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アイディアのマギア

「そしてわたしの頼れる魔術師さんになるのだ」


「はは、そうですね。今日の授業でも成果がありましたし」


おれは今日の水の魔術の授業のことを言った。


「『賢者の国の記憶』で魔術の進展があったのか」


「おれは四属性が通っているせいか、魔術のスフィアが小さくて魔力量も未だ少ないですが。人並にやっている部分は記憶力でカバーしてる感じですね」


「そか」


「今日の魔術はコツや機敏さではない筋力みたいに、方法だけではどうにもならない種類だったんです。それができるようになって、気持ちがよかったのです。まあ、今回も考えてみればその記憶力のおかげですかね。『賢者の国』の夢の主体であるものが、水を扱うことを見て、体験して。その方法で実践したらできるようになったのです」


それを聞いてステラさんも少し難しい表情になった。おれたちはとりあえず心配性なのだ。


「うん…それは魔術ギルドの政策的には大丈夫か?」


「ああ、それもガブリエルせんせいの言葉を聞いて、頭の中で検討をしました。問題ありませんでした」


「頭の中で?」


「マギアの言葉や考えはだいたい変なものが多い。それ自体は問題化されることが少なくて、『まあ、魔術師は変な奴なんだな…』と流されることもよくありますが、魔術のカタチになって成立しちゃうとそれはもう他の人に見えて、聞こえて、模倣ができるようになります。問題になります」


「模倣か」


「はい。目的性と方向が見えるから、それを見て真似ることができる。手本を見せて行ったものの責任になる。だから術師たるもの、自分の魔力の動きが変なのを他の術師に見せるのは注意しないといけないことなんです。これも個人の固有魔術(ウヌス・マギア)が少ない理由でもありますね」


「ああ。みんな使う魔術ではないと自分のこれがいつどこで問題になるかわからないから、随分とテストしてないと怖いものなんだな」


「はい。だから現代魔術師は基本的に汎用魔術(オルド・マギア)を熟練する事が目的になります。『堂』の四人みたいに固有魔術を作る余裕があるのは本当に珍しい。まあ、そこで、その一人であるガブリエル教授に『記憶力が良い奴は、頭の中で実践までして検討すればよし』という方法を教わったのです」


そして、おれはドルイドさんに「頭の中で実際にやって自分で見る」類似模倣(シミュレーション)のことを説明した。


「うん…なるほど。でも、それもわたしたちや他の形の、記憶力が良すぎるものではないと、元々できないと思う。『てめえはなにを言ってるのか』になると思うな」


「そうですね。おれもやってみる前はそうでしたから」


「いい事を知った。わたしも実はきみの前で『おっと人にならなくちゃだ』の術を行ったあと、『あれよくないな』と思って、それからはなるべく人の前で適当な呪術を使わないとしてるけど、だから新しい呪術を作ろうとしてなかったが、そんな方法があったのか」


「香りの呪術は?」


「それはもともとお肉の臭う部分を良くする呪術の応用だ」


「そうですか…?」


衝撃の真実だった。


「そだよ」


「まあ、おれの記憶力も、ドルイドさんもブイオさまもそれぞれの違いがありますから、みんなが同じ方法でできるわけではないけど、ドルイドさんは『魔力が豊富な地域での経験』があるんじゃないですか。その経験が今の現実では実践ができないとしても、頭の中では自由じゃないでしょうか。そんな感じ」


「ふうん」

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