流(ながれ)
「彼とは先ギルドの出口で出会っただけです。今は土の堂の図書室でわたしの帰還を待って勉強をしています」
アストラさんは少し眉毛を上げる。
「なんでデュラの堂?フラマとして参加するだろう」
「彼はクアトロだから、殿堂の扱いが人の4倍 自由なんです。たぶん今の時間までずっと『火の堂』で話したのに、火にまた戻るのも恥ずかしい。本を探して理論を整理するには土のマギアの方が一番ピント来るから土の堂に決めたと思われます。そして、今回の大魔術という仕事は土のエーテルと密接な関係があることなんじゃないですか」
「なるほど、そういう感じに勝手なんだ。四属性のどっちも、いつかどっちには使い道がある。どっちもマギアの共通的な原理が関わってる。彼はそのうち使えるものを使えたらいい、のか。
えーと、私が『話が流れる』などを言ったのは、ただ今言った通り私がきみのことを『専属薬師』もしくは薬師にしていることが、火のマギアさんたちを通じて彼に伝達されたと思ったからだ」
「それはありそうですね。彼はなんかギルド員の皆様と広く知り合いらしい。わたしに言ってないだけ、わたしがその『専属』になってることはもうフラマのマギアさんたちに聞いたかも知れないです。でも、もともとその専属というものはなんなんでしょうか」
「そうだな。きみが私の専属薬師になったということは、きみがギルド員に薬師として働く場合、私の粉薬に関わることが優先になる、ということだ」
「はあ」
「もし『いや、困ります』という条件があったら追加的に合わすけど。これはきみにいい話なんだ」
「そうですか?」
アストラ・ネロ氏は利害得失の話をする。
「うん。きみは普段薬草の調査などでこのフィレンツェ付近を動き回らないと困る。それ以外に別に他の薬房と仕事をする計画はない。そうだな?」
「はい、話したとおり、薬草の調査をし、権利問題に関わらない採集地や種類の分類をしたいと思います。そしてフィレンツェに魔術ギルド以外の縁もないです」
少しの知り合いまで含めると、アルベルト氏も入るが、彼は別に薬師として関わる人ではないのだ。
「なら今の観点で問題ないな。逆に、きみは専属であることによって、毎週/毎日ギルドに出席するなどの義務は免責されるのだ」
いったん業務条件の話になったので、わたしは本当においしい事なのか聞くことにした。
「逆じゃないですか?『専属なのにそいつどこに行ったのです?』になりませんか?」
「いや、伝えた通り、私はいつもの粉薬が必要なくらいの老人で、その常備があったら別に24時間待機してくれる役人などは必要ない。専属だから、むしろ人の使いが私の勝手になるということだ。きみがそのうちに他の仕事も関わることになったとしても、『今は不在だけど私の薬の準備があるからそうなんです、ちょっと待ってて』というカタチにもなれる」
「それは……わたしにとって、とてもありがたいことですが、そんな緩いモンが専属というものでいいでしょうか。ネロ様の利益はなんでしょうか」
「わたしは『きみが他の平凡の連中とお仕事関係ではない』とそれで十分だ。もちろん薬師としても働く時は働いてくれないとよくないが」
「ちゃんと働きます」
「うん、その最低の条件を満足すると、きみがいつもラファエラ少女が言うような『珍しい知り合い』の一人として、ギルドと関係を続くことの方が利得だ。『専属』は私が思うに一番きみに都合がいいカタチの契約なんだ。感謝しろ」
「はい……」
わたしはなんでアストラさんがわたしの面倒を見てくれて、このように「専属」という制度も使ってくれるか疑問だった。その、白髪のそれっぽい人物がギルド出入りすることにそんなには価値がないと思ったからだ。
「ふうん、疑問か。実はその真の真の理由があるのだが、私が老いて死ぬ前に教えてあげる」
「ええ……」
急に重くなって、わたしは彼女のその言葉が嘘なのか冗談なのか見当が付かなかった。
「今はただ『白神女ぽさ』が『裏までも』十分すぎる理由だ。私と夜空のことを学ぶといい」
「はい!ネロ様から平凡と非凡のものごとを学ぶことが凄く楽しみです。
あ、でも、今夜は流石にわたしの同居人、エンブリオ少年が待つので少しは早めに終えて欲しいです」
「勝手だな……でも確かにそうだった。年のマギアは『ごめんねフラマとして不安なのに一緒に行けないと話すことになって』などなど、いっぱい慰めてくれた方がいいよ」
そんなことを言うせんせいは別に嫌がらせとか皮肉なことを言う様子はなかった。(わたしは少し心の言葉というもの、そのものの性質を持つ人間なので、そういう匂いみたいなものがわかる)
「ありがとうございます。でも、少しはネロ様らしくないですね」
「戦闘マギアがどんなに怖いことなのかは私も知っているつもりだから」
アストラ・ネロにとってステラ・ロサという娘を弟子みたいなものに知識を与えて、最終的に老死するということは、彼女なりに「白神女がいちばん有名な今の社会」に勝利することを意味するからです。この小説は自己満足のメンヘラが80%以上含まれてます。




