非凡のやり合い
「もともと戦うのは専門ではないけどね、レグノの旦那は」
「そうだな。私は平凡の戦いは見過ぎていて、それは本当避けたい。お城も作れて戦艦も作るが、自分で参加するのは御免だ。そして、非凡のやり合いをする理由もない。互い利益に基づいて調整するのがいちばん上手く行く方法だ」
「そう。なんか違うと言いましたね、非凡のやり合い。それをもう一回聞きたい」
「そうか?」
「旦那が白神女と神獣と砂漠の野営で会ったあと、続いた葛藤の話にちょっと違和感があったんです。『いや、おかしい』と違和感を感じてですね。だって、実際破られたはずの奴が敗北を認めたら死には至らなかったと言うから」
「ああ、それか。平凡の戦いと、今頃は……非凡使いと範疇を絞って言っているものの間の争いはその特性が違う。違わない場合もあるが、利害得失が数えれる範囲の間であると、続く関係であると、その『確定』をしてないからな」
「確定」
わたくしは自分の右手を軽く、リソくんが言った「刃物がいっぱい付いた機械装置」に変えて見せた。周りに人の目がない場合、木材を斬る事に非常に有用。
「そう、確定をまだしてない。私がこのように平凡の人が見るに奇怪な機械の姿になってものを潰すとする。これは、『まだ普通のことになってない』のだ」
「そうですね、どんなに小さな出来事だとしても、エーテルが関与している。ウチの体、人々の体、そして普段のレグノの旦那の人としての体に至ってないこと」
リソくんはそう言いながら私の左手を示した。
「そう。まだこうなってない。重さも変わって、質感も大きさも変わったままだ。『マギアの人たちが好む妙な状態』のままなのだ。この段階では、中々なんでもありという感じなのだ。それがまだ普通のものになってないから。本当に僅かの間だが、確実に『曖昧状態』だ。だから平凡のことであってもその『猶予』は発生するが、非凡の体や出来事になると、それは本当に長くて広い。
例えると、このような手の装置の刃物を少し分解して置いても、これは別に私の右手が破裂して血が出たりする……そんな問題ではないのだ。まだないのだ」
「うげ」
「そう、機械装置の体の立場では『うげ』するけどな。でも、これは重さも大きさもどうでもよくなる……『奇跡と怪力』の段階では別に問題ない事だ。『怪力乱神』の領域なのだ」
「それは新しい設定だ」
「設定は止せ。非凡のものを示す言葉だけど、昔の東洋ではそう言った」
「怪力を示して神のような技を見せて乱すもの?」
「まあ、そんな意味だな」
「理解しました」
「そう。怪力乱神のことは平凡の世界のことではないからだ。私のコルからチカラが出て、コアが動き、周りに影響が続いている。だから、別に機械装置としての体をどう分解されていても、これは痛くも痒くもない。これから『いや、明確に所有権を失っていて、これはもうわたくしの身体だとは言えなくなった』になると、それはもう大変だ」
「所有権がなくなる?」
「私のようなものはそんなにずっといるのではないが、もし『鋼系・ライト』というお方が私の機械装置みたいな性質を持ってると言おう。それは定義的に私の上に位置する、上位互換のもので、その『分解した機械装置としての』私の体の部分を部品として扱えるかもしれない」
「そう、それくらいできるでしょう。旦那が何千年も探している神様のような人なら」
「なら、この場合、その部品の所有権はどっちにある?私が右手を『普通の人として戻す』とどうなる?そこでできる選択肢はいっぱいあるが、一番かんたんなのは『右手を失う』ことになるのだ。これが平凡のことに確定されると言える」
「爆速でほかの機械装置としての部品を付けてそれが旦那の既存の互換性を完璧に気にしていて調整していた縁が通ってる材料で、適切な方法で結合させて働くようにするのなら、右手は無事です」
「そうそう。逆に、そういう『なんでもありだな』が効くのだ。そういう修理ができると、私は元通りだ。手は失ってないし、別に平凡の人としての体が維持できないわけではなくなる」
「でも、その手の分は失った」
「そうだ。奪われて、まあ、言い方を変えてもその分は捧げても貸してもあげても……私の範囲のものではなくなったと言える。そういうのが、非凡のものの争いで『それでも』発生できる結果だ」
「でも、くっそ緩いですね、何々戦争の普通の出来事に比べるとですね。ウチが違和感が出たのがそこでした」
「そう、エーテルが関与する部分は……ちょっと大袈裟で言うと生と死さえ超越する刹那、少しの曖昧状態があるから、奇妙さがあるのだ。その奇妙な瞬間は私も白神女と神獣との事件で見ている」
「流石におとぎ話の権威者さんだな」
「まあ、ギルドの情報によると今消息不明になっていると言うが」
「それは以前聞きましたけど、常識的にそんなに長生きしたばあちゃんがちょっと発見情報がなくなっただけで『もう彼女の時代は終わった』になるのは、教皇庁というところの人たちは勘違いしていると思うんです。もともと聖堂が作られるずっと前からただ旅している無限の命のばあちゃんをどう測れますか」
「確かにそうだ」




