脱水には気を付けろ
彼女は、あたしにまるで「余計なことを言ったように」ちょっと照れくさそうに(なんで???)笑うが、実はそれもこれもぜんぶ必要な会話だからやったと、堂々と思っていた。
「後でゆっくり考えます。気づかいしてくれてありがたく思います。本当です」
「はい」
「それでは、午後の授業でお会いいたしましょう」
「それでは、一回家に戻ります。せんせい、そんなには無理せずに休んでいてください」
「わかりました」
茶髪の教授は「ぜったい休まないな」とか思いながら堂を去った。あたしは結局、自分の研究室及び学長室に戻るしかないので……部屋に向けた。いっぱいの教授たちが挨拶をしていくる。堂の建物は教授たちの部分と生徒の部分、そしてワインの仕事などで外注をする平凡の技術者たちの出入りができる部分などがけっこう良い感じに分けられているので、高い品の教授たちが何人か挨拶をした。
「おはようございます、ガブリエル教授」
「おはよー」
「おはようございます、昨日も徹夜ですか」
「まあね」
「『脱水魔術』はどうなさいますか?頑張ってください」
「まだ進んでる。頑張るね。決まったらみんなで魔術にしよう」
そして自分のドアを閉めたら、やっと平穏が訪れる。
そして、そこには考えてもしなかった人物がいた……とか、そういう劇的な話はぜんぜんなくて、普通にあたしの最強パーフェクト実務室が備えていた。朝ごはんを食べに行ってからぜんぜん変わってない。
「やばいね~ちょっと眠いね~朝めし食べ過ぎた」
ぺたり。あたしは椅子に深く座って、砕け散る自分の10歳の体を感じた。
「はいはい、アイデアには場合によっては一回切り取って、次の自分にもうまくその勢いを繋ぐものなんだね。それが実は『コツコツ』だけではない、現実の川の流れのように、あたしたちアクアの魔術でもある。そして、それが『流』というものなんだよね」
あたしはそれがなんなのかぜんぜんわからないけど、そういうのがあるらしい。
ねるか。眠いね~~~
それでも、今、新技の研究をせずに、授業前まで寝ちゃうのは、流石に今現代の現代魔術の使い手の中で廻の範囲は本当に1位であるあたくし、ガブリエル・ブリナの自尊心を汚すことだ。あたしは本当に偉くてかんたんである「脱水魔術」の仕方がある筈だ。そう思いながら、先食べたパンの味を感じながら、「大魔術」の書類を開いた。まあ、今回のアクアの教授と生徒の参加者リストを一回読もうとしたのだ。
「こんなに情熱的にあたしに従う子たちが多いのに、なんであたしの魔術は固有なものなのかな」
と、パイプからの平凡の水を遠隔操作して、「水玉言葉」を1つ作って、あたしの側に浮かべた。
「『脱水魔術の主体は、四属性のエンブリオくんくらいの、ふつうの生徒に合わせる』」
そして水玉は、平凡の行動としてその言葉を覚えた。
「これの原理が本当にアクアのマギアの高い境地だと思うのに、『なんか普通そうな魔術を作っていらっしゃるけど、今回も原理がわからない!』とされてるんだよね。エンブリオはなんか色んな指摘をしたと覚えるが。それでは、大魔術のことを確認するか」
参加する人たちの得意分野と、今回の大魔術むけの予算の使い道……申請した理由などを大きい範囲で確認した。そうしていたら、すこし時間が過ぎた。そばの「水玉」はその間、ずっとそれが言うであろう言葉のことを思っていて、いつでも言えるように保っていた。今回の「大魔術」の事がだいたいまとめられているので、あたしはまた「脱水魔術」の考案へと戻ることにした。でも、いったん椅子で十分かな。
脱水魔術を……彼や彼より少し弱い方のマギアも使える形で成立させるにはどんな方向性を決める必要があるのだろうか……平凡の水を動かすことは上手くできて、エーテルの色が出せる様なくらいでも問題ないだろう。「浄化」の実験が今日を含めてずっとある予定だから、その原理も少し使えるのだろうか……でも、もし「本当に把握済みの」物質からは平凡の水を出させるのがかんたんだと言っても、(実際に、浄化魔術が様々な平凡の水を「模範」として覚えるのは、いっぱい把握済みの物質を知っているからアクアの操作がよくなるということだ)その毒草の怪物がどこにどのような体液をもっているか(体液と言うとなんだが、普通に植物の汁のことを言いたい)わからないかぎり、その「完全に把握しているから溶液が出せる」のも難しいと感じるのだ。
頭を回してみる……なんでも発想があるとそれは大事なころになるだろうから、自由な連想を主に、あたしはなんでも思っていたのだ。「ワインの目」で読んでたよくわからないものですぐ頭から消えるであろう言葉でも、平凡のはやりものでもアイデアが出ると別にどうでもいいのだ。
回す……そうだな。動かして、その体の中に入っている平凡の水をより上手く感じるとか。それでも、その「回す」という水の量には至ってないと思うんだよな。




