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流れるような心

エーテルの密度感知を付けてないとわかることもできない凄く小さな変化を起こしてるリソくんを見て、私も思う事があった。


「そう。(わたくし)も私なりに新しいマギアというものを悩んでる」


その言葉に彼女は興味を示した。


「マギアですか。平凡の設計の仕事からの遊戯ですね」


これは別に皮肉な言葉ではない。


「そう。道楽だ。けど、私がリソくんから貰ったアイデアだ」


「ウチから?」


「まっすぐ通って通る、設計図みたいに働く非凡の呪術があってもいいと思ったのだ」


「そういう話ありましたね」


彼女は凄く眠い状態で言った言葉なので記憶が薄くなってると思うけど、私には深い印象が残ってる。


「エウクレイデス含め、人の子が決めて使ってる数字と長さ、重さ、速さなどは、今まで数々の建築物とどうぐに使われながら、実際に平凡のものづくりに使われた。これらは非凡の術とはまったく関係ないものだ。非凡は、思うと行ける。素材から結果の間の曖昧な関係は術師もぜんぶを掴めていない。自分の器の許容範囲なら、願いや(いのり)、話に従って術は動く。適当に動く。動いてくれるのだ」


「思い出した。そうですね。それ、ウチはあまり素質ないから、気に入らなかったんです。まっすぐで設計図みたいに、旦那の機材が動く様になんか働くのがかっこいいと思うのです」


「私も今までの経験で魔術ギルドが『でもなんか作ってください。残りはマギアでやるんで』とか無理な依頼をいっぱいしてきたから、平凡(オーディナリー)の人としてはそれは凄く共感する。だが、非凡(エキストラ・オーディナリー)としては実際に思うままに体が硬く、重く変わって、それを使い重いものを持ち上げて動くなどに利便に使えるから、必要性がなかったから考えてなかった」


彼女はそんな考えが珍しいものではない様に言う。


「レグノの旦那は凄く長生きなんでしょう。それくらい、何回は思ったかもしれません」


「そうかも知れないけど。でも、リソくんみたいに非凡の事を知って、それが平凡の様に動かないのが気に入らない他人の言葉を聞いたのは初めてだ。別に写しの記憶として残ってない」


「それは……そうかも知れないな」


「だから今回の依頼を終えて思ったのがある」


「どんな考えですか」


「今回『毒殺事件』が起こったのは、要するに人たちが『そうするしかなかったから』機械装置みたいに動いた感じの事件だった。もちろん他の対案(たいあん)もあっただろう。でも、『(たた)り』『なになに戦争』『人力不足』などの問題を一発で解決するために、あのワインを吐いた人は無くなったんだ」


そして私はその、「無くなった」過程を(おぎな)った技術者だ。立場で断る事はできなくて、好きで共犯になってるわけではないけど、確かに手伝ってる。


「厳しい事件です」


「そうだな。昨年の『非凡の流れ星』と土地の異変が混ざって起きた出来事だ。どこの歴史書に残る事も無いかも知れない。このヨーロッパにそんな、隠された事件はいっぱいある。ヨーロッパ以外にもいっぱいあった。まあ、私は不謹慎にこの全体的な過程に人の個人の感情が入ってない感覚がした」


リソくんは黄金の瞳をいっぱい開いて私の言葉を考えた。


「そうですね。その村の総意ですね」


「そうだ。そこで私は感覚と意思が強い影響を及ぶ非凡の術も、人々が全体的な強い意志を持って物事を行うより、『水が流れるようにそうなった』みたいに行われると、そこに話はないのではないかと思ったのだ」


「不謹慎です」


リソくんはいい表情ではない。だから私は言い訳をした。


「それくらい『話が入ってない非凡の術』はおかしい話だ」


「そうですか」


「何千年使った固定観念(こていかんねん)だ。この経験がなかったら気付く事がなかったかも知れない」


彼女は自分の眉毛(まゆげ)を触った。


「ふん……レグノの旦那はそのきっかけが掴めて嬉しいですか」


「嬉しいな」


「ならよかった」


リソくんは笑う。

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