人の事を思うままにすること
「そうですね……ブイオさまの言葉はわかります。今回の『奇怪巨木』の件はこの世界のものではないチカラが介入していて、その調査のために非凡の占星術師、つまり占星術のマギアが必要になる可能性があります。もちろん、これはおれたちしか知らない出来事。知ってはいけないこと。このような推測もギルドには報告できませんね」
奇怪な形のものはとりあえず避けるべきなのだ。ギルドのマギアたちがその「本体の妖精」にあうと、たぶん直感的に感じるだろう。わたしが「混ざり」だから普通に対応したのとはぜんぜん違うはずだ。話は結局、占星術も必要だと言う流れになるはず。
「そう。でも占星術師だとして全部がいいわけではない。他の占星術師では、ステラ・ロサさんお縁がなんですね。ない彼女の同行が必要だ。『なんか私が行かないといけない気がする』とアストラ・ネロさんが決めてくれるといいけどな。そうでないと、彼女は動かないまま魔術ギルドの中央堂にいるだろう。ギルド長の側にいるだろう。そしれ、薬師のステラ・ロサさんは未だにギルド員全般の調薬の仕事を始めているのではないしな」
「あ!!」
そこでわたしはいい作戦を思いついたのだ。
「なんですか」
「それがね、今から走ればいいと思ってね。薬師として熱心に仕事を始めて、ネロ様と別にも、ギルド提携の薬師のお仕事に付いて行けるようになるといいのだ。薬師は必要なんだ」
「それはそうなんだが、流石にいま色んなことを急用を集めてる大魔術というものに参加するには、間に合わないと思うのだ」
「そうですか……」
「おれの考えでは、アストラ・ネロせんせいと一緒に行けるようになるのが最善で、それ以外はギルドも今緊急の時期なので、今から身分を変わることは難しいと思います」
「そか……」
困ったもんだ!人の心は本当にそれぞれだからな。ここでなんかわたしが、他の同族の様に人の行動を勝手に操れることができるとしたら容易いことになるだろうが、そういうのはないのだ。わたしはもともとそういうのをしない「人の前に立って全てを見て善を行う」「可愛くて凛々しい」ステラ・ロサさんだし、「深紅の悪魔」として少し特殊なので、そんな能力がない。
まあ、その同族も、知性体をコントロールするためには「鋼の瓶」とやらが必要だけどな。人の行動を好き勝手にするためには、脳みそくらい人質にしないとできないのだ。
「仕方ないものですね。周辺の人の心が、廻の自分の属性のエーテルのように、思うままに動けるといいですけど、現実の人にはそれぞれが凄いチカラがいるだろうから」
「そう言えば、幻想魔術がそういう方法ではないのか」
「マギアは一端それぞれの廻を張ってるので、おれが知る範囲の幻想魔術ではそういうのができないです。逆に、勉強させて報酬を約束した方が良く効くでしょう」
なんか普通だな。めっちゃ普通だ。報酬か。そういえば、そういうをは聞いたことがある。その、「政治的な行動」だ。「非凡のハンターの玄人と素人」
「その、なんかガブリエル教授が上手いというそういうの。わたしはそういうのわからないんだよな。
きみもそうであろうが、わたしはクララちゃんとしても非凡としても『危機感知』みたいなことは敏感だけど、他をいいなりにするためのことはわからない」
「そうですね。似たような環境ができたらどうすればいいのかぜんぜんわかりません」
エンブリオ少年もちょっと困った表情とジェスチャーを取った。
「なんかガブリエル・ブリナさんの『ワイン』みたいに、わたしは……粉薬をくれてはどうだろうか」
「頼んでも無い粉薬はあやしいだろう」
「なら、『香りの魔術』を……」
「木属性の技は秘密だろう」
「そうですね」
これはボケだった。




