竜
「好き勝手言われてる」
その時、部屋の蝋燭から火種が勝手に作られて、その光から赤き竜が現れた。
火の赤色でできているそのドラゴンは体は小さいけど、目と角から尋常ではない火の魔力を発していた。
「あらせんせい」
「あらせんせいではない」
そして、その言葉と共に、業務室の扉が開かれる。もちろんこの「火の堂」の学長であり火の頂点に立つ人、留守のミカエル・グエラ教授だ。おれは丁寧にあいさつをした。
「こんにちはせんせい」
「うん、こんにちは。大魔術はフラマとして行くのか。嬉しいよ」
「いつも言う通り、おれは教授を尊敬するおれとしてこのギルドの顔になりたいのです。その一環として今回フラマとして参加することになりました」
「2年ずっと聞いてるけど、本当に君は飽きないな」
赤き竜はミカエルせんせいの口と動きを一緒にし、翼を羽ばたいて彼の肩に昇る。それは彼のエーテルでできている使い魔。ふつうにギルドのマギアはみんな連絡手段としてよく利用しているけど、彼含め大魔術師はその廻の大きさと濃さが凄くて、その作りと運用が息をすうようにかんたんなのだ。もともとはこのようにぽんぽん出すものではない。
「先ほどの話を聞いてたんですか?本当に暇なんですね」
「暇やめろ」
「四属性くん、マニュアルを読んですこし緊張してたといいましたよ」
おれはちょっと嘲笑した。正直ミカエル教授がうろちょろするとは思ってなかったからだ。
彼は講義の時のサイコパス気味がほぼない感じで言う。
「それは、緊張させようと書いたからだ。俺は基本的に平凡の戦争しか知らないマギア。だが、だからこそ、ものを欺いて利益を得ようとする意図はどこのどっちも同じだと知ってる。最近のその『手段を択ばず騙す魔法生物』の例が、『レヴィアタン』の件だけで、俺がギルドに入ってからその次の件は発生してないけど、前例があるから」
「ふむふむ」
「それは確かにそうですが。でも、ハンターたちがよくやりあう、自由村落を通る魔法生物と違って、マギアの性質を良く取るものはその前例がないと聞きます。魔力に素直なんです。海怪物の件も海賊で、港の事件だと聞きます」
「ふうん」
業務課のせんせいは、普段から気になったことらしくて、おれと学長を同時にからかうことをやめて、まじめな話をした。(ミカエル教授は13歳のため、火のマギアはだいたい彼を尊敬するけど、危うい/可哀想な弟みたいな人だとも思っている人も多いと、おれは思ってる)
おれもせんせいの話に追加をした。
「ハンター……ハンター制度ですね。それは、大きい戦いのために作られたものではないんですね?おれも興味が湧いて、非凡科の本を見たことがあります。それはアルマとマギアのどっちにも適しない、”強大”までではないけど、ほっておくと人々が苦しんで、自由村落の取引が難しくなるような……そういうところに現れる化け物を討伐するために作られた制度だと言います」
ミカエルせんせいは説明した。
「うん。微妙で、そのような部類の魔法生物は人を騙すと聞く」
「なるほど」
「でも、そんなに大きい事件にならないんでしょう。ハンターが魔術ギルドに救援を要請したこともありません。その条項があるはずです」
「それはそうだな。非凡科によると、ハンターが関わるお仕事は、基本的に騎士団が遠征する必要まではなくて、魔術ギルドが責任を持たない非凡の範囲だ。それが強さと単位が険しくなると、ハンターは騎士団とギルドに助けを求めることができる。でも、彼らはそうしないのだ。ハンターがものを得たいから」
「へえ」
「反対もそうだ。もともと遠征やギルドの調査が必要なものは、彼らは関わらない。自由なので、それを超えるものを討伐しても、実は関係ない。ただし、間接的な支援が増えるわけではない。得しないのだ。
だから玄人は無理して欲を出さなくて、素人にもちゃんとそう教える構造になっている。それはその方が一番その人たち、非凡ハンターの利益になるからだ」
「やはり利害得失で縛るのがいちばん強い」
ただそれだけの構造だ。でも、それを維持するために玄人の物資の支援とアルマの教育の補助、行商人たちが取引ができるようにハンターを安い値段で雇えるようにする特権……(そういう場合ハンターたちはハンター制度から発生する報酬が貰える)などなどの機能がたくさん作られていて、おれはその本を読んで感心してたのだ。
「そう。さき君とこちらのせんせいがさんざん言ってくれた俺が至高の最強だった時のことを思っても……まあ、ものごとは利得を求めて動く。
教皇庁の意図に合ってヨーロッパの国々の争いには中立だとしても、出陣するところが微妙に選べれる、引くタイミングが選べる…ということから、多くの被害が発生して、俺はそういうのを統制できなかった。それが、ハンター制度のように握る構造がなかったせいだよ」
「すみません」
「いや、俺が言いたかった。つまり俺が言いたいのは、ギルドの方法は完璧ではないかも知れないけど、二人が言ったように今の中央堂とみんなは最善を尽くしていると俺は思う。」
「……」
「今こう留守になっているから、俺はずっときみたちが余計に危険にさらされるのではないか、実は今もずっと思ってる。でも、確かに実戦の実践は大事な経験で、今回のミッションが水と土の二人が一緒にいるから、そんなに非凡のオオゴトにはならないだろう」
使い魔、やっと回収しました。こういうモンを出してもいいかずっと躊躇ったのです。




