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資本金

ただ春だから往来が多くなってるのか?

確かに冬の期間よりは今がマシだ。気温が温まる前は、食べ物と焚き火、服の装備がより必要となる。それが、行商人は個人のチカラが弱いからな。ものを運んで利益を得ようとしても、準備することにお金を使っちゃって、重くなるから商品も少なくなる。本末転倒(ほんまつてんとう)だ。むしろ損害になるから商売が難しくなるのだ。そして、賊や狼などから身を守らなきゃいけないから、馬車を準備し用心棒を雇う大商人(だいしょうにん)が動ける場合も、行商人は行動が制限される。


「などを、母が言ってた気がする」


わたし(クララ)の母は実質、村の経営をしていた人だから。父が名目上(めいもくじょう)の村長で、主に狩りをしている。だから普段の(さと)の物事に関わる事は難しい。そして、彼はものを握って力技を繰り広げる事が得意分野の人だったから、頭を回すことや、人に厳しく言いながらも納得させるお仕事などは向いてなかった。反面、母は基本的に人の心が無いのでそういうのが上手かったと感じた。商売の時は、母も同行して狩の獲物などを売りに行ってた。

もちろんわたし、クララの生まれ育ちの村は隠れ里で、(フィレンツェ)行政(ぎょうせい)に見つかると税金を払ってないのも罪、勝手に狩りするのも罪なのだ。だから、母はこれも上手く誤魔化(ごまか)して、こっちも周りの自由村落から来た()(びと)だということにしたと聞く。


だからそういう事を聞いてたわたしは、以前調子に乗って「ものを得よう」と思った時に、その両親と村人の真似事をしようとしたのだ。ステラ・ロサさんとして行商人と取引ができるものはないか……?ドルイドとして薬草を拾えばいいのでは……?などを悩んだのだ。まあ、いっぱい20話分量をブイオさまと話しながら策を練ったこともあるが、結局人間がなんで社会を作って生きているのかを確認しただけで、それは今やめた。

そして、今はどうやらわたしの薬草の知識などが本当に現代の「薬用植物学」と噛み合って普通に仕事ができそうなので、行商人と交易するとか……その必要はないわ、状態になっている。実は、ピサから戻ったわたしが少年に頼み事をした初めてにエンブリオ少年が「薬師を準備するだけで平気なんです」と言ってくれた時は、涙が出るほど嬉しかったけど、少し信じられなかった。都合が良すぎた。でも、それからギルド長のラファエラさんとアストラさんと話しながら彼女たちの様子を見ると、どうやらわたしは本当に薬師として使えるものであるらしい。多分その、わたしの魔力を登録した魔術ギルドのシステマで、「こいつは本当に才がある方の薬師です」などがわかる仕組みになっているのであろう。


そんなことを思いながら、家まで戻った。ドアロックを開いて入り、門を()める。


「ただいま戻りました」


「わたくしたちが来た」


エンブリオ少年は戻っていた。今日ギルドで資料調査兼……ふつうにマギアの勉強にもなる調べものをして戻ってると思う。


「こんにちは、今は『こんばんは』かも知れませんね、ドルイドさん、そしてブイオさま」


「うん、遅くなってたな。範囲が広くなる程、ブイオさまに乗るとしても仕方なく距離が遠くなる。だからそれは悩み事なんだ……今はそれよりも。今日、珍しい経験をした」


「珍しい経験ですか?」


「うん。とても奇妙なものに出会えたんだよね」


「へえ、そうですか。おれは今日土の堂で資料を見ていたら、なんかウリエル教授と話す機会があってですね。それも少し興味深かったんですけど、貴女の言葉が聞きたい」


土の堂?だというと、どうやら少年は今日話した「神話生物(エキストラ・オーディナリー)」のことに興味が湧いて、「奇怪巨木」を調べた時に見たという土の堂の図書室の魔力生物(マジック・クリーチャー)の本などをまた調べたらしい。うん、そういう知識は今のわたしもめっちゃ知りたいから、やはりこいつはわたしの一生ものかも知れなかった。


「そう、それはわたしがこの『花びら』を使って草木を調べると、様々な情報をいっぱい見て周辺が探索できるということを知って、試していたところだった……」


わたしは両手で、自分の「花びら」をいっぱい出して床に零してみた。


「うわ」


「ちなみに春になって調子が良くなったんだよね」


「こんなに差が出るのですか。やはりドルイドの呪術は不思議なチカラがあるんだな」


「うん。その森の不思議なチカラさんをいっぱい出していたら、その一部に触れた『毒草』を見つけた」


「毒草ですか」


「その、今の話題の『奇怪巨木』の毒草だ」


「なんですと!」


「その毒草は動いて喋る非凡(エキストラ・オーディナリー)のものだったので、わたしはもともとここでは魔力のお仕事を任されてない理由もあるし、属性も同じだし色々。ただその草と会話をしてたのだ」

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