魔術ギルドの気の通路
「まあ、いいです。それも今ギルドの調査隊のせんせいたちが戻ると、また公式の告知が出ると思います」
「そこからは隠さないんだ」
「もう話題になった以上、隠して『いや、この人も今回の件で不在なのかーい』になるより大きいプロジェクトの進みを共有した方が効率的だと、ラファエルギルド長は思っているのです。そこに使われるのがここの『施錠』などと同じ、元素魔術『風』の気の通路の魔術です」
「そう、わたしは曖昧な賢者の国の記憶があるから少しわかるけど、『知りたい』連中にそれぞれ適切に情報の共有ができるのは凄いシステマだ。それができているのはすごい事だ」
フィレンツェ城内の繋がってる部屋には、『土』と『風』を主にする魔力装置の仕組みができていて、そこでギルドに登録している人の魔力を検出し門の施錠を締めたり開いたりする。この装置はギルドの建物にはもっと濃く設置されていて、ギルド内のマギアたちに容易く中央集中型のお知らせまでできるようになっている。
ギルドに行かないとまだ使い魔などに頼るしかないけれど、だいたいのギルド員は近くに住んでいるのでその問題はない。
「それが古代魔術『木』以外にもドルイドさんがやったことがある仕事なんですね」
彼女は「ムー大陸」という遥か昔にあったと言われる世界に行った事があって、そこで少し人のマギアを学んだ事がある魔力生物でもある。
「そうだ。深紅の悪魔の方のわたしは並みの人よりその『颯』の傾向に通っているから…まあ、颯とは言葉を聞いて、まとめて届くことに使われる行動原理だ。そこは、国のみんなが言葉を共有することができるとかそんな感じの国だから、人はそのシステマを使うのはかんたんだけど、構造を見て壊れた部分を直すことなどはあまり慣れてない生き物なのだ。わたしは上手い方だった」
「そうですか」
「ギルドではそのような言葉を繋ぐ非凡の技術があるんだな」
「はい、建物の中でわかるようになってるけど、ギルドではみんながギルド長や、中央の言葉を一緒に聞けるようになっています。だから、ドルイドさんが言う『賢者の国』の仕組みよりは非常に劣ると思うけど、結構問題なく働いてます」
「うん、ここは深紅の悪魔は飛ぶことも『金の瓶』を召喚することもできないくらい、周りのエーテルが足りない環境だ。ここでそれくらいの伝達ができるのも凄い精度の制度だと思う。ややこしさはその風の装置とやらの方がもう複雑かも知れない。賢者の国はただ使えるリソースが多すぎる点も確かにあるのだ。あれだ。ガブリエラちゃんがめっちゃ適当に水の魔術を行うのと、それより量と大きさが足りない魔術師が頑張って魔法陣書いて呪文とやらを喋って魔術を使うのは、後者の方が精度の方ではいい感じだったりするのだ」
「そうですね。その通りです」
ガブリエル教授や大魔術師たちは精度の方も凄いけど、もちろん彼女は今その事を言ってるのではない。
「ちなみにわたしはそれがきみが『フィレンツェ最高の頭』として進める方法だと思う」
「そうですね。その通りです」
四の堂の大魔術師の教授たちに比べると、おれは魔術の廻の大きさや魔力量などがめっちゃ足りない。だけど、なぜか「ギルドの結構いる天才たち」の一人として扱われてるから、だからこんなに自分の部屋の本とかめっちゃ面倒を見て貰ってるので、その待遇に相応しい成長を見せないと困る。
言葉をちょっと覚えて当てること。完全記憶能力があるから術の目的性と方向の色んな詳細を覚えるのは得意だ。生き残りながら、少しずつ強くなるしかないから。




