平凡の戦い
「ふん……まあ、ギルドの待遇はとてもいい方だから、そのうちちょっと普通だとしてもそれでも平凡のお仕事よりはギルドの基本のマギアの方がいい生活だとは思うけど。集中して、盛った方がいいんじゃないかと思ってるのよ。君はいい火のマギアだから。私は普通に火一筋だからね。自分のことではないからちょっとわからないな」
「はは……」
その通り、おれの心に刺す言葉だ。正直、マギアとして専門教育を受けていて、スフィアだターゲットだ色々言ってるけど、平凡の社会に出ると、それはまったく使われない知識だ。ずっとマギアとして生きるしかない。そして、そう決めた限り、ここでギルドのシステマを維持してチカラを合わせながら生きることは待遇がいいのだ……でも、「そんな方法ではフィレンツェ1の頭になれない」という考えになるのもまた事実なのだ。おれは人並みの魔力と操作を見せているため、1つの堂に盛ると、十分教授にもなれると思ってる。(これはせんせいたちを傲慢な目で見ているわけではなくて、それくらいができてからまた今の特例の位置が貰えているからだ)でも、「いつかおれの属性は現れる」「なんかつかめる」「見れるはずだ」……とか思いながら、好きな人の「いったん生き延びる」という言葉に従うようなことは、果たして正しいのだろうか……などなど。そんなことは……
思ってない!
おれは結果がどうであろうとも(まさになんとか理学の絶対結果とやらがどう来ようとも)ドルイドさんを思うと、心が強くなるような気がするからだ。おれは「4属性ぜんぶをマスターして生き残る」ことに決めている。
「まあ、余計なお世話だったかもしれない」
「とてもありがたい言葉です」
「そ……この話はここまでね。
えーと。そういえば先きみ、『平凡の戦いみたいで緊張した』と言ったけど」
「そうでしたね」
「でもそこはマギアとしてより安全なので、そんなに心配する必要もない、ということも知ってるよね」
「はい、それは大丈夫です。平凡の戦いでいちばん怖いのは『自分の火のエーテルの色と音に』隠されてわからなく飛んでくる平凡の矢と鉄砲玉ですから。非凡の戦いはそのしんぱいがないですね」
「心配がないわけではない!」
「ふむ」
せんせいはちゃんとそこは注意点を伝えた。
「魔法生物はふつうそう。ふつうというか、ぜんぶそれぞれ稀で奇怪だからふつうではないのがふつうだけど、だいたいそう。でも、『レヴィアタン』の時期の海賊は平凡の海賊でもあったんだよ」
「はい。だからその時期のギルドは対応は遅くなって、被害が大きくなったと聞きます」
「平凡の海賊でもありながら非凡の魔法生物の場合は、平凡のものを同時に使ってくるかもしれないということ。もちろん魔法生物のくせに人のフリをしても限界はあると思われるけど、平凡の何々戦争の戦闘がそうであるように、いったんオオゴトになる以上、なにが起こるかわからないのが作戦というものなんだ。『なんだ、ふつうに終わったじゃないか』が99回だとしても、百回目で違ったとして、面倒を見てくれるのではなくて、そこで死んでしまうとお終いだからだ。ちゃんと緊張感を感じていて正しいと、私は思うよ」
「ふむふむ」
おまえマジで普通の曖昧魔術師のおじさんになるのか……と、理解ができないようなせんせいではあるが、同時におれは火のマギアの一人でもあるから、大魔術を前にして励ましてくれる話だった。
平凡の海賊か……実のところ、おれが好きな人もその「人のフリをしてるマジック・クリーチャーのようなもの」の類にあたるものではあったが、ドルイドさんはそこはちゃんとこの国の(それでもあやしいものではある)田舎の娘でもあるから、そのクララさんとしての人の心と経験があるから、完全に「レヴィアタン」のように、人の社会に住む気がないのにずっと海賊船長とかやってた奇妙な非凡の場合とは違うと思った。
「そう言えば学長が言ってた『女のことを思ってる』というのは、いぜんの頭白い人のこと?」
あああ!!
「はい、そうです」
そう言えば作戦がもう何回目か、あと何回残ってるのか わからなかった。




