絞りだすためには決めなきゃならない
「そうなんだ。だから汎用には至ってないかもしれないけれど、出発までは時間がある。『水の浄化』の実験授業の間、発展させるといい」
「私ふくめ他の教授も要りますか?」
「いや、あくまでこれはおまけで、あたしは学長だ。これは一人で率いて方向性を決めるのが大事だから」
「そうですか?貴女様の固有魔術の『霜星』も『水玉言葉』もそうだけど、他のマギアはそんなに廻が広くないので、本当に普通の生徒の水準で使えるものが作れないと、大魔術の時に実戦性が不足すると思いますよ」
「魔力が多くない……四属性くんくらいになったと思って作ってるつもりだ」
「ならその部分はいいですね」
「方向性と言うものは決めるもので……何人もいる間に缶詰め会議で集められるものではない。
そうだね。あたしが魔術の方向性を決めたら、正式に要請します」
「わかりました……」
いったん方向性が決まったら、それからの仕事もいっぱいある。術の具体的なエーテルの動きとしての方向性や、補助できる平凡の魔力素材の調べ、呪文や先絵に手草などの、やることがいっぱいある。それからの政策をみんなが制作するといい。でも、その魔術全体の方向性から、いっぱいできる間で決まってないと困るのだ。何を意識して絞るか、わからなくなるからだ。そして、その決定的な中心を決めるのはリーダーがやらないとならない。それから誇りが来るからだ。
「『脱水』はいったんこれが問題であり、課題だ。元素魔術『水』は『水が水としてあるものを動かす』方法なのに、布や植物などの一部として含まれているお水はそれが平凡の性質によって付けている、漬かっているから発生する親和性とも別に、『液体として知っている形ではない』から。だから、いつもの水のエーテルのイメージで動かすのが大変なのだ」
「だから、今見せた場合では『とにかく大きい範囲でそれをさせたら、自然に巻き込まれる』方法を使ったんですね。貴女らしい」
「まだこれしかできないんだ……たしかに既存の『液体のお水を動かす』方法としては、成立している……粗末だけど」
「粗末と言うのは大きすぎる」
「そうか」
フロスト・ノヴァ……水の堂のマギアは全部知っていて、ガブリエル・ブリナしか使えないその固有魔術は、広い範囲の廻から目標した部分に水のエーテルの操作を集中させる魔術。非常に集まったその水の動きによって、平凡の水は霜に変わりながら氷結による被害を負わせる、ぜったい元素魔術「水」はそんな形に使うものではないと思うよ……と、水のエーテルの素質があったら見ればわかる代物だ。その間、良く使われる方法が今の「全方向の水のエーテルの操作によってお水を集中させる」ことで、フロスト・ノヴァのためには平凡の物質の性質による水の方向性を顧慮して、コントロールしながら氷を作るが(だから、今布を搾って見せた「水が猛烈に出る」ことは、実は霜星としてはミスにあたる)今はあえてずらしたのだ。その均衡が崩れた部分から、「水のエーテルによって動くべき平凡の水」は脱出するしかない。
「完成ができなくても最悪、沼地からの水を遮断するだけで私たちの仕事は問題ないです」
「それはそう……だからおまけなのだ。作れないとそれでいい。でも、あたしは『植物の魂だから雑魚だ』とか言ったくせに、本番でそれはちょっとないよ。あたしはエゴの塊だから困るんだよ」
確かにそうですね、と、茶髪の教授は笑う。
「学長はできるでしょう、今できたでしょう」
「違う……その努力で『霜星』を成立させて当たった方がいい……」
「なるほど」
「あえて霜を作らなくて水を出させるこの方法の取柄は、本当に乾燥させるのが目的の場合、仕事がサッパリするということだ。でも、今はあたしたちは攻撃魔術のことを考えているから、それも別にどうでもいいことだ」
「確かに、『毒草』は別に魔力素材として思われていないです。だから、状態を良くして保存しても意味がないですね。今回の『奇怪巨木』の討伐ができたら、それぞれの毒液は効果を失うと思われるから、ただの草に戻ります」
「そう……いちばんいいのはあたしたちやフラマたちがチカラを合わせて、その『巨木』を瞬殺して非凡のお仕事を済ませたらいいことだけど、けっこう頑丈らしい。そして、調査隊から読んでるところ、その毒草たちは親玉を優先的に守るようになっている」
「瞬間的に終わる作戦ではないということですね」
「そう。ミカエル教授の方針で、あたしも同意する部分だけど、別に適性のものを見誤るのはいいことではない。『あれは本当に弱虫なんだ』と、一時的に士気はあがるとしても……それは虚ろなものだ。客観的に、『攻撃マギアがいっぱい挑んでも、本体は倒すのに時間が掛かる』『毒草たちの足止めのために人力がいっぱい必要』なのが大魔術の条件だ」
「アクアとして、どんな方法でもいいのに、その『水を被るか動かす』方法はぜんぶ効果がなさそうですね」




