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伏線回収は早めにやるべきだ

「そこには(わたくし)の非常用修理キットなどもあるのだ。普段は使う必要がないけれど、私は普通に事故で難しくなるつもりはないので、今まで一人で生きていくために備えている」


「非常用修理キット!?」


「先きみが言ってた『爆速で修理すると無事に戻る』ような、余分の部品とよくわからない動力源(ターボ)や磨いた素材がある」


「そうですか。でもぜんぜん知らなかったです」


私は右手の人差し指を示して言った。


「この家に……私たち以外の、誰も!本当に誰一人も来ないと言う保証はないから。私が平凡の技術者として生きる間ぜんぜん必要ない処だ。ここの作業室と2階の棚はそれを隠すための囮だとも言える」


「囮!?」


「そうだ。様々な道具と作業台でいっぱいな作業室と、おじさん一人でお仕事ばかりやってる2階のたくさんの本を見て、だいたいの人は満足できるだろう。けど、実の隠れた場所はそこにあるということだ」


「2階の本の底に!?」


「いや、普通にここの下に地下室がある」


「そうですか」


「そして、『非常状態』では、その設備と道具を使って、自分でなんとか……物凄い生存力で私の存在を続くことができるのだ。私はそういった設備をいつも本拠地になったところに『居場所』として備えるのだ」


「ほう」


「そして、今回の報酬でコアの宝石が並ぶと、その設備やそれぞれを後継機を作る事に活用する」


「確かに。わりと『すぐ作れる』ような言い方だったけど、もうけっこう準備が整えていたんですね」


「そういうことだ。でも、私もいったん彼らを作ると心をきめた以上、同じ素体で6人をコピアするのは申し訳ない。もっとアップグレードするぞ」


「グラドゥスを上げる?」


「そうだな。品を引き上げる。まあ、大袈裟だけど……もともと何かを作り出す物事には虚勢が必要なのだ」


「そうですね」


リソくんはたれ目で笑った。


「今まで話してなかったのは、先も言った通りこの家に誰かが入っていた時に、きみがそんなことを知ってる場合と、知らない場合を考えると、知らない方がいいと思うから」


「それはなんででしょう?」


「言ってなかったっけ。『水の堂』ガブリエル教授や様々な人間は心の言葉が読める」


「それは以前言いました」


「だから知らない方が良いのだ。だいたいそんな感じだ」


「ふむ」


「そして、今はその『後継機』にきみも関わって欲しいから今までのことを言っておくのだ」


その言葉でリソは意外のようで首を傾けた。黄金の瞳が無邪気だ。


「ウチが要るんですか?」


「まだ仮説だけど、凄く大事な仕事になる」


「へえ~~~!」


「どんな仮説かを言うと、きみの『見えない糸』に本当に『エーテルの色を自分のものではなくても引き上げる能力』があるとしたら、きみのその能力をなんとか彼らにも少し与えれるとしたら、それはもう非常に強力な機能になると思うのだが」


「もともとそんな凄い能力かもウチはわかりませんが」


「だから今回の観察結果が大事だ」


「なるほど……

それはどうすればいいんですか?ウチの命に関わりますか?」


「たぶん別状はないと思うよ」


「たぶん!?」


「初めてやることだから」


「そうですね」


アルベルト・レグノは、まるでどっかの影のような奇妙な言い方で話したが、彼は別にリソを騙すことなど思っていなかった。ただ仮説で思っている「彼女の白髪を一本くらい入れて動かす自動人形(オートマトン)は、上手く起動できるかな、彼女の特徴が持てるかな、自分の『写の記憶』は共有できるかな」などが実験が必要だなどを思ってるだけだ。

そして、その行為自体が気持ち悪いか否かもわからなかったから、いったん彼女に聞くことにした。


「それで、その時、君の髪が少し必要だ」


「髪を!?」


「もともと人間のなかで非凡の才能があるものはよく珍しいヘアの色を持つことが多いけど、きみは多分生まれてからの『白い子』でそんなにそういうのはないと思うのだが、一番印象的で減らないものだから、きみとのつながりができる素材として、髪がいちばんいい」


「まあ……いいですよ。なんかそういう昔話も聞いたかもしれないです。そんなに拒否感はないですね」


「そうか」


「今必要なわけではないんですね?制作自体が大魔術のあとですもの」


「そう。今の時期はわたくしの出発前に『その留守の間、何を備えておくとリソくんが一人で暮らせるのか』の方がより大事だ」


「それは確かに大変です。ウチはそんなになんでもできないわけではない子だと思うけど。わりとやればできると思うけど、確かにそとで白い子が一人で動くのは良くないと言いましたね」


「そう。きみは別に非凡の事で自分の体が守れたりもできないから、ギルドのクッソつよい幼い子たちとも少しは違う場合だということだ」


「以前の……なんだ、金髪の人?そのような出会いもあるかもしれないから。少し出ていてすぐそうでした」


まあ、珍しいものは生きるのが大変なものだ。アルベルト・レグノは「彼女の髪を含む」あたらしいからくり人形たちを作るのが、その意味でも彼女が「珍しくなく」するためのきっかけになるかという考えも少しはあった。

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