あやしい取引現場
「そしてウチを拾った時の違和感なんだけど」
「そうだ。『気が病んでた』のがただの勘違いで、あの瓶に入ってる謎々みたいな感覚が招いた、別のものが原因だった可能性がある」
私は別に「千里眼」「予知」「読心術」などの非凡の能力は持ってないが、情報を記録してあとで合わせることはできる方なので、今になっても「あの夜の記憶」は鮮明に見える。だから私はそれの再生と、リソくんとの会話を同時にすることにした。
「ウチに違和感はなかった?なんか、『こいつ夜空から来たな』とか感じれるの?」
「いや、平凡の女の子だ。今と同じ。白髪に金色の目だ。凄く気分悪そうな表情をしている」
「それは寒かったからだと思う」
「同感だ」
「ならウチは最小『霊の糸以外は』ふつうだ」
「そうだな」
なら、その変な気分は彼女が座っていた聖堂の石を通ってからだ。その先には、もちろん広場がある。
「わかった!闇に潜んで、今ウチらが確保した『紫色』を取引してる平凡の人たちとか居たんじゃない?彼らはマギアではないから特別に異常なところを感じれなく、今も全くわからない『不気味さ』を持つものを運んでた」
私は夜は視覚情報が劣るけど、非凡のチカラを感じる機能自体は中々問題なく働く。だから、二日前くらいの有料道路の格闘で勝てた。なら、その感覚で感じれない事は、平凡。それはありそうな説明だった。
「なるほど。そうかも知れない。なんの光もなかった。なんの音もなかった。ただそこで感じれるのは何かが起きているという事だ。もちろん現実のその夜には、私は焦ってきみを布で巻いて、ここに帰ってご飯食べさせたな」
「その夜から今までなんも変わってないかも知れないね」
「そうかもな」
「そして米が美味しすぎてウチはリソくんになりました」
これからは彼女がなんとか非凡として問題がないまま計算手や金属工芸の生活ができるようにすることが、いったんその時から私とリソくんのプランだった。
私は「再生」を止める。
「そして今。残念ながら『平凡だけの』未来プランはそんなに魅力的ではないものに化した」
「ウチが有能になっちゃったね」
リソくんはまた両手で謎々の手草を見せた。
「そう、原理は未だにも理解できてない。把握しよう。ただ、きみは非凡の特殊な性質で私たちが不気味さを感じる非凡のものからエーテルを取って分離する事ができるようになった。そしてそれから今までの間、きみのお喋りを見て聞くと、別にこれは『もう無理です!三日に一回だけです』の類の能力でもないんだ」
「うん、そうだったよ。ただ意図に繋いで引っ張る事自体は普通に疲れるかも知れないね」
「確かに。ずっとできるものではない」
「そうだね」
私は人差し指で眼鏡のフレームを軽く触った。
「もちろん表。おもてではこれからも私はリソくんのせんせいとして数学や様々なものを教える。これはただ、『その非凡の能力を持っても』普通に生きることはむずかしいからだ」
だから、別に変るものはない。
「そうだね。ウチはあまり社会経験がないけど、こういうのが『広場行き』であることは感じるよ」
「そして、非凡として『糸』を熟練して、謎のエーテルを集めることに協力してほしい。このことに関しては、私たちは仕事仲間という事だ」
「いいよ。嬉しい事だよ」
「私はそれをきっかけで、究極的には『鋼系』というお方に会いたいのだ」
「うん」
「いったん私はこれくらいだ」
リソくんは先、なんか言おうとしてやめたんだな。
「そうだ、感情の事。ウチはね、旦那が仕事に行った時の昼に『急に凄く寂しくなった』のが非凡の影響だと思ってるんだ」
「ふむ、私がきみを拾った時『違和感の正体が自分の気持ちだと思った』ことからだな」
「そう。感じ方が同じだ。考え方が同じだ。ウチは非凡の事を知ってから、そしてたぶんこの『糸』が使えるようになってからただ2カ月くらいしか経ってない非凡こどもだけど」
「きみは普通に平凡でもこどもだよ」
「そう、10歳のリソちゃんです。そうだけど、ウチ的には貧しくて少ないサンプルとしても判断の根拠として扱うしかない。ウチが感じた過程と旦那が感じた過程が同じで、旦那の方は『謎々のエーテル』が関わってる。なら、ウチが感じたのも謎々の方だ。何故なら!『このすぐそばに魔術ギルドがあるから』
なんの騒ぎも無かったんでしょう?はい、完璧証明」
ちなみに、それくらいの騒ぎがあったなら今日「総合建築協会」に行った時に職員さんが話したはずなので、確かに話題になってない。
「ふん、リソくんがそれを強く思うならそれを私が防ぐことは難しいが、確かに言葉の飛躍だ」
「それは……確かにそう」
「私は『金、木』などのチカラを持つ鋼の体の大型で、リソくんは『霊』のチカラを持つ平凡の子供だ。考え方や感じ方などが違ったり真逆だったりしても十分にありえる、前提条件の差だ」




