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ワインの目

「そう。あたし、いや、(わたし)専売特許(せんばいとっきょ)であり、実際君たち水の術師(マギア)のいい商品の一つがワインではないか。ここで問題点は、その(どく)のものは、紫色を発するものであって、お酒に混ぜるとそれがぜんぜん差が分かりづらい特徴を持つということだ。そうだろう、色的に」


なるほど。贈り物として、気品ある飲み物としてのワインの地位が汚れる事はない。お酒はこれからも固い。でも、ちょっとの不安、「気になる」「気にする」が混ざると、それは商売と物流の全体的な流れにはよくない影響を及ぶのだ。


「これ―は、もちろん聡明なものは気付くと思うけど、考え方によっては新しい分野が生える。逆に、安全にお酒を堪能(たんのう)するための「毒の検査」という新しい仕事も発生するのだ」


うん、こんな結論に辿り着かないと彼女ではない。

問題が起きると、その問題を解決するか対応したい動きもまたある。この場合、毒が混ざっているかもしれないから以前から楽しんでいたワインを飲みません?ありえない。ただ、「飲んでいいワインなのかを確かめたい」になる。


「でも、そういう業務に飲み物の専門のマギアの仕事が分けられると、生産や、品質の管理の方が気が散ってしまう。人は限られてるのだ。人力も、時間も資源だから」


それはそうだった。「不安だから、アクアの魔術で調査してくれ」という仕事が増えるかも知れない。ちょっとの水のマギアの素養を持つ人が貴族や王家でより働けることになるかも知れない。それ自体はいいとして、技術的な問題があるのだ。意外と「これが飲んでいいものですか」を判断し、ものは変化させない…というのは難しいことだ。


上級ではないマギアが真面目に「はい、もう問題ありません!どうぞ」までしたとします。でも、その液体がもう酒から浄化されたお水になっちゃうと、意味がないじゃないか。「吾輩をバカにしてるのか!!」となってもっと大変なことになるかも知れない。逆に、検査を下手にして、その毒薬が検出できてないと、その方がマジでお終いなのだ。

だから非破壊的な液体の調査が必要だけど、それもそれで高級の魔術なので、安心してワインを飲むためだけに水のマギアを雇っていつも傍に置く場合がどれだけあるだろうか。必要な時だけに必要だろう。そして、お偉いさんは随分と効率的だ。効率的というか、効率的に物事を利用しているという効能効果の感覚を味わいたがる。例を言うと、「今回宴会があるから、水の魔術師を送れ」になって、その要請は拒むことが難しい。急の命令で人の数が急に足りなくなるかもしれない。そしてもしその検査に問題が起きると、それは魔術ギルド全体の信頼の問題にもなるのだ。


つまり何かの対応はできる。新しい分野にもなれるかも知れない。でも、状況が変わってしまう。もう変わってしまって、これは彼女含め飲み物担当の水の魔術師達にとって面倒くさくて政治的な複雑性が非常に高くなる、喜ばしくない事件なのだ。

なるほど、これは本当にやばいですねだ。


彼女は流石に自分が専攻のワインの話ばかりしてたのを気付いて、この情報伝達の本題とも言える、「奇怪巨木」についてもかんたんに説明した。


「そして、その毒草の根源は、なんと、新しく発見された巨大な魔法生物がいるらしいのだ。いま調査隊が派遣されていて、それ自体はみんな聞いてるだろう。

魔法生物の討伐に余計に人が死んじゃうと困る!いつも我らは互いのマギアを尊重して助け合い、学びを求める立場だからもちろんだけど、生きるために必ずも関わるそれぞれの国や故郷、集団の利益などと違って、日常生活と全然関係ない非凡(マジック)とのやり合いなど、凄くバカな行為だ。そこに人力を減らされるのはあまりにも望めない事だ。だから、ギルドは最善を求めて行動するぞ。

心配する人ももちろんいると思うけど、今の素早い対応は逆に、早い段階で被害を収めて魔力仕事の問題を解決するためのものだから。不安の反対だ。きみたちの仲間やせんせいを信じて欲しい」


10歳の天才美少女は、ワイン色の目を真剣にして、話を適切(てきとう)(おさ)めた。


「それでは、今日の授業に入る」


やっとおれたちは、先おれが予習をした「大量の水の操作」について学ぶことになった。

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