非凡の偉さ
「そういうことができるのでしょうか、ブイオさま?」
わたしの「その海賊は、ぶにゅぶにゅの神様が関わってるのではないか」という話を聞いて、少年はブイオさまに問えた。
「そういうこととは、どういうことを言うのかね?」
「あ……言葉が粗末でした。その、ドルイドさんの話では……一時魔術ギルドをボロボロ状態に落とした『海賊に化けた海怪物』が、もともと非凡の強大なもののチカラの影響を受けていて、そのような異常な行動を見せたのではないか。死んでいても散ってないのではないかという話です。まあ、後者の場合はその『保管されている』話自体が嘘の噂である可能性もありますけどね」
「うんうん」
なんで気の通路が通っているブイオさまより少年の方がわたしの心を上手くキャッチしているのか、ちょっと奇妙な気分だったが、ふつうに気の通路が通っていても、その意味自体が伝わらないと「なんだと?」になって通らないのが、意思疎通の難しい点だと言いましょう。
「おれは奇病『灰色の呪い』のことが、魔法生物の深紅の悪魔の成れの果てで、強大なものの印というものによって性質が変わった……という仮説自体が今新しい感じですが、ブイオさまはそんな、変質に関して詳しくないのではないか、と思いました」
「ふむなるほど」
「レヴィアタンはもともとあれこれする性質があるのに、わたしが粉々を経験したことみたいに、そのレヴィアタンは人の海賊をやるように変質されたのです」
それで、わたしの「座標の衛星」という定めのその「座標」であるブイオさまはこう言った。
「そのものは普通に海賊をやりたいからやったと思える。でも、それができたのは、変質のきっかけはあったかもしれない。そして、この世界の規律をガン無視できるというのは、その偉さがぶにゅぶにゅの神様が関わっていると、ありえる話だ」
「ふむ」
少年は両手の指指を集めて話に集中してる。
「この世界には非常に稀だとしても、わたしを含めて『ムー大陸』の影響を受けたものが所々あるし、その様に奇怪な性質を持つものが他にも出ておかしくないということですかね」
「そう。わたくしからそんな『夜空』から来ているものだしな。隕鉄のようなもので、実は隕鉄ではありませんが……隕鉄の亡霊みたいなものです⇦のように、変なものだから。この世界のシステマの外から来たものは全体的にここのルールを守る必要がないんだ」
「ルール。制度ですか」
「そう。もちろん廻からの圧力は重い。それが平凡の社会に作動するよくわからない単位の『型物理性』のようなものも同じく、重い。だからステラ・ロサさんは薬師志望で、アルベルトというあやしいものは設計者をすると言うが」
「森のおじさんはあやしくないです」
また自分の木属性の味方をするわたしであった。そしてブイオさまはその言葉をスルーする。
「でも、きっかけを持って『別に従ってなくてもいいんじゃない?』になると、その約束や法律、教えなどはもとからなかったものみたいにどうでもよくなる。その『海賊』とやらは確かにそんな類だと思われる。つまり、非凡単位で無礼なのだ」
「影響したぶにゅぶにゅの神様が相当の大物であると、その無礼ができるようになりますと」
「そう。わたくしとおまえくらいじゃ、大人しくマギアのせんせいたちの頭痛薬を作って生きた方がいい。でも、それを超えるものがいたら、偉さで『型物理性のデメリット』を( ´_ゝ`)フーンと無視できるのだ」
「恐ろしいことだ」
「型物理性のデメリット?」
「ああ、これは本当に非凡の戯言だが。概念はもう言ってるから示そう。ただ『自分がずっとやってたものを崩すとだめになる』『非凡の体は体も廻みたいなものだから注意しなければならない』を怖い感じに短く縮めた話だ。わたしたちの『夜更かしして野菜食べずにちょっかいだすと黒魔術師になっちゃいます』みたいなものだ。みんな知る言葉で立っていると、より注意するだろう」
わたしはこの話でもう「デメリット」の原理は何回も出てたので、簡単に言った。少年は「夢」の完全なる記憶を持っているとしても、この辺、基本的に人だからデメリットもなにも無いから、逆にこの「型物理性のデメリットの話を聞いてもデメリットがない」ということだ。




