フィレンツェを歩く化け物
「つまり、わたしなりに作ってる神話、”「狼の星」の正体は「深紅の悪魔」の神様みたいなものだ”…を、わたしだけが本当のことにする存在なんです。唯一できる者なんです。それが「座標の衛星」としてのステラ・ロサの方向」
これは実はわたしの作り話だ。「森の姫様」や、クララの家系の狩りなどを考えていたら、「本当に深紅の悪魔を全部、わたしの手で狩るしかない」と思い込んで出た結論だ。
自分も勢いで言ったからよくわからなかったこれが、文を知り、最近のマギアを見て、コネを作ろうとする過程に、少しずつ具体的に、整理ができて、チカラを持つようになったのだ。
まったくの戯言。夢話。
そう、星の幻想の話。
普通の人には初めて聞く虚言だから、狂言だろう。「なんて?なんでこの狼が神様だというのだ?あくま?」と変に思われてどうぜんで、人の社会ではそれがつまり邪教。THE・広場行きだ。
そして、非凡の類が見てもそうなのだ。多人数の深紅の悪魔に「いや、もう■■■■■はないんだぞ。お前は何を言ってるんだ」と否定されて、それが反論ができないと、その嘘の責任と正しさの無さに潰されて、心のカタチが崩れる。それが型物理性のデメリットなんだ。
でも、本当にずっとやると良いのだ。「深紅の悪魔」の亡霊で人の娘でもある。見た目は非凡を知っている人なら全部知る「白神女」に似ていて、老いてもしない。実際に人の前に立っていい活動を続く。それはまことなのだ。本当にもう人を救っている。
そしてそうしながら…わたしの体と心は「深紅の悪魔が起源」でもあるから、ブイオさまの「欠片」による、■■■■■の星のチカラも共有できているし。その、ここではない星の民という資格をわたし一人で独占すると、
ブイオさまは本当に「深紅の悪魔にチカラを与える」「神様」として成立して、矛盾がなくなるのだ。そう。まあ、深紅の悪魔と言えるものがステラ・ロサさん一人で、その人が「白神女」みたいだぞ。これで解決で、これを成立させる衛星がわたしよ。
「まあ…それがそれっぽくできると、もう捏造では無くて、物語性だ」
「できますって」
「そうか…」
そして、その道は人の人生よりずっと長くて、「教皇庁」や「国と王様と貴族さんたち」と「魔術ギルド」、「強者の魔法生物」などが闊歩しているこの世界、とても難しいことなのだ。それはこの嘘を言っちゃったその時もうすうす感じていて、まあ、何回目のこの話題だから。今はその「魔術ギルドと強者の魔法生物」が問題だ。「奇怪巨木」が話題なんだが…
「うん、でもやはり「巨木の周りの欠片を回収」は無理があると感じます」
「おまえは非凡としてはよわよわだからな。平凡の兵士レベルだから」
「そうです。杖道を精いっぱい極める人の子です。そう言えば筋トレ行くか」
「そうだな」
ブイオさまがこの星の亡霊の型物理性、「夢之国」に繋がって貰った「兵士の国」の兵の訓練法でわたしは成っているけど、これは不変の体を持ってるステラ・ロサさんだとしても、やらないと薄くなり、忘れちゃうものだ。
そして、極めるとよくなる。筋力と認知力のスペックが同じだとしても、鍛錬が鋭さを作る。うん。最小、■■■の同族たちよりは強い線を維持しなきゃだ。
わたしはいったん心を決めたので、いつも同じ服装のまま、ドアを開いて部屋を出る。
出ようとしたのだが、ドアロックの魔力刻印に手を当てようとしたその時、
ゾッ
わたしは非常のやばさを感じてそのままとどまった。
予感がする。今この魔力刻印を開いて外に出ると、非常によくない出来事があるという直感がしたのだ。
それは、わたしのぜんぜん覚えてない、殻だけの記憶であり、
アルベルト・レグノを一目で「非凡」の肉体だな、と見破った類の感覚だ。
謎の笑い方や不愉快感が迫ってきて、わたしは一旦、この威圧感がなくなるまで、様子を見ようとした。
「そんじゃ、元素魔術「水」でも続いて読みますか」
「呑気すぎるだろう」
まあ、別にいいじゃないですか。今の感覚はキットわたしが「■■■として」持ってる危機感知のもので、クララちゃんの感覚とは違うから。
「ちょっと面白い絵図はないんでしょうか」
そして、その威圧感がなくなったのを感じたのは、それからの3個目の水の魔術を読んでいる時だった。
「去ったか」
「そんな感じです」
本を棚に戻して、わたしは今度こそドアを開くと。いつもの通りの家前の道を見た。
街は街だ。ふつうで、人の目で見るにはなんの違いもなかった。
それでも、「気流」が違う。風が違って、何かが確かに…
金色だ。
ぶにゅぶにゅの神様が歩いて通ったという感覚が、「ムーの最悪」を経験しているわたしはなんとなく、そしてはっきりとわかっていた。




