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わいは奇妙な不思議感を感じたんだよね

そうやって「毒のワイン」による事件を隠蔽(いんぺい)する事に加担し、フィレンツェに戻ろうとする「全能」のアルベルト・レグノ氏を乗せて、馬車は早く夜道を駆け抜けていた…

その同じ道。


時を遡り、

毒草がこのカタチではなかった時に、

まだ「奇怪巨木」が魔術ギルドの情報網に発見されて無かった時に。その道を通っていたものがいた。


「やはり『ふわふわする奴』の言う通り『フィレンツェ』という都市にすぐ行くことは面白くないな。興味はあるけど、それは後にした方が楽しいと思うんだよね」


それはかつての「白神女(しらかみおんな)」ソフィア・フィリアの牛の神獣であり、その(ディミティス)(コル)の正体は、言うことも(けわ)しくて禍々しい非凡の星のもの。でも今はここ最近30万年のことにより、楽しい事を探して世界を旅してる白い旅人になっている人の子の女性である。


髪は白くて、その瞳は黄金だ。


わいは最近まで「別荘(べっそう)」は流石に作りすぎたと感じたから、飽きてしまった処、この世界のお偉いさんのフリをしている、ただ生命あるものの集まりに過ぎない「六系(シックス・システマ)」の一人、カブトムシの娘に出会った。やつに「フィレンツェに行くと『霊』属性の珍しい娘がいます」という情報を取ったのだ。

でも、そんな奴が急にいなくなったりするはずも無くて、それは急用でもないからまあ、興味は湧くけど、後でもいいかと思ったのだ。「ふわふわ」に会ったなら…この辺に他の連中もいると思って、そいつらに「最近面白いもんはないの」とか聞いて、その中で一番おもろそうなものを選定し、そこに向かうのが一番面白い筈だ。うむ、我ながらパーフェクトな作戦ではないかと思って、草原を歩いている。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

まだめっちゃ寒いであろう冬だ。

(とし)などどうでもいい。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇


わいは流石に自分が作ってから毎日のように呼び出して頼っている「ソフィア・フィリアの完璧なコピア」は、自分の神様としての自立によくないと思って、最大限あれを呼ばないと頑張りながら、さて、その「六系」のやつらを探すにはどうすればいいか、ちょっと悩んでる最中だ。


道は凄く長い。そして、長いというか、別に今の気持ちも薄いし、フィレンツェというところには今は行かないことにしているので、実に目的性が欠けている。(それはわいがこの星に来る前からの普通のことであるが)

だからこの歩きは、基本的に終わりがないものなのだ。


でも、わいは今までの22万年以上をよくわからない肉のぶにゅぶにゅの状態でも生きたし、7万年以上は牛さんとして生きたので、実はなんも考えずに長い道を歩むのはそれもそれでめっちゃできる。

これが「人の姿としては」地味であることが問題だ。地味はいやなのだ。


うん、六系だな。

六系はいったん「6人」がいる。まあ、シックス・システマだからもちろんだ。

「めらめら」する奴と「ぬるぬる」するやつ。そして「くらくら」するやつは平凡のところによく表れてないみたいだし、「さらさら」と「ふわふわ」が今この辺で活動している様。そしてぴかぴかする「白虎」はまあ、普通にこの大陸のどっかの大きい山に住んでいるはず。

「さらさらしたやつ」を探すしかないか。


六系はこの星の生命自体だ。

そして、実はわいは体にちょっと多い平凡(オーディナリー)の命の残響(ざんきょう)をもっておるので、類を辿るとその…さらさらする土のものと近いなにかであるが、別に互いに(ニュー)があるわけでもなくで、会ったのは牛さんの時の薄い記憶で確実にしているのでもない。

でも、あいつらは中々ここの大きいものだ。砂漠で会ってた。


うん、やはりあいつに出会ってから、また話ができる気がしてきた。

そして、純粋に話し相手は多い方がいいから。


今の体について…

わいがこの星に来るまで、色んな繁栄があって。なぜか「流累絵(るるいえ)」とその娘もここに住んでいるらしいし(あいつら今はどこぞ???)この星に来たんだけど、「変色(クロマ・ムタレ)」という奇怪現象に巻き込まれて、わいはずっとそのぶにゅぶにゅになってたわけだが。実は今もその状態であるが(ヒミツぞ)まあ、30万年間一緒に一生を送った奴は結構いい仲間だったんで、今の肉の状態に不満はない。むしろ面白い経験をしているという感謝まであるくらいだ。


それは流石に嘘になるけど。


もともとこの星にそんな防衛システマが置かれているのがおかしいけれど、それはまあ、あいつは引きこもり性質があるから、その安眠を守るために作っている(クロマ)なのだろう。


そんな事を考えていたも道はずっとつづく、地味である。


「やはり独り言は難しいもんだ」


でも、そんなに困ってはいないから、「白神女」を呼ぶのは控えめにしたいのであった。

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