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ワイン毒殺屋敷

そうやって、桜のドルイドのステラ・ロサさんは、実は「欠片(スターダスト)を見つけて少年に渡す」という方法も考えたと少年に言うタイミングをすっかり逃して…「まあ、いいか」と考えていた頃。


忌々しい「奇怪巨木(きかいきょぼく)」の話は少しずつ進んでいた。


そこはどこかの貴族の屋敷で、市町から離れてない。

完璧でなんでもできる、眼鏡の煌めきが何を考えてるか、凡人(ぼんじん)はどうも理解ができない設計者、「全能」のアルベルトは、ようやく馬車で到着したあと、荷物を解いていた。

そう、急に業務連絡が来ているのだ。だから彼は急いで来ているのだが…


そこはフィレンツェではなくて、今魔術ギルドで話題の「毒草」の噂がなっている地域。


夕方。

そろそろ日が暮れるだろう。


(わたくし)は保存食をいっぱい準備していたとしても、家にお客さんがいるので、早く戻りたかった。


「大体の事情は聞きましたが」


「はい、場所はこちらでございます」


薬師の(正確には薬師希望の)ステラ・ロサさんに「だから(わたくし)はお仕事は爆速に終えて納品(のうひん)までめっちゃだらだら時間を過ごすのだ」みたいに自慢をしてたら、朝っぱらから連絡が来て、この様に隣の地方まで来ちまった。たぶんこれも何かの(えにし)、であるか。

帰りたい。


「部屋を早く片付けたいけど、それがインテリア工事をしなきゃいけない事件が起こりましたと」


「はい」


案内された私が見たのは、屋敷の応接室(おうせつしつ)で、その床だった。質感(テキスチャー)を見ると松の木で、不思議な()みが出てる。


「ここですね」


はやく交換すればいいことで、わたくしは周りの木材屋に先に連絡が届いていて、私よりちょっと先に到着していた松の木を確認し、自分のバッグから出した設計図や資料を参考して、交換用の部品を作ることにした。

言うまでもない。この屋敷を作ったのは私なのだ。


貴族との仕事はこの社会での結構大事な業務であって、正直王家も教会も名家も、できる仕事は持っていくのがわたくしの流儀だ。その中、人の子の観点では、いやな事もあったりなかったりする。(ある場合が多い)


この場合、応接室の床の交換で明らかに見えるのがワインの染みで、これは正直、あえて非凡(エキストラ・オーディナリー)の観点で見なくても、「このまま住めばいいんじゃないか」と思うほどのちょっとの汚れだ。

しかも、私みたいな腕前ではないと…そう、木工や建築の知識があるものがもし私の写しの記憶を後で映像(ファンタジア・ヴィデーレ)のカタチで覗いて見る事ができると、思うと思うのだが。「変えた部分、丸見えだろう」と思うだろう。そうだ。ふつうならそうだけど、私はただでこのお仕事を何千年やっているのではないので、そこは適切に薬品の処理をして、周りの部品と良く似るようにする方法があるのだ。


うむ、我ながらいい出来。


何を考えてる最中だったかを言うと、まあ、ここは「毒殺の現場」だという事だ。

誰かさんがここに招待されて消されて、私はその証拠になるかも知れないし、ならないかも知れない床の跡形を片付けるためにここに呼ばれたもので。貴族さんたちは効率的な選択をしていると思う事を好むから(実は別に偉い人の子や、一般の人の子がそんなわけでもなくて、平凡の性質を持つ体を持つものはだいたいそうである。もちろん私もそうだ)「ここは家作った(もの)を呼びましょう」と話がなって、呼ばれたのがこのアルベルト・レグノさんである。


もちろんこの元々床であった部分を持って帰る事までが私の仕事という事だ。

これは…「こんなの嫌です」も難しくて、「あいつが勝手に証拠を持って行ったのだ」も大変だけど、もともと前者の「嫌です」が効かないのがだいたいの貴族の理である事は最近のスペインの経験でよくわかったので、まあ、これくらいはいいお仕事ですね、もしもの状況じゃ…客のリソくんと共に逃げるしかないか、とか思いながら、自分のちょっと多い、自分名義の家を思った。


「おお、完璧でございます!」


「はは、そう言われると光栄です。これからも宜しくお願い致します」


私はここで命を落としたものはその運命を知って来たのか、知らないまま飲まされたのか、それがちょっとだけ不思議だった。

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