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外延拡張

「でもドルイドさん、その『草』は、どうやって偉さを伝わるのでしょう」


「うん?どういう意味だ」


わたしはベッドに肩と頭を乗せたまま、椅子の少年に顔を向く。彼はもうギルド員の服を整理して、身軽な服だ。


個別(ウヌス)の意思を持つ使い魔みたいなものがその『奇妙な草』で、それをいっぱい作り出してナワバリを拡張しつつ、新しい環境を作ろうとするのが今の『奇怪巨木』だということは大体わかりました。ギルドの調査とドルイドさんの会話と一致します。でも、沼地の近くにいると『エーテルの勢い』も『気の通路』も通るのに、そんなに地方が違うところまで広まってるその魔法生物が中心の優れた能力を受けて行使できるとは思いにくいです。偉さがないと、『新しい種類』もないはずです」


「ふむ」


それはそうだ。わたしは深紅の悪魔が人として自然な感覚の世界、平凡の人の子が人として自然な感覚の社会を知ってるから、どっちでもない魔術師(マギア)の社会の世界はそんなに慣れてないんだが、少年の話によると……使い魔というものは、自分のエーテルで生き物のカタチを作って動かすこと以外にも、自分と別の意思を持つものにチカラを与えて使役することもできるらしい。(だからドルイドは動物を友たちにすることができると言った。わたしが知ってるドルイドのばあちゃんとはぜんぜん違うから知らなかった)その場合、チカラを与えて使役する場合は、わたしとブイオさまに似ている。わたしはステラ・ロサとして個別の意思を持ち、「狼の星」ブイオはその名前(マナ)という器を通って勢いと意思疎通を繋ぐ。わたしに偉さを証明して、わたしから存在を証明されるのだ。それが「座標の衛星サイファー・サテライト」だ。わたしはきのこの使い魔みたいな立場である、桜のドルイドのステラ・ロサなのだ。

そのわたしと同じく、魔法生物としての毒草は自分の意思を持つ。普通の毒草は普通で(とど)まるけど、沼地のチカラと「巨木」の偉さを貰うと、固有性(ウヌス)が成立して行動できるようになる……と思われる。でも、これは毒草が生きて動ける……そして「体で聞く」とか「口で平凡の言葉が言える」ことを可能にするだけだ。別に強力ではなくて、チカラパワーがないのだ。ただ魔術ギルドに認定されてもいない非凡使いたちに捕らわれて、毒液になってる……と思われる今の状況がそれを証明してる。その奇妙な妖精さんたちは、どうやって沼地から凄く離れても「新しい種類を作る」行為ができると言っているのだろうか?


「まあ、ただそこまでは考えてなかった、間抜けどもかも知れないですが」


少年は人間らしく冗談を言ってみる。わたしもそれに返した。


「そんなに考える事が得意な妖精さんではなかったのは確かだったけど。

でも、根拠があるから行動する感じではあった。それは確かに『自分は失敗しても他の草たちもいっぱいいる』ように言ってたから」


「ふむ」


「だからいったんわたしは『できる』ことに基づいて考えたい。個別の意思を持つ場合、偉さもエーテルも伝われないんだな?」


「はい、(スフィア)影響圏(えいきょうけん)の外は圏外(けんがい)なんです。難しい」


「ギルドのせんせいたちが連絡用に使うという、自分のスフィア以上に届く使い魔は?」


「それは、実はスフィアを丸ではなくて、自分のエーテルで作ったカタチの使い魔を伸ばして、その部分を押す……他の部分が引っ張られる感覚です。だから、ちょっと無理するのです。個人が普段術を使うためのスフィアを、自分の心と感覚を伸ばしているからカタチが変わるのです。基本的には同じ範囲なんです」


「そうか」


「ドルイドさんは『深紅の悪魔』のその……人の頭を開いて脳みそを持って帰ることを言いましたけど、それは違う概念なんですか?」


「そうだな。ちょっと違う。それは中継局(メディアセンター)というものを作って、自分の(スフィア)を広げる方法だ。その分縛られるが、広くなるし、多くなる。支配してる知性体をいいなりにもできる」


「そういう仕組みが『毒草』それぞれにできるとしたら?」


「わたしは植物性の美少女だが、別に植物そのものではないからわからないけれど……『無数の、魔法生物として行動できるようなチカラを与えた毒草』ぜんぶに張って同時にそんな『拡張』をするのは流石に難しいのではないかな。多すぎる。複雑度(ふくざつど)というものが高すぎる。そしてそのような(つなぎ)がないと、結局『偉さ』の伝達も、気の通路もないと思うんだ」


「そうです。うん……本当にどうやって『種類を増やす』ことができると言ったんでしょうか……

これはどうでしょう、『沼地』は『魔術的に種類を増やす』事で、毒草は普通にドルイドさんが最初に思った通り『自分の足で他の地方に行って性質が変化する』事を狙うのです。複合戦略(ふくごうせんりゃく)です」


「それでは説明はできるな……調査隊のせんせいたちとわたしの経験が相反しないと感じる」


「はい」


深紅の悪魔として思うと、わたしたちが「スティグマ」というものをされて種族全体がたいへんになったことが「沼地で魔術的に種類が増える植物」のようなもので、このステラさんが個別の「灰色(はいいろ)(のろ)い」として動いて性質が変わったことが、「其々旅する不思議な草」の方なのだ。

その時、わたしのマントが喋った。


「まあ、今の段階ではそれが一番いい(かい)なんじゃないかな」


「「ブイオさま」」


「わたくし的に二人の推測に追加すると、もし『奇怪巨木』のチカラの源がわたくしの欠片(スターダスト)であるのなら、毒草はただそれを探す役目かも知れない」


「その場合もまた、探しても本体に伝達できる方法がありません」


エンブリオ少年が即答(そくとう)した。

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