ただ、経験が心得に蓄積される感覚や、自分の、混ざっているどんな観点で見ても、人殺しとは感じない真面目さを刻んで、「悪魔」のエーテルを星の物にしていた。
命に感謝。




