教会の行き先
「それが全部……ですか」
せんせいの話によると、ミカエル・グエラがいちばんの実力者であったギルドと違って、ラファエルギルド長が「風の堂」であり長として治めることになって、しかも「水と土」の二人が入ったから、ギルドの発言権は良い感じになったということだ。
「うん。教皇庁非凡科の立場になってみろよ。『奇跡的に』魔術師たちが天使の名前で揃った。これは平凡の人たちにもバチカンの凄さを直感させることが出来る偶然の産物でもあり、非凡の権威が根本的にバイブルから来ていると、神様の御意思から来ていると示すことにもなる。
人は名前に凄い影響をされる存在だ。それは、新技を作る時の我らの規則を見てもわかるように、名前というものには実際に非凡のチカラさえも込めているからだ」
「そうです。おれも最近ガブリエル教授の新しい魔術の命名を見てましたから、わかります。
でも、ここは平凡のことでしょう。教会にもエーテルを見て聞いて触る素質をもつ人はいると聞きますが、基本的に非凡使いは魔術ギルドが独占しています。だから魔術ギルドなんです。教会の方向性は非凡の、魔術的な原理とは違うカタチで働く筈なんです」
「いや~~~!!だから、平凡の社会でも名前は凄いチカラを持ってるということだ。エーテルを持つ魔力素材ではないとしても……そうだな……美的置物と同じだ」
「美的置物とですか」
「うん。心を催すから。とりあえず、それが今だ。そして、この現在はラファエルギルド長だけでは足りなかったんだ。逆に、『あの娘はなんなんだ。凄腕だと聞くが、我が家のミケーレとやり合うと負けるものなんだろう』などの不満も大きかったと思う」
おれは不快感を感じたので、ちょっと眉毛を縮めた。
「グエラ家がですか?」
「当たり前だろう。おとなしい息子さんだから。だから、非凡科も困惑したんだよ。曖昧だから。ちょっと、『ギルド』は制御できないか~?もうだめなのかな?やはり『レヴィアタン』で限界になったのかな?私兵組織になることは望まないけど……☜になったんだよ。方向性を決めるべき。
その時期は、私も若かったんだよな」
「はあ」
「でも、ギルド長、何日で『風の堂』ぜんたいの心を握った、風のマギアのラファエル(まだムジカではなくて教授はおろかせんせいでもない)の、『凄い奴を集める。それが魔術ギルドの珍しさの憧れの根本さ』という、爽やかさが気流を変えた。
まあ、正直ね?普通の人たちは見て聞くこともできないエーテルというものに振れるものがこんなに集まっている集団に、彼女は『レヴィアタン』で壊滅寸前になってたギルドのシステマに、システマのマキナだけではなくて『それっぽさ』と目指せるものを示したのだ。そして、だからこそガブリエル教授もウリエル教授も入った」
「確かに、ウリエル教授にそんな話を聞いた事があります」
「うん。結果的に、教皇庁非凡科から思うにも、魔術ギルドは『ミカエル・グエラはとても強い。でも、頭がいない』状態から一変し、直接提携に相応しい構造が完成されたのだ。そんな上のバチカンの立場でも、問題なさそう。ここで、『名前』もまさにふさわしい」
「やはり名前そんなに関係ないじゃあないですか」
「いや、君はその時を見てないから知らないんだ。その劇的な局面の『もうひと押し』として作動したんだよ。『名前も綺麗に揃ってる!!!』めっちゃ強かったから。そのおかげで、ギルドの発言権はいま完璧になってる状態だ」
「へえ」
確かにおれも、「非凡の海賊」の件でぼろぼろになってるギルドがミカエル教授のチカラで武力を持つことになったのは納得したけど、その後が急展開すぎると思った。既存の噂やステラ・ロサさんが言ってた「ラファエラ少女の成功談」は、なんか、ギルド長本人を知ってるギルド員なら目の前に「轟」のラファエル・ムジカ本人がいるから実感できるしかないけど、たしかに流れの材料が完全ではない気がしたんだ。
あっさりすぎる……を超えて、なんか抜いていた。
一言で、「いや、火の大魔術師が頭に乗るのが適している」になる。外部からの圧力でもそうだし、内部の教授たちの(何回も言うが、ギルドは教授「も」おおいのだ)経験とココロが、よそ者の彼女を許さない。その部分を考えると、確かにちょっとは胸がモヤーしてた。もやもやしていく奇妙な気分があったのだ。でも、なるほど。これもタイミングだったんだ。
そして、そのタイミングを掴むことができたのは、ギルド長の意思の影響だった。だから、ギルド員は「本当にラファエル・ムジカは正しかったんだ」と納得するしかない。
「結果的に教皇庁はマギアを成功的に制御出来てご満足している。私たちの立場ではとても有り難いことにね」
「そうですね」
今回は大谷翔平のドキュメンタリーを参考にしました。ディズニープラスで見れるぞ!そして、フランシスコ教皇が逝去されましたと聞きますので、その弔いのきもちも入れました。




